翡翠の森

中嶋 まゆき

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宣言

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「先に言われちゃったけど……僕も同じ気持ちです」

彼の声が変わったと思うと、その次には頭を下げていた。

「僕が相手で心配でしょうが……どうか、お願いします」

「ロイ!? 」

彼は何をしているのだろう。
それではまるで、結婚の許しでも貰うような――。

「だって、君のもうひとつの家族だろ」

「……そんな、私は……」

ロイの言葉に彼女が狼狽する。
――その先は、言わないで。

「……うん。ありがとう、ロイ」

照れ臭くて、逃げ出したいくらい。
でも嬉しいから、やっぱりここにいたい。
そんな甘酸っぱい気持ちを、消してしまわないで。

「ジェイダ!! 」

そんな気持ちをゆっくり味わう間もなく、わさわさと友人たちが集まってきた。

「いきなり消えたと思ったら……! 」

ぎゅっと抱き締められたり、怒られたりと忙しい。

「ほんとーに大丈夫なんでしょうね!? チャラチャラした王子様に騙されてるんじゃ……」

「う……酷い。でも、もう言われ慣れたわ」

そんなに不釣り合いだろうか。
慣れはするが、傷つくことは傷つく。

「……僕、そんなに軽そう? 」

「お気になさらず。ロイ様が見かけによらずお堅いことも、全然進めてないことも存じてますから」

ジンの嬉しくない励ましに、ロイは不機嫌だ。

「王子様だか何だか知らないけど! この色気も何もない、恋愛初心者を傷つけたら許さないからね! 」

泣きそうになりながらロイを睨む、彼女の気持ちが嬉しい。……色々、思うところはあるが。

「……肝に銘じておくよ」




帰り際。


「……君は、愛されてるんだね」

ぽつりと漏れた声はどこか寂しそうで。

「僕が拐ったりなんかしなくても……誰かが止めに入ったかも」

彼との出逢いを否定されてしまいそうで、ジェイダは急いで首を振る。

「だとしても、あの日ロイに逢えてよかったの」

あんまり急いで言ったのが恥ずかしい。
けれど、彼の言葉を肯定するような間は置きたくなかった。

「もちろん」

ロイの唇が髪に触れる。
杞憂だったようでほっとしたが、それでも恥ずかしさは増すばかり。特に、兄の視線とは痛いものだ。

「……しっかし。んな、甘ったるい真似してるくせに、何もないとかマジかよ。……ジェイダ、酷いことはされてないな?」

ギロリと鋭い目がロイを見、必要もないのにこれまでを振り返ってしまう。

「え、や、な、ないよ……!? 」

「……そこで挙動不審にならないで。僕が殺される」

(酷いことではない。うん……優しい? いや、意地悪だけど……)

真っ赤になる妹に軽く息を吐くと、レジーが言った。

「ならいっそ、もう少し健全な付き合いを続けてみろ、ロイ」

「……は……? 」

ロイの口許が引きつる。

「もうとっくに、お前のものになったんだと思ってたが。よく考えたら、再会したばかりの妹を食われたくない」

ロイの動きが、完全に停止している。
硬直しきった体に、ジェイダの目も泳ぐしかない。

「……僕に、これ以上耐えろっての? ……あのね、レジー。いくら可愛かった僕でも、成長はするんだよ。無茶言わないで」

(……私を間に挟まないでほしい)

「今は他に考えることがあるから、自制してるだけで。もう少ししたら、僕は普通の男の子に戻るんです! 」

男同士の会話についていけず、ジンにすがる。

「ジン~~っ! 」

彼女に助けを求めると、よしよしと頭を撫でて言うことには。

「お二人とも、続きは男だけの時に。ジェイダへの追及は、私がやりますから」


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