楽しいスライム生活 ~お気楽スライムはスライム生を謳歌したい~

杜本

文字の大きさ
38 / 58
第二章

1.平和ボケスライム

しおりを挟む
 ボクとフェリは、久しぶりに二人きりの休日を楽しんでいた。
 たまには冒険を休んで町でゆっくりしようって、パーティーのみんなで決めたんだよね~。
 だから今は、気晴らしに町の散歩中!

『それにしてもフェリってば、かなり強くなったよねぇ』

「そう、かな……そうだったら、嬉しい」

『だってテイマーなのに従魔じゅうまのボクより強いじゃん! すごいよ!』

「ふふ……ありがとう」

 フェリと出会ってから数ヶ月が経った。
 クリス達とパーティーを組んで、ダンジョンに潜って……。
 危ないこともあったけど、みんなレベルも上がって強くなってきた。

 そして最近は特に、フェリが目を見張るような成長を遂げてる!
 最初は恐る恐る振ってた剣も今ではすっかり使いこなして、「テイマーってこんなんだっけ?」という感じだ。

 ボクの伸び率も良い方だと思うけど、フェリには負けちゃうね~。
 なんたって、ボクは消化の身体強化があるおかげだけど、フェリは純粋に努力と才能だもんなぁ……。
 ホントすごい! さすがパーフェクト・フェリちゃん!

『もうボクがいなくても、立派に冒険者としてやっていけそうなぐらいだね~』

「えっ……」

 フェリがピタリと止まった。

「ニイム……どっか行くの……?」

 え?
 ……あっ、違う違う!
 前フリみたいになったけど、そういう意味じゃないよ?!

『ち、違うよ! ただそれぐらい強くなったねーってだけだから!』

「そ、そっか……」

 ホッと息をつくフェリ。

 良かった、とんでもない誤解をされるところだったよ!
 まぁ、フェリが一人前になったらーっていうのは考えたりはするけどさ。

 大きくなって、お嫁さんをもらって、小さいけど温かい家に住んで……。
 そしたらお父さん(?)は喜んで送り出すよ……。

 そう、喜んで……よろこん、で……。

『うっうっ、お嫁さんをもらってもボクを忘れないでねぇ~フェリ~!』

「えっ?!」

『あ、ごめんごめん。妄想に感極まっちゃっただけだから、気にしないで』

「う、うん……?」

 最近はフェリ達と一緒にいるのにすっかり慣れちゃったなぁ。
 美味しいゴハンも食べられるし、みんなといるのも楽しいし、冒険にも行けるからレベルも上がる。
 トラブルの気配はゼロ!
 順調すぎて笑いが出ちゃうぐらいだねー、はっはー!

「ニイム、これからどこ行こうか……?」

『とりあえずブラブラして、気になるお店にテキトーに入る! とかどう?』

「……良いよ。おこづかいもあるし、ね」

『わーい、美味しそうなもの買お~! おやつだおやつ~♪』

――ぽーいんっ! ぽいっぽいっぽいんっ

「わっ……! 一人で先に、行かないで……!」

『だいじょーぶだいじょーぶ、この町なら大分慣れてきたし!』

 町の人達もボクの姿をすっかり見慣れてる。
 ブラックスライムのニイムちゃんの知名度はそこそこあるのだ!
 だから今じゃ、少しぐらい一人歩きしても平気なのでーす。

 さーて、美味しそうなスイーツはあーるっかなー♪

――ぽいんぽいんぽぃ……――ガシッ!

「おい。やっと見つけたぞ……」

 後ろからワシづかみにされたかと思うと、ボクの体が宙ぶらりんになった。

 え? 何? だ、誰かに捕まっちゃった?!
 ぎゃー誰っ?! まさかゴロツキ商人の追手?!
 あれから何も無かったから油断してたよー!

『わーん、離せ~! フェリ~、助けてぇ~!』

 ――もいっもいんっ! もいっもいんっ!

「おいこら、暴れるな」

「あ、あのっ……すみません、その子、ボクの従魔……なんです、けど……」

 フェリが控えめに、ボクを掴んでる男の人に声を掛ける。
 後ろから掴まれてるもんだから、どんな人なのかボクからは全然見えない……。

「……従魔? こいつが?」

「ぅ、は……はい」

 厳密には従魔じゃないけど……冒険者ギルドには従魔として登録してあるし、間違いじゃないよね?
 だから詰まらなくて大丈夫だよ、フェリ!
 もっと所有権を主張してして!

「……では、こいつを俺に譲れ。言い値を払おう」

『えっ?!』
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

幼子家精霊ノアの献身〜転生者と過ごした記憶を頼りに、家スキルで快適生活を送りたい〜

犬社護
ファンタジー
むか〜しむかし、とある山頂付近に、冤罪により断罪で断種された元王子様と、同じく断罪で国外追放された元公爵令嬢が住んでいました。2人は異世界[日本]の記憶を持っていながらも、味方からの裏切りに遭ったことで人間不信となってしまい、およそ50年間自給自足生活を続けてきましたが、ある日元王子様は寿命を迎えることとなりました。彼を深く愛していた元公爵令嬢は《自分も彼と共に天へ》と真摯に祈ったことで、神様はその願いを叶えるため、2人の住んでいた家に命を吹き込み、家精霊ノアとして誕生させました。ノアは、2人の願いを叶え丁重に葬りましたが、同時に孤独となってしまいます。家精霊の性質上、1人で生き抜くことは厳しい。そこで、ノアは下山することを決意します。 これは転生者たちと過ごした記憶と知識を糧に、家スキルを巧みに操りながら人々に善行を施し、仲間たちと共に世界に大きな変革をもたす精霊の物語。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

処理中です...