死ぬ前にしたい1のコト

中嶋 まゆき

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きみと、したいコト。

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欲望の塊。

キスが途切れ、実くんの顔が遠ざかったのを感じて、彼の袖を握って離さないとか。


「これ以上しちゃうと、止まらなくなる。実は、さっきから結構きてて。頑張ってるんだよ? また、当たんないように……ね。お預け、しないとでしょ」


冗談ぽく、冗談じゃないよって笑う実くんが、切なく見えるのは。
きっと、完全なる私の希望。


「こーら、一華さん。聞いてる? そんな、ぎゅってくっついたら、まじで当たるから……」

「……いいよ? 」


だって、まだぎゅっとくっついて、顔を隠してしか言えない。今日は素面だ。
それに、もちろん、何て言ったって。


「……え? 」

「あ、そ、その。だから、みのりくんが、嫌じゃなかったら……っ、じゃ、なくて……! 」

「一華さ……え、なに……」


――「好きな人に初めて」、初めてしたいって言う日。


「わ、たしと。セックスしてください」


だから、最初に出てきたみたいな、可愛いふりしたズルはしたくないと思った。
直球すぎて、告白した当日の、恋人になれてほんの数分には相応しくないかも、とも。


「いち……か、さん」


でも、他の言葉、知らなくて。
これから優しく大事にしてくれようとする大好きな人が、そっと身体を離したのを感じて、知識なんてこれっぽっちも出てきてくれなかった。


「……はぁ……一華さんは、本当にもう」


う。ふざけてなんかないんだけど。
やっぱり、馬鹿すぎたよね。
色気なんて、まったくない誘い方。
本人の申告によると、せっかく、た……いや、そう・・だったのに、そんな気分じゃなくなったって――……。


「俺が嫌とかあるわけないじゃん。あのね、お姉さん」


――仕方ない、って思ったのに。


「本当の本当にラスト、だよ。そうやって煽って、待ってあげるの。……いい? 」


こくん。
ドキドキしながら頷くより、実くんがちょっとだけ荒く私を引き剥がして、代わりに少し反らせるみたいに、私の背中を支えて。


「ごめん。今の、全然待ってなかった」


自然に上向いた顔を固定され、もう一度唇を奪われる。


「……移動しよっか」


そんな、敢えて言わなくてもいい誘導が、何度も噛みつくようにキスされて、ぼうっとする頭を起こす。
ぼんやりしてるのに、恥ずかしいのと熱いのだけは分かる私を見て、クスリと笑った。


「絶対、消さないよ? 」


寝室に入った瞬間、電気のスイッチに注がれた視線を辿り、実くんがにっこりする。


「……拷問……」

「やーっと初めて結ばれるって時に、何でそんなこと言うかな」


可愛くむーっとしてみせてるけど、声も顔もクスクスしてる。
だって、そうじゃない?
こうやって脱がされる間って、ただただ恥ずかしい。ある意味、一番普通の羞恥プレイだ。


「発想おかしいよ。こんな時に、そういう可愛くて変なことばっか言う口は……」


――何も言えなくしちゃおっか。







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