称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう

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第五章 王都魔物侵攻編

第106話 ユウト vs エルダーゴブリン・イクシード



「俺様の相手はお前だけか?他のお仲間もたくさん連れて来なくて大丈夫か?キッキッキッ」


目の前のエルダーゴブリン・イクシードは俺を見て嘲笑いながら挑発してくる。
どうやら俺のことを格下であると舐めているようだ。


「いや、俺一人で十分だよ」


普通なら少しだけでも不愉快だという気持ちが湧いて出て来るであろうところかもしれないが、今の俺にはそんな気持ちは一切なかった。むしろ目の前のエルダーゴブリン・イクシードにはほとんど興味関心がない。


「ほう、俺様相手にそんな大口が叩けるとは...ただの馬鹿なのかそれとも傲慢なのか、どっちだろうな~!キキッ」

「......」


俺はやつの軽口に返答しなかった。
というよりもする気が起きなかったのだ。

今の俺にとって重要なのはいち早くあのドラゴンゾンビ・イクシードを倒し、そしてローガンスを逃がすことなく倒すことだ。こんなところで悠長に時間を消費しているわけにはいかないのだ。


「悪いな、無駄口はそこまでだ。俺にはやらなければいけないことがあるから早急にこの戦いは終わらせる」

「キキッ!やれるものならやってみろや!!」


するとエルダーゴブリン・イクシードは自身の手の爪を伸ばし、超スピードで俺に向かって迫ってきた。やつはそのままの勢いで両手を大きく振り下ろし、爪による斬撃を繰り出す。

俺はその攻撃を難なくかわし、魔剣で背後から急所である首元を狙う。しかしやつは軽い身のこなしで体を回転させてその攻撃を鋭利で頑丈なその爪で受けた。

互いに火花を散らしせめぎ合う。
どちらも一歩も引かず拮抗していた。


そこで俺は闇魔法の隠蔽を合わせて密かに生み出した土魔法の棘で背中を狙う。だがしかし勘がいいのかやつは貫く寸前でその魔法に気づき、俺の剣の勢いを利用してその場から離脱することに成功した。

このエルダーゴブリン・イクシードはかなり戦闘のセンスがいいようだ。力の使い方や身のこなし、そして危機回避能力など今までの魔物とは段違いである。自身の力に奢り偉ぶるだけの実力は兼ね備えているようだ。


俺はそのまま相手に休む間を与えずに追撃を開始する。
そうして再び魔剣と鉤爪との剣戟が始まった。

だがやつは次第に表情から先ほどまであった余裕さがなくなってきて、苛立ちや焦りなどの感情で表情が徐々に険しくなっていっているようであった。

なぜならば先程からエルダーゴブリン・イクシードは回避や防御をしなければいけない場面が多く、なかなか攻勢に出られていないのだ。

見下していた俺相手に良いようにされているのだから余裕など無くなるのは必然だろう。

ただ俺も目的とは別のところで時間をかけ過ぎてしまっているからそろそろ終わりにしたいところである。


「キィィィィィィィィ!!!!!!」


突然エルダーゴブリン・イクシードが奇声と共に周囲にとてつもない威力の衝撃波を放ってきた。これはおそらく風魔法によるものだろう。

俺は10数mほど飛ばされてしまったが魔力障壁を展開しながらバックステップで衝撃波の威力を相殺してダメージは全くなかった。


「......俺様をよくもここまでコケにしてくれたな!悪いが様子見は終わりだ、ここからは本気で行かせてもらう!!後悔しても遅いからな!キッキッキッ」


そう言い放つとエルダーゴブリン・イクシードから先ほどまでの魔力とは比べ物にならない密度の魔力が放出され始めた。これはおそらく先ほどチラッと鑑定で見たときにあったやつの持つスキル『限界突破(オーバードライブ)』だろう。

たしかガーディスさんも持っていたExスキルだ。自身のステータスの数値を一定時間だけ大幅に底上げさせるスキルで、ここぞというときに使うスキルである。

それになんだか見た目も一回り大きくなったような気がする。ステータスの変化が肉体にも影響を及ぼしているのだろうか。


それ以外にもやつには変化があった。

突然エルダーゴブリン・イクシードの額に縦に切れ目が入ったかと思うとその部分が開いて大きな眼が現れた。その眼はギョロギョロと黒目を動かして辺りを見渡した後により大きく見開いてこちらを見つめてきた。

その瞬間、俺の体は強烈な重力で体が押し潰されそうになる。俺の足が超重力で徐々に地面にめり込んで足元の地面がひび割れていく。それに加えて何故だか魔力が上手くコントロール出来なくなっており、魔法の発動が出来なくなっていた。


「キッキッキ!これこそが俺様の真の姿だ...!この眼、ユニークスキル『覚醒眼(サードアイ)』で視認されたが最後、 お前は体の自由と魔力の使用を大幅に制限される!その状態でExスキル『限界突破(オーバードライブ)』を使った俺様に勝てる相手などいない!!さあ何も出来ずに痛めつけられて死にゆくがいい!!!」


自分の能力を大幅に上昇させて、かつ相手の能力を大幅に減少させる。
シンプルだが戦いにおいて致命的なほど効果的なスキルの組み合わせである。

しかしあの眼に視認されなければ制限は解除されるはず。
俺はそう考えて制限された魔力の中で透明化の魔法『インビジブル』を発動させた。


「キッキッキ!無駄なあがきとはまさにこのことだな。この眼に視認されたが最後と言っただろ?一度でもこの眼に視認されたら見えなくなろうとも効果は永続的に続くのだよ」


エルダーゴブリン・イクシードは消えた俺に向かって嘲笑いながらそう告げる。確かにやつの言う通りで透明化したところで覚醒眼の影響は先ほどまでと全く変わることはなかった。

だがしかし、能力が制限されていようともやつも俺の姿が分からなければ戦いにくいはずだ。俺は能力制限下ではあるが構わず透明状態のままエルダーゴブリン・イクシードに魔剣で攻撃を仕掛ける。


「本当に愚かだな、キッキッ!」


するとエルダーゴブリン・イクシードは透明状態なので見えていないはずなのにまるで見えているかのように的確に俺のいる方向へと火炎弾を放ってきた。

俺は何とか紙一重でその攻撃を避けてエルダーゴブリン・イクシードを魔剣の間合いに捉えた。


「...キッキッ」

「?!」


すると今度もまたまるで見えているかのように俺の魔剣による斬撃を自らの爪で軽く受け止めた。やはり能力が大幅に制限されている状況では俺の攻撃はやつの防御を突破することが出来なさそうである。


「お前、俺様のことを舐めているのか?俺様はゴブリン種の中でも最も優れたエルダーゴブリンであり、かつその壁を越えたエルダーゴブリン・イクシードだぞ?たかが透明化の魔法ごときでこの俺様を欺けると思っているのか?」

「...まあ、確かにその通りだな」


やつの言う通りこの『インビジブル』はただ体を透明化して視覚で認識することが出来なくなるだけの魔法だ。並みの冒険者や知能の高くない魔物相手ならこれで事足りるのだが、高レベルの冒険者や知能のやたら高い魔物相手では他の感覚を通じて感知されてしまう。

おそらくこのエルダーゴブリン・イクシードは周囲の空気の流れや微かな魔力の感知などで俺の姿が見えていなくとも正確に俺の動きを認識しているのだろう。

あるいは覚醒眼でデバフをかけている相手の居場所はどんな状態でも認識できるのかもしれない。そのどちらかは分からないにしても、やつには透明化なんて無駄なあがきでしかないということだ。


俺は観念して透明化の魔法を解除する。
その様子を見たエルダーゴブリン・イクシードはケラケラとこちらを見て笑い始める。


「キッキッキ!ようやく諦めがついたようだな。ただ俺様の覚醒眼による制限下で魔法を使いながら先ほどのような動きが出来る生き物はなかなかいないだろう。そこは誉めてやろう」

「...」

「キッキッ、まあだからと言ってお前が俺様に殺される未来は変わらないがな。さあ終わりだ、愚かな者よ!!!」


そう言い放つとエルダーゴブリン・イクシードは全速力でこちらへと詰め寄ってくる。そのスピードはやつの覚醒眼で能力を制限された状態では確実に対応できない程であり、やつは確実に俺を殺しに来ていた。一瞬にして俺の懐までやってきたエルダーゴブリン・イクシードはその鋭い爪を俺の胴体中央、心臓の位置に向かって勢いよく突き出す。





......キンッ!



勢いよく突き出されたエルダーゴブリン・イクシードの鉤爪は金属にぶつかるような音を鳴らして大きく跳ね返される。何が起こったのか分からないエルダーゴブリン・イクシードは目を丸くしてこちらを見る。

だが先ほどまで俺がいた場所には何もなく、さらに訳が分からなくなったエルダーゴブリン・イクシードは即態勢を整えて警戒を始める。


だがしかし次の瞬間、やつは腹部に走る強烈な痛みと共に後方へと大きく吹き飛ばされていた。その痛みと理由の分からない受けたダメージで着地が上手く出来ず、地面に叩きつけられて数mほど地上を転がった。


「グハッ?!......はぁ、はぁ、な、何だ?!」


エルダーゴブリン・イクシードは内臓をやられたのか大量の血を口から流していたが、やはり馬鹿げた再生能力を持っているようですぐに傷が治って起き上がってきた。


「やっぱり超越種はみんな再生能力がすごいんだな」


俺はゆっくりと歩きながらエルダーゴブリン・イクシードの元へと近づいていく。俺の声で気づいたのかやつはすぐに俺の方へと視線を向けた。その眼からは怒り、疑問、不快感と様々な感情が感じられる。


「お、お前ぇ!!!一体何をしたあああぁぁ!!!」

「何って、ただ殴っただけだけど?」


俺は激昂するエルダーゴブリン・イクシードに右手の握りこぶしを挑発するかのごとく見せつける。それを見たやつはさらに怒りのボルテージを上げるが、それと同時に疑問も湧きあがってきているようだった。


「お前は確かに俺様の覚醒眼で能力を大幅に制限されているはずだ。なぜ俺にこれほどまでのダメージを与えることが出来るのだ?!」

「ああ、確かに未だにお前のせいで体は重いし魔力のコントロールも上手くいかないよ。でも俺の能力が制限されてお前の能力が上昇したからと言って、お前より俺が下になったという訳じゃない」

「...だが、さっきまで俺の防御すら崩せていなかったじゃないか!!!」

「それはお前の覚醒眼の能力のほどを確かめるためだよ。どれくらい能力が制限されているのかを知っておきたかったからね」


俺が軽くエルダーゴブリン・イクシードの疑問に答えているとその内容にさらにやつの怒りは湧きあがっていき、ついにはやつの怒りの頂点へと達したようだ。


「お前ええええぇぇぇ!!!!!!よくもこの俺様をコケにしやがったな!!!!!!!!!!!!」


怒り狂ったエルダーゴブリン・イクシードは先ほどのスピードすら軽く上回る超スピードで突進してきた。そのまま鋭利な鉤爪で俺の体を貫こうと攻撃をしてくるが、俺はそれを難なくかわし続けていく。

自分の攻撃が全く当たらないことに更なる苛立ちを抱えたエルダーゴブリン・イクシードは攻撃の熾烈さをさらに増した。もう理性などまるでないかのようなその攻撃は辺りの環境をも巻き込みながら破壊衝動のままに暴れまわっているようであった。


「悪いが、もう終わりだ」


俺はそう呟いて魔剣を構えてエルダーゴブリン・イクシードの両腕を斬り飛ばす。俺の斬撃に全く反応が出来なかったエルダーゴブリン・イクシードは自身の斬り飛ばされた両手を見て目を丸くする。

しかしさすがは超越種、斬り飛ばされた腕が斬られた直後から再生を始めようとしていた。


「キイイイィィィィィィィ!!!!!!!!!!!」


腕が再生し切る前にエルダーゴブリン・イクシードは自身の鋭利な牙でさらなる追撃をしようと迫ってくる。もうやつには戦略の欠片もないようであった。


俺はそんなエルダーゴブリン・イクシードの胴体を水平に斬りつけ、そのままやつの首を跳ね飛ばした。斬り飛ばされた頭は力なく地面に転がっていく。だが未だにエルダーゴブリン・イクシードはこちらを血走った目で睨みつけていた。


「こ、これで勝ったと思うなよっ!!!すぐに再生してお前をぶっ殺してやる!!!!!!!!」

「そんなことさせると思うか?もう終わりだよ」


未だに力強く叫んでいるエルダーゴブリン・イクシードは首だけの状態からでもすぐに体が再生され始めていた。その生命力に少々驚かされるが、俺は冷たく言い放ち、すぐに額の覚醒眼めがけて魔剣を突き刺した。


「がはっ?!.......そ、そんな攻撃で終わる、わけが...」


魔剣を突き刺されたエルダーゴブリン・イクシードは徐々に先ほどまでの威勢を失っていき、その直後に聞こえたパリンッという何かが割れた音と共に静かになっていった。

いくら超越種と言えど生命活動の根源である魔晶石を破壊されては再生も出来ない。


だからこそ魔物は我々の心臓のように必死に自身の魔晶石を守る。エルダーゴブリン・イクシードも自身の魔晶石を体中を流動的に移動させて守っていたようだが、体積が小さくなっていけば移動させることもままならなくなる。

だからこそ再生する前に魔剣から魔力を通して覚醒眼から通じているであろう魔晶石を破壊すればいい。



「ふぅ、俺もちゃんと強くなっているみたいだな」


俺は自身の成長をしっかりと感じ、努力の成果をしっかりと実感していた。
これで今度こそ確実にやつを逃がさない!


俺は決意を固めたが、今は状況を冷静に判断しなければならない。地図化スキルで確認してみるとドラゴンゾンビ・イクシードとローガンスは先ほどから全く動いていないようだ。

おそらく俺が超越種を倒して自分のところまでたどり着くのを待っているのだろう。攻めてくる気配がないのであれば自分一人で突っ込んでいく必要はない。俺は今は一人じゃないのだから。


俺はローガンスのいる方向から逆方向に視線を移す。
そしてまずは他の超越種を早急に倒すべくみんなのところへと急いで向かっていった。


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