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出会い
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砂は静かだった。
焚き火はほとんど消えかけていた。炭が熱で赤く光り、明かりを提供することはなかった。周りにはただ死体だけが転がっていた。血はもはや光っていなかった――それは乾き、砂に染み込んでいた。死の匂いはもはや恐怖ではなく、ただの熱と灰の匂いだけだった。
カインは中央に立っていた。まるで忘れ去られた記念碑のように。死んだ目で地面を見つめていた。剣はまだ手にあり、その刃からはまだ血が滴っていた。
すべてが終わった。
彼はただ立ち尽くしていた、無言で。頭の中には三十の死に際の悪夢が浮かんでいた。彼が殺した一人一人が、最後の瞬間の感情を彼に与えてきた。すべての恐怖。すべてのイメージ。すべての痛み。
カインはそれらすべてを体験した。
今、彼は空っぽだった。
そして、この墓のような静けさの中、風さえも震えて動けないその瞬間に、音が聞こえた。
鈍い音。ささやき。木のきしむ音。
カインは頭を上げた。荷車だった。あの、警備のついていたもの。彼はその重さを最初から感じていた。
今、その中で動きがあった。
彼は歩き出した。ゆっくりと。罠を確かめるように、獣のように。剣を地面に置き、棘を外した。ドアはきしむ音を立てて開いた。
突如。
中から体が飛び出した――軽く、ぎこちなく。砂に落ちた。口に詰められた布を引き裂こうとし、手が縛られたままで顔が砂に埋もれていた。
少女だ。十七歳くらいだろうか。細身で、紅い髪が絡まっている。汚れた顔。狂ったように輝く緑の瞳。
カインはしゃがみ込んだ。手を伸ばし、布を外した。
彼女は噛みついた。
鋭く。痛いほどに。まるで追い詰められた獣のように。
反射的に。彼は彼女を投げ飛ばした。
体が後ろに飛び、荷車の車輪にぶつかった。彼女は咳き込み、座り込んだ。見つめている。
恐怖はなかった。
注意深く。
緊張している。
まるで、次の一撃を待っているかのようだった。
カインは動かなかった。
そして彼女は振り返り、初めてキャンプを見た。何十もの死体。顔に刻まれた恐怖の表情。それらの最後の思考が皮膚に焼きついていた。
彼女は叫ばなかった。
「彼らを殺したのか?」と、彼女は尋ねた。
カインは視線を逸らした。
沈黙。
「分かった。」
彼は一歩近づいた。彼女はビクッとしたが、彼は彼女に手を伸ばさなかった。
「手を出せ。」――静かに彼は言った。
彼女は答えなかった。
彼は彼女の上に立っていた。黙って。背後の太陽が長い影を投げかけていた。まるで彼が人間ではなく、黒い柱のように。
少女はため息をついて手を差し出した。
彼は縄を切った。
左手には火傷の跡。焼かれたシンボル。
三つの輪。そして中心に点。
彼はそれに気づいたが、何も尋ねなかった。
彼女は急に動き出し、焚き火に向かって走った。
焦げた豚肉を見つけると、味も分からずにむさぼり食べ始めた。
カインは無言で見守っていた。
剣はもう背中に隠されていた。彼はキャンプの端に歩み寄り、袋を取ると、道を歩き始めた。
「へぇ、じゃあただ行ってしまうってわけか?」――食べながら、背後から声が聞こえた。「ありがとうも言わないし、『名前は?』とか『道中気をつけろ』とかもなし? 素晴らしい救世主だ。」
彼は振り返らなかった。
「おい! お前、喋れるのか?」
人間にはそういう能力があるって聞いたぞ――他の人を呼び寄せて、死なないようにしてくれるって。
足音。
彼女は走り出し、そして追いかけ、今度はゆっくり歩き始めた。熱い砂の上を素足で。
「だから、黙って進むってわけか? いいね。素晴らしい。私も沈黙は好きだよ。特に檻の後とか。飢えの後とか。最高だね。話したくないなら、私が話すよ。問題ない。」
カインはただ歩き続けた。
「お前っていつもこんな感じ? それともこれが一時的なものなのか――暗い顔して、表情がないだけ?」
彼は答えなかった。
「まあ、私はコーニだ。」
一瞬の沈黙。
「慣れろ。」
彼はほんの少し頭を動かし、歩調を緩めずに言った。
「どうやら、あのくちばしは無駄じゃなかったみたいだな。」
彼女は黙った。ほんの一瞬。そしてその後、鼻で笑った。
「ハ! やっぱり喋るんだ! もう、無口か呪われてるのかと思ったよ。」
彼は答えなかった。
二人はそのまま歩き続けた。
砂漠の中、二つの影。
焚き火はほとんど消えかけていた。炭が熱で赤く光り、明かりを提供することはなかった。周りにはただ死体だけが転がっていた。血はもはや光っていなかった――それは乾き、砂に染み込んでいた。死の匂いはもはや恐怖ではなく、ただの熱と灰の匂いだけだった。
カインは中央に立っていた。まるで忘れ去られた記念碑のように。死んだ目で地面を見つめていた。剣はまだ手にあり、その刃からはまだ血が滴っていた。
すべてが終わった。
彼はただ立ち尽くしていた、無言で。頭の中には三十の死に際の悪夢が浮かんでいた。彼が殺した一人一人が、最後の瞬間の感情を彼に与えてきた。すべての恐怖。すべてのイメージ。すべての痛み。
カインはそれらすべてを体験した。
今、彼は空っぽだった。
そして、この墓のような静けさの中、風さえも震えて動けないその瞬間に、音が聞こえた。
鈍い音。ささやき。木のきしむ音。
カインは頭を上げた。荷車だった。あの、警備のついていたもの。彼はその重さを最初から感じていた。
今、その中で動きがあった。
彼は歩き出した。ゆっくりと。罠を確かめるように、獣のように。剣を地面に置き、棘を外した。ドアはきしむ音を立てて開いた。
突如。
中から体が飛び出した――軽く、ぎこちなく。砂に落ちた。口に詰められた布を引き裂こうとし、手が縛られたままで顔が砂に埋もれていた。
少女だ。十七歳くらいだろうか。細身で、紅い髪が絡まっている。汚れた顔。狂ったように輝く緑の瞳。
カインはしゃがみ込んだ。手を伸ばし、布を外した。
彼女は噛みついた。
鋭く。痛いほどに。まるで追い詰められた獣のように。
反射的に。彼は彼女を投げ飛ばした。
体が後ろに飛び、荷車の車輪にぶつかった。彼女は咳き込み、座り込んだ。見つめている。
恐怖はなかった。
注意深く。
緊張している。
まるで、次の一撃を待っているかのようだった。
カインは動かなかった。
そして彼女は振り返り、初めてキャンプを見た。何十もの死体。顔に刻まれた恐怖の表情。それらの最後の思考が皮膚に焼きついていた。
彼女は叫ばなかった。
「彼らを殺したのか?」と、彼女は尋ねた。
カインは視線を逸らした。
沈黙。
「分かった。」
彼は一歩近づいた。彼女はビクッとしたが、彼は彼女に手を伸ばさなかった。
「手を出せ。」――静かに彼は言った。
彼女は答えなかった。
彼は彼女の上に立っていた。黙って。背後の太陽が長い影を投げかけていた。まるで彼が人間ではなく、黒い柱のように。
少女はため息をついて手を差し出した。
彼は縄を切った。
左手には火傷の跡。焼かれたシンボル。
三つの輪。そして中心に点。
彼はそれに気づいたが、何も尋ねなかった。
彼女は急に動き出し、焚き火に向かって走った。
焦げた豚肉を見つけると、味も分からずにむさぼり食べ始めた。
カインは無言で見守っていた。
剣はもう背中に隠されていた。彼はキャンプの端に歩み寄り、袋を取ると、道を歩き始めた。
「へぇ、じゃあただ行ってしまうってわけか?」――食べながら、背後から声が聞こえた。「ありがとうも言わないし、『名前は?』とか『道中気をつけろ』とかもなし? 素晴らしい救世主だ。」
彼は振り返らなかった。
「おい! お前、喋れるのか?」
人間にはそういう能力があるって聞いたぞ――他の人を呼び寄せて、死なないようにしてくれるって。
足音。
彼女は走り出し、そして追いかけ、今度はゆっくり歩き始めた。熱い砂の上を素足で。
「だから、黙って進むってわけか? いいね。素晴らしい。私も沈黙は好きだよ。特に檻の後とか。飢えの後とか。最高だね。話したくないなら、私が話すよ。問題ない。」
カインはただ歩き続けた。
「お前っていつもこんな感じ? それともこれが一時的なものなのか――暗い顔して、表情がないだけ?」
彼は答えなかった。
「まあ、私はコーニだ。」
一瞬の沈黙。
「慣れろ。」
彼はほんの少し頭を動かし、歩調を緩めずに言った。
「どうやら、あのくちばしは無駄じゃなかったみたいだな。」
彼女は黙った。ほんの一瞬。そしてその後、鼻で笑った。
「ハ! やっぱり喋るんだ! もう、無口か呪われてるのかと思ったよ。」
彼は答えなかった。
二人はそのまま歩き続けた。
砂漠の中、二つの影。
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