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まだ誰しもその過去を知るよしもないな

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プロローグ
暖かい春の息吹が暖かく部屋を包みこむ時、ぼくはぼんやり外を見ていた。
それは過去を慈しむように。
この春高一になる、成宮唯斗(なるみやゆいと)は入学式の朝にこんなこと考えてた

「あー、なんだっけあの女の子の顔、名前も覚えてない時点でその子ほんとにいたんかな」
ほんとに雰囲気ぐらいしか覚えてないのである。親に聞いてもだれその子とか言うし。
まぁ過去の事振り返っても仕方がないだからとりあえず今は、新しい高校生活を考えるか。

不思議な女の子
「あー疲れた」とても長い入学式が終わりこれからホームルーム。
教室でくでー、としてると横から声をかけられた。
「あの、前にあったことがある気がするんですが、心当たりあります?」
それはとても澄んだ声でまるで川のせせらぎのような声をしてる隣の席の肌白い女の子だった。
そしてとても見覚えのある声だった。
「え、不思議なんだけど僕も前あった気がしてたんだよね」
お互い初めてのはずなのにとても不思議である。
「あ、あの、もし良かったら連絡先交換して頂けませんか?同じクラスになったわけですし。それに私不思議な事は答えを見つけるまで追求したくなってしまうんで」
まぁ人間の追求心は誰にも抑えられるものでもないし、それに友達をたくさん作るつもりだったからいいかな。
「いいよ、友達になろうね。よろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします。」
こうして僕たちは連絡先を交換した。
そしてホームルームも無事終わり、家に帰った。
このあと誰しも二人が過去にどういう出会い方をしたのか知る由もない。
1巻終わり
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