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第14話「邂逅」①
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ふわふわと、どこかを漂っていた。私の身体を包んでいるものは、気体なのか液体なのか。秋の日差しにも似た、暖かで柔らかな何かに抱かれて、ゆらゆらと暗闇をたゆたう。一体どれだけの間こうしているかはわからない。
揺らぎに身を任せながら、繰り返しひとり考えていた。あのとき、走馬灯に見た過去の記憶と感情のことを。
はじめは、神様が下した天罰のようにも、自身の心が見せた永遠に解けることのない後悔のようにも思えていた。しかし、長い時間をかけて、ひとつひとつ…肌で確かめるように触れるうちに、決してそれだけではないと思うようになった。
私はやはり、逃げていたのだろう。自分の身体のことや、ギクシャクした母との関係、父が死んだ現実からさえも。全部なかったことにして、何事もなかったかのように樹に近づいて、都合のいい虚実を作ろうとしていた。そんなことをしてみたところで、何も生まれはしないのに。
できることなら、母に、樹に、私を思ってくれている全ての人に謝りたかった。だからもう一度みんなに会えたなら、無意識に張り巡らせた心の檻は取り払って、その愛情を、言葉を、心を、拒むことなく受け入れよう。
今はただ、みんなに会いたかった。そう思ったそのときだった。
「な……し…」どこからか微かに声がする。ここから抜け出す手掛かりに思えて、その声に全神経を集中する。耳を澄ませて、その声の主を探す。
「なあ、志保」
父の声だ。
そう思った瞬間に、私は父の隣に座っていた。父と私は、バス停のベンチに腰掛けていた。
バス停の目の前には、海岸通りを挟んで海が見えるはずなのに、今目の前にあるのは見渡す限り、鏡のような水面だった。果てしなく続く水面は、地平線を境にして、真っ青な空を逆さに映し出している。思わず空を見上げる。空には真っ白な雲がゆっくり流れていて、どこまでもどこまでも、気持ちよさそうに泳いでいた。
揺らぎに身を任せながら、繰り返しひとり考えていた。あのとき、走馬灯に見た過去の記憶と感情のことを。
はじめは、神様が下した天罰のようにも、自身の心が見せた永遠に解けることのない後悔のようにも思えていた。しかし、長い時間をかけて、ひとつひとつ…肌で確かめるように触れるうちに、決してそれだけではないと思うようになった。
私はやはり、逃げていたのだろう。自分の身体のことや、ギクシャクした母との関係、父が死んだ現実からさえも。全部なかったことにして、何事もなかったかのように樹に近づいて、都合のいい虚実を作ろうとしていた。そんなことをしてみたところで、何も生まれはしないのに。
できることなら、母に、樹に、私を思ってくれている全ての人に謝りたかった。だからもう一度みんなに会えたなら、無意識に張り巡らせた心の檻は取り払って、その愛情を、言葉を、心を、拒むことなく受け入れよう。
今はただ、みんなに会いたかった。そう思ったそのときだった。
「な……し…」どこからか微かに声がする。ここから抜け出す手掛かりに思えて、その声に全神経を集中する。耳を澄ませて、その声の主を探す。
「なあ、志保」
父の声だ。
そう思った瞬間に、私は父の隣に座っていた。父と私は、バス停のベンチに腰掛けていた。
バス停の目の前には、海岸通りを挟んで海が見えるはずなのに、今目の前にあるのは見渡す限り、鏡のような水面だった。果てしなく続く水面は、地平線を境にして、真っ青な空を逆さに映し出している。思わず空を見上げる。空には真っ白な雲がゆっくり流れていて、どこまでもどこまでも、気持ちよさそうに泳いでいた。
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