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縁
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まるで崩れるように、ジェイダが瞬く間に眠りに就く。
「っ、と……」
抱き留めれば、先程まで縛られていた腕には辛いが。
「本当にこの子は、もう」
ほっとする。
初めて見た、ジェイダの泣き顔。
理不尽なこともあり、悲しいこともあり。
涙目になることはあっても、彼女はけして瞳から溢すことはなかった。
それが、自分がいなくなっただけで。
(何だよ。すごい幸せ者)
「それにしても、キャシディを連れてくるとはね」
むちゃくちゃではあるが、確実でもある。
このまま頬を緩ませていたいが、仕方なくロイはただ突っ立っている王子に目を遣った。
「祈り子が走り回っていると聞けば、放っておくわけにもいくまい? まあ、引っ捕らえてもよかったが……どうせ、お前を探さなくてはいけなかったからな。というより、用があったのはお前の方だ。アルバート」
せっかく楽になった体が、再び強張る。
私的な話など、あろうはずもない。
彼自ら用があったのなら、それは二国に関することだ。
「北が動き始めた。この折にどういう訳か、な」
「何だって!? 」
動き出した、とはどういうことだ。
攻めてくる?
クルルに?
「お前もろとも、クルルを潰そうと言うのかな。それとも、お前の手引きで支配しようと言うのか」
「そんなはず……!! 」
怒鳴ろうとして、やめる。
腕にいるジェイダが目に入ったのだ。
それにしても、頃合が良すぎる。
今回の訪問は極秘だったはず。
キースのせいで一部の国民にはバレたが、まさかもう国外まで広がっていようとは。
(……キース? まさか、そこまで……)
そんなことをして何になる。
ロイに言わせるなら、キースは馬鹿だ。
『私が仕えるのは、この国です』
大変結構なことだ。
自分に仕えてほしいなど、微塵も思わない。
だからこそ、そんな真似はしないと思いたい。
「とにかく、今は行け。時間が経てば、お前が拐われたとトスティータに連絡がいくのだろう。それはこちらにしても、得にはならない」
全く起きる様子もないジェイダを抱き上げる。
「訊かれたら、答えられるようにしておくことだ。……父は私と違って、冗談の通じる人間ではない」
「……分かった」
穏和に見えるクルル王を思い出し、寒気がする。だが、今はそんな場合ではない。
「レジーも連れていくよ」
「構わん。どうせ、何の情報も与えていない。だが、もしもこの国を貶めようとするなら……」
「そんなことするものか。ここにいる誰も」
キャシディはそれには応えず、興味をなくしたように身を翻す。
ロイも喚くレジーを黙らせ、部屋へと向かった。
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