【クラス転移】復讐の剣

ぶどうメロン

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42.フーリダの街

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「やったねロクロ!」
 俺たちは遂に目的地のフーリダ王国の中心街、フーリダに到着した。
 アルクレイヘル王国は整然と並んだ街並みが印象的だったけど、フーリダは区画ごとに統一性のない建物が並んでいる。

「あぁ、とりあえず家を見に行こう」
 これからは普通の生活をする。普通に家に住んで、普通に仕事をして、普通に暮らしていく。そう決めていた。

「ここにしましょう。ここがいいです」
 賃貸情報の看板が並んだ店先を見まわして、ロゼッタはやたらと部屋数の多い家を推してくる。

「一月で金貨二十枚は高すぎるなぁ……」
 安いところでもこのぐらいで、高いところは金貨五十枚と高すぎる。俺は家賃が安くて一人一部屋あれば十分だと思っている。

「ここなら二人っきりになれますしね……」
 新居での生活を想像しているのか、ロゼッタはブツブツとなにやらつぶやいている。

「やっぱり家賃が高いから郊外の村にしようか」
 フーリダ王国は自由経済という経済形態らしく、フーリダ城を中心に家賃の値段も高くなっていることをエルザが教えてくれた。なんでも自由なのはいいけど、家賃まで高いのは普通に困る。

「そうだな。姫もわかっていますよ」
 事前に話し合っていたことだけに、反対はなかった。

「せっかく来たんだから観光していこうよ!」
 いつにも増して、アルは元気になっている。

 フーリダの街は活気に満ちあふれていて、そこかしこに獣人や亜人が歩いている。亜人は体が炎や水でできているので区別がつけやすい。魔物に見えなくもないけど、普通に話しが通じる種族だ。

「姉ちゃんたち!サクッと稼いでいかねぇーかい!?」

「幸せになれるポーションだよーー!ハッピーになれるよーー」
 現代的な価値観からすれば違法な行為もここでは大々的に行われている。デカデカといかがわしい看板を掲げた店や、怪しいポーションを堂々と配っている店もある。

「防具を見て行かなくていいの?お腹ばっかり怪我してるみたいだけど」
 アルが俺の腹をつっ突いてくる。

「これは敢えて隙を作ることで、致命傷を避けているんだ」
 通常より分厚いチェストプレートの分、軽くなるように防御してないのもあるけど、確かに俺の防御力は低い。

「そうなの?その割には死にかけてたけど……」
 アルは痛いところをついてくる。

「……まあ、そこは追い追い考えとくよ」

「ダメですよ!死んでから後悔はできません。軽装でいいから防具と、服も見に行きましょう!」
 ロゼッタに引っ張られて、防具家に行くことになった。



「フーリダの品揃えは一級だな。これなんかいいと思うぞ」
 エルザが何の変哲もないシャツを広げて見せてくる。

「それも防具なの?」

「金属繊維で編まれたシャツだ。これで腹部の守りもマシになるだろう」
 確かに、ガラ空きよりは防御力が上がる。こんなシャツは初めて見た。

「これからの季節は冷え込んでくる。ロクロはポンチョとコート、どっちがいい?」
 黒いポンチョとコートを俺に合わせるエルザは楽しそうだ。そんな姿を見ていると俺も嬉しくなってくる。

「動きやすい方がいいから、コートかな」

「実はな、ポンチョでも意外と動けるし、武器も隠せるから戦闘の幅が広がるぞ」

「不意打ちって、騎士道精神的にアリなの?」
 武士道みたいな感じで、正々堂々を重んじているエルザが不意打ちをさせるとは思わなかった。

「考え方が変わっただけだ。あの時、ロクロを助けられなった騎士道精神では命を守れない……とな」
 エルザの顔はいつになく真剣だった。

「そっか……。なんか悪いことさせちゃったかな……」
 俺なんかの為に信念を曲げさせたことに、少し心が痛む。

「そんなことはない。私が変わりたいから変わっただけだ、気にするな」

 そんなエルザをお構いなしに、ロゼッタとアルはわちゃわちゃと騒いでいる。

「ロクロは黒いポンチョにするんですか?私もお揃いにしますね」

「僕は白にしよっかなー。小さい僕が大きいポンチョを着てたらロクロはどう思うだろうね~」

「アルさんは男……、男でしょ!ロクロを誘惑するのはやめてください!」

「会計するよー、もう行くよ」
 フーリダの街から、さらに南の方に行けば家賃の安い家も見つかるだろう。
 一度宿に戻って、再出発の支度を始めよう。
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