今世はのんびり耕したい

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第一章 森の生活

第11話 森の秘密と影の存在

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 朝の森は、昨夜の戦闘の後も濃い霧が残っていた。

 セツは畑の拡張作業を一旦中断し、クロハ、ルビィ、アオイと共に森の奥へ向かう。まだ小さな魔物の影がちらつき、森の力がどこか不安定であることを示していた。

「セツ、慎重にな……まだ魔物の気配が濃いで」

 クロハは尾を低く垂れ、霧の中を鋭い目で見つめる。黄緑色の瞳が、微細な魔力の揺らぎを読み取る。

「わかっとるわ。でも、原因を突き止めな、畑も守れへん」

 セツは手に魔力を集中させながら、森の気配に耳を澄ます。

 ルビィは小さく翼を震わせ、赤い炎を散らして周囲を照らす。

「セツ、あそこ!なんか動いた!」

 霧の奥、ねじれた影がゆらりと揺れる。
 その瞬間、セツは気づいた。昨夜戦った魔物とは形が違う。瘴気を纏う小型の魔物たちが、森の奥深くから次々と現れていたのだ。

「ただの魔物じゃないな……森の力が歪んどる」

 アオイは冷静に魔力の流れを解析する。

「この歪みは、森の精霊たちが警告を発しているような感じです……何か大きな存在が関わっている」

「……大きな存在、ってハクのことちゃうんか?」

 クロハが疑問を口にする。

「いえ、白狼は守護者。森を守る側の力。今感じるのは、それとは別の“影”です」

 セツは眉をひそめる。手のひらに魔力を集め、慎重に地面に触れた。
 その瞬間、土の中から微かな声のような振動が伝わってくる。森がセツに何かを訴えているようだった。

「ルビィ、クロハ、あの方向を見て」

 セツは魔力を流し、森の奥に光の感覚を投げる。ルビィが炎で輪郭を照らすと、ねじれた樹木の間に巨大な影が浮かび上がった。

「うわ……なにあれ……!」

 ルビィが目を丸くする。影はゆっくりと動き、瘴気と不自然な魔力を放っていた。

「セツ、慎重にな……直接突っ込むんは危険や」

 クロハが耳を倒す。森の中で微かな足音が複数響き、影に従う小型魔物が姿を見せる。

「分かってる……でも、何が森を歪めてるのか知りたいんや」

 セツは小さく息をつき、魔力を高めた。クロハが前に出て小型魔物の注意を引き、ルビィが炎で牽制。アオイは空から影の動きを観察し、的確な指示を出す。

 小型魔物は結界に触れて逃げ惑う。だが影の魔物は力強く、瘴気を渦巻かせて森の魔力をねじ曲げるように動いた。

「こ、これは……普通の攻撃じゃ効かへん」

 セツは苦戦しながら地面の魔力を操る。ルビィが炎を集中させ、クロハが鋭い爪で足止め。アオイの分析によって、影の魔物の動きを少しずつ制限する。

 その時、森の奥からハクの咆哮が響いた。金色の瞳が光を帯び、威圧感が森全体に広がる。影の魔物は一瞬ひるみ、森の中で動きを止めた。

「ハク……やっぱり頼りになるな」

 セツは小さく笑う。ハクの存在が、森の異変に立ち向かう希望となることを感じた。

 霧が少しずつ晴れ、森の魔力の流れが整い始める。

「影の存在……まだ正体は分からへんけど、森の奥深くに本拠があるんやな」

 クロハが低く唸る。

「セツ、次は準備を整えて挑むことになりますね」

 アオイが冷静に告げる。

「まずは森の異変の原因を特定してから……」

 ルビィは小さく炎を揺らし、元気いっぱいに言った。

「私、もっと強くなって、みんなと一緒に戦う!」

 セツは仲間たちを見渡し、決意を新たにする。

「せやな……森も畑も、守るんは俺らや。みんな、頑張ろな」

 森の奥深く、影の存在は静かに見守っていた。次の戦いは、まだ始まったばかりだった。

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次回 第12話「森の深淵と古の樹」


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