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落涙
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「ん……」
目が開いてもなお、頭が働かない。
(ここは……)
どこだろう。
何をしていたのだったか。
身動ぎすると、しっかりと繋いだ手に引き留められる。
「あ……」
ロイ。
自分こそ大変だっただろうに、ベッドの脇で突っ伏していた。
あれから、どうなったのか。
徐々に記憶が蘇るにつれ、とても悲しくなる。
(……苦しいだろうな)
ロイの心情を思えば、ジェイダまできゅっと心臓を掴まれるようだ。
レジーとは和解できただろうか。
意識を失う寸前、レジーのロイへの態度は和らいでいたような気がする。
だが、辛いことにやはりロドニーは……。
「……ん、ジェイ……」
そこまで考えた時、彼の唇が動きヒヤリとする。
(寝言か)
それが自分の名前だったことに、くすぐったくなると同時に切なくもある。
「おやすみ、ロイ」
(どうか、悲しい夢は見ないで)
前に、彼が施してくれたような暗示。
恥ずかしいけれど、自分の夢だったらいいなと思う。
彼にだって、悲しみや辛さを忘れる時間は必要だから。夢であるなら、尚更だ。
自分が眠っている間に、彼もそうしてくれたように思えて。
ジェイダは恐る恐る、彼の瞼に唇を落とす。
そしてパッと離れ、寝ているのをいいことにまじまじと見つめた。
羨ましいほど、長くて綺麗な睫毛だ。
「……それだけ? 」
いきなりもう片方の手が伸びてきて、すぐそこでアイスブルーの瞳がパチッと開く。
「うきゃあ!! 」
驚きすぎて変な声が出たが、それどころではない。
咄嗟に仰け反ろうとしたが、ロイに阻まれてしまった。
「そんなんじゃ、王子様は眠り続けたままだよ」
「~~しっかり起きてるじゃない! 」
一体いつ、目が覚めたのか。
ゆっくり休んでほしくて、念じたつもりだったのだが。
「全然。まだ寝惚けてるよ。何か、うとうとしてるし」
そんなふうには見えないし、聞こえない。第一。
「だったら、寝てたらいいと思う! 」
バタバタともがいてみるが、ちっとも効かない。
それどころか、いつの間にやらロイがベッドに上がりこんでいた。
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