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第六章 簒奪編
第98話 筆頭書記官の悩み
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筆頭書記官のレベッカは、執務室の窓から差し込む光を浴びながら、手を止めていた。彼女が考えているのは、公爵家に新しく加わった百家以上の貴族領の統治についてだ。この広大な領地と、その配下の膨大な人々の生活を、どうすれば効率的に軌道に乗せられるか。
さらに悩ましいのは、ミレーヌに隷属した百家以上の貴族に対する莫大な年金である。一年半以上前からアッシ銀山の増産分の備蓄があったため、直ちに財政破綻するわけではないが、公爵家の財政を圧迫する大きな要因となっていた。また、貴族領を接収したことで、その配下たちの給与も当然公爵家が負担することとなった。
「接収した貴族の領地の改革を急がないと」
独り呟いたレベッカは、思案する。
支払いが増えたならば、収入を増やすしかない。ミレーヌが公爵家の実権を握った際に、農地改革、商業改革を矢継ぎ早に打ち出したが、新たな領地は、それと同じようにする。さらに、働く者にはインセンティブを、そうでない者には厳罰をといった公爵家のルールの浸透、徴税官の増員、さらに軍隊をどうするのか。課題は山積みであった。
「ふぅ、いずれにしても人が足りないわね」
レベッカが独りため息をついた時ドアがノックされ、青年が入ってきた。書記官のカインであった。カインの顔を見るなりレベッカは聞く。
「カイン。書記官増やそうと思うけど、推薦できる人いる?」
「書記官ですか……書記官補のうち五名ほど書記官に抜擢しても良いと思いますし、あと商人で一人、メイドで二人いますが。ミレーヌ様のご指示でしょうか?」
突然の要求に驚くことなく答えるカインを見て、レベッカは満足気にほほ笑んで応じた。
「領地は広大になったけど人手が足りないでしょ? ミレーヌ様には、私が上申するから、十名程度リストアップできる?」
「いつまででしょうか?」
「今日中というのは意地悪かしら?」
依頼した本人は、無理な要望かもしれないと思ったが、涼しい顔でカインは答えた。
「なんとかなります。では決裁書類をここに置いておきますので、リストを作ったら改めて伺います。ちなみに、書記官の増員の件、家令様には事前にご説明が必要でしょうか?」
「ミレーヌ様を説得すれば嫌とは言わないから大丈夫よ」
「わかりました」
カインが部屋から出た後に、レベッカは考える。
(お嬢様は、あの貴族たちをどうするつもりなのだろうか? もちろん平和裏に貴族の領地を奪うことができたので、その功は十分あるけど、貴族たちはお嬢様の本当の怖さをしらない。今から、貴族達をお嬢様の役に立つように教育していくべきかもしれないけど、私の言うこと聞かないかもしれないし……)
多忙な筆頭書記官の悩みは尽きなかった。
さらに悩ましいのは、ミレーヌに隷属した百家以上の貴族に対する莫大な年金である。一年半以上前からアッシ銀山の増産分の備蓄があったため、直ちに財政破綻するわけではないが、公爵家の財政を圧迫する大きな要因となっていた。また、貴族領を接収したことで、その配下たちの給与も当然公爵家が負担することとなった。
「接収した貴族の領地の改革を急がないと」
独り呟いたレベッカは、思案する。
支払いが増えたならば、収入を増やすしかない。ミレーヌが公爵家の実権を握った際に、農地改革、商業改革を矢継ぎ早に打ち出したが、新たな領地は、それと同じようにする。さらに、働く者にはインセンティブを、そうでない者には厳罰をといった公爵家のルールの浸透、徴税官の増員、さらに軍隊をどうするのか。課題は山積みであった。
「ふぅ、いずれにしても人が足りないわね」
レベッカが独りため息をついた時ドアがノックされ、青年が入ってきた。書記官のカインであった。カインの顔を見るなりレベッカは聞く。
「カイン。書記官増やそうと思うけど、推薦できる人いる?」
「書記官ですか……書記官補のうち五名ほど書記官に抜擢しても良いと思いますし、あと商人で一人、メイドで二人いますが。ミレーヌ様のご指示でしょうか?」
突然の要求に驚くことなく答えるカインを見て、レベッカは満足気にほほ笑んで応じた。
「領地は広大になったけど人手が足りないでしょ? ミレーヌ様には、私が上申するから、十名程度リストアップできる?」
「いつまででしょうか?」
「今日中というのは意地悪かしら?」
依頼した本人は、無理な要望かもしれないと思ったが、涼しい顔でカインは答えた。
「なんとかなります。では決裁書類をここに置いておきますので、リストを作ったら改めて伺います。ちなみに、書記官の増員の件、家令様には事前にご説明が必要でしょうか?」
「ミレーヌ様を説得すれば嫌とは言わないから大丈夫よ」
「わかりました」
カインが部屋から出た後に、レベッカは考える。
(お嬢様は、あの貴族たちをどうするつもりなのだろうか? もちろん平和裏に貴族の領地を奪うことができたので、その功は十分あるけど、貴族たちはお嬢様の本当の怖さをしらない。今から、貴族達をお嬢様の役に立つように教育していくべきかもしれないけど、私の言うこと聞かないかもしれないし……)
多忙な筆頭書記官の悩みは尽きなかった。
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