23 / 58
第一章
23.餅を焼かれるスライム
しおりを挟む
『それで、今ボクが持ってるアイテムなんだけど~』
――ぽるんっ! ぽるんっ!
「わっ……葉っぱと石が出てきた」
『葉っぱの方が神樹の葉、石が火の魔石だよ』
「なんだかすごい……気がする」
『魔石はそんなにだけど、神樹の葉はかなり珍しいと思う! レアモノだよ~♪』
「へぇー……?」
そうは言ってもただの葉っぱに見えるもんねー、ピンと来ないよねー。
しかぁし!
これを売れば、ご飯を買ったり宿を取ったりできるのだー!
……売れるかなぁ。売れるといいなぁ。
『これ、買い取ってくれるお店ないかな?』
「さっき、ギルドの人が……何か言ってた」
『あ、そっか! ギルドに買取りカウンターがあるって言ってたね』
鑑定から査定、買取りまで、一挙に引き受けてくれるから便利だよって教えてもらったんだった。
まぁ、買取り価格は安いらしいけどネ。
でも色んな種類をほぼ確実に買い取ってくれるから、利用してる冒険者も多いんだって。
早速ボクたちもお世話になるか!
『じゃあ売りに行こ~』
「……いいの? これ、ニイムのでしょ?」
『別にいいよー。宿とご飯とになるんだったら、ボクも嬉しいからね!』
「……わかった。カウンター、行く」
『いぇーい、れっつごー!』
――ぽいんっぽいんっ!
***
『お金バンザイ! お布団バンザーイ♪』
――ぽいーんぽいーん♪
アイテムをさくっとお金に替えたボクたちは、宿屋で部屋を取った。
ギルドでの鑑定結果も思ってた通りだったから、収納スキルの特典が確定してひと安心!
ベッドとご飯がゲットできて、ホント良かったよ~。
フェリもだいぶ疲れたのか、ベッドに倒れ込んでる。
「ニイムも……他の人と話せたらいいのに、ね」
『ん~でも、今はフェリがいるからボクはそんなに困ってないよー。あ、喋るの面倒だった?』
冒険者登録の時も、買取りの時も、フェリはずっと喋りっぱなしだった。
ボクが言ってることもフェリに代弁してもらうから、大変そうだったもんねぇ。
「そ、そんなことないよ! 大丈夫……」
『なら良かった~』
ちょっと手間がかかるけど、ボクが喋れるようにならない以上、どうしようもないもんなぁ……。
あ、でも例外の人がいたね。
『そういえば、もう一人ボクの言葉が通じる人がいるんだよ~』
「えっ……ほんと? 誰?」
『っふっふっふ……リーリオ、かもぉーん!!』
いつも通り、呼び声に応えてウインドウが……って、リーリオさん、なんか怖いですよ。
な、何で無言で俯いてるの?
ほら、おキレイなお顔が見えないよ?
『…………ニイムさん……』
『ハ、ハイ』
ゴクリ。(飲み込むツバなんて無いけど)
『どうして……どうしてッ! 先に相談してくれなかったんですか!』
『えっ、相談? って、何の? どれ?』
『その子供ですよ! もうすっかり面倒見るおつもりですよね?!』
『う、うん。 乗りかかった船というか、拾ったら最後までお世話するのが筋というか……』
当のフェリはキョトンとしてる。
いきなり出てきたウインドウに驚いてるのか、リーリオの勢いに押されてるのか……。
『貴方が優しいのは知っています。可哀相な子を放っておけない人だということも……』
『リーリオ……』
もしかして、ボクたちのことを心配してくれてるのかな?
スライムと亜人の子供だけじゃ、生きていくのは大変だもんね……。
そうだよね、やっぱり心配だよね……。
『ですがッ! せっかくの二人旅が~! 私だけのニイムさんだったのに~! しかもその子供との方が仲良さそうじゃないですかぁ~! ヒドイですぅ~!!』
ええー……そっち~……?
――ぽるんっ! ぽるんっ!
「わっ……葉っぱと石が出てきた」
『葉っぱの方が神樹の葉、石が火の魔石だよ』
「なんだかすごい……気がする」
『魔石はそんなにだけど、神樹の葉はかなり珍しいと思う! レアモノだよ~♪』
「へぇー……?」
そうは言ってもただの葉っぱに見えるもんねー、ピンと来ないよねー。
しかぁし!
これを売れば、ご飯を買ったり宿を取ったりできるのだー!
……売れるかなぁ。売れるといいなぁ。
『これ、買い取ってくれるお店ないかな?』
「さっき、ギルドの人が……何か言ってた」
『あ、そっか! ギルドに買取りカウンターがあるって言ってたね』
鑑定から査定、買取りまで、一挙に引き受けてくれるから便利だよって教えてもらったんだった。
まぁ、買取り価格は安いらしいけどネ。
でも色んな種類をほぼ確実に買い取ってくれるから、利用してる冒険者も多いんだって。
早速ボクたちもお世話になるか!
『じゃあ売りに行こ~』
「……いいの? これ、ニイムのでしょ?」
『別にいいよー。宿とご飯とになるんだったら、ボクも嬉しいからね!』
「……わかった。カウンター、行く」
『いぇーい、れっつごー!』
――ぽいんっぽいんっ!
***
『お金バンザイ! お布団バンザーイ♪』
――ぽいーんぽいーん♪
アイテムをさくっとお金に替えたボクたちは、宿屋で部屋を取った。
ギルドでの鑑定結果も思ってた通りだったから、収納スキルの特典が確定してひと安心!
ベッドとご飯がゲットできて、ホント良かったよ~。
フェリもだいぶ疲れたのか、ベッドに倒れ込んでる。
「ニイムも……他の人と話せたらいいのに、ね」
『ん~でも、今はフェリがいるからボクはそんなに困ってないよー。あ、喋るの面倒だった?』
冒険者登録の時も、買取りの時も、フェリはずっと喋りっぱなしだった。
ボクが言ってることもフェリに代弁してもらうから、大変そうだったもんねぇ。
「そ、そんなことないよ! 大丈夫……」
『なら良かった~』
ちょっと手間がかかるけど、ボクが喋れるようにならない以上、どうしようもないもんなぁ……。
あ、でも例外の人がいたね。
『そういえば、もう一人ボクの言葉が通じる人がいるんだよ~』
「えっ……ほんと? 誰?」
『っふっふっふ……リーリオ、かもぉーん!!』
いつも通り、呼び声に応えてウインドウが……って、リーリオさん、なんか怖いですよ。
な、何で無言で俯いてるの?
ほら、おキレイなお顔が見えないよ?
『…………ニイムさん……』
『ハ、ハイ』
ゴクリ。(飲み込むツバなんて無いけど)
『どうして……どうしてッ! 先に相談してくれなかったんですか!』
『えっ、相談? って、何の? どれ?』
『その子供ですよ! もうすっかり面倒見るおつもりですよね?!』
『う、うん。 乗りかかった船というか、拾ったら最後までお世話するのが筋というか……』
当のフェリはキョトンとしてる。
いきなり出てきたウインドウに驚いてるのか、リーリオの勢いに押されてるのか……。
『貴方が優しいのは知っています。可哀相な子を放っておけない人だということも……』
『リーリオ……』
もしかして、ボクたちのことを心配してくれてるのかな?
スライムと亜人の子供だけじゃ、生きていくのは大変だもんね……。
そうだよね、やっぱり心配だよね……。
『ですがッ! せっかくの二人旅が~! 私だけのニイムさんだったのに~! しかもその子供との方が仲良さそうじゃないですかぁ~! ヒドイですぅ~!!』
ええー……そっち~……?
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる