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第二章
10.わりと節穴スライム
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「まずソルジャースケルトン。ニイムが頭を狙えないのなら、お前がやるべきだ。何故やらなかった」
アインってば言い方が高圧的なんだから~、んもう。
でもそんな二人を見守っちゃう。
「ニ、ニイムが……モンスターに攻撃されちゃうと、思って……」
「次にミノタウロス。お前の攻撃量は明らかに多すぎた。あれでは攻撃されて当然だ。何故クリスのターゲットを奪った」
「ク、クリスさんが、危ないと……思って……ぼくが攻撃されても、とにかくやらなきゃって……」
うーん……なるほどなぁ。
無茶ばっかりしてたけど、フェリはフェリなりに必死だったんだね。
それが良くない方向ばっかりだったのが残念だけど……。
「そうか。お前は仲間を一切信用していないのだな」
「そっ、そんなことっ、ないですッ!」
珍しいフェリの大声に、クリス達も「何だ何だ」と視線を向けてきた。
「いいや。攻撃されたらやられる、早く倒さないとやられる、と考えているからそんな事をするんだ」
「そ、それは……ちが、違うっ……です……」
「何が違う」
「――ぼく、ぼくは!! ……あっ」
フェリは自分が大きな声を出していたことに気がついて、また小さくなってしまった。
「みんなを……モンスターから、守りたい……です。ケガ、してほしくない……死なないで、ほしい……から」
例え声は小さくても、フェリの心からの声だった。
フェリはみんなのことが大好きなんだ……。
「ならば戦い方を学べ」
「……え?」
「剣術のことではない。敵と対峙した時のことだ」
さっきまで纏っていた高圧的な雰囲気が、少し和らいだ。
「何も敵の攻撃を受け止めることだけが『仲間を守る』ではない。状況を冷静に把握し、的確な攻撃を行う。最も被害の少ない方法を考える。時には撤退も視野に入れる。こういった全てのことを学べ。そうすれば結果的に、仲間は無事にお前の元へと戻る」
「…………」
……わーすごーい、アインがたくさん喋ってる~。
良いこと言ってるんだけど、そっちの方が気になっちゃうよ、ぼかぁ!
いやでも、なるほどね。
前にシーロが言ってたパーティーの役割、ってやつだ。
力押しで戦うだけがパーティーじゃないもんね。
「まずはお前に合った戦技を考える方が先だがな。その片手剣と小盾を扱う型は合ってないように見える」
「えっ……そ、そうなん、ですか……?」
「ああ、そもそも体格が小さいなら盾は向かないだろう。竜人は双剣使いが多い。そっちに切り替えてみたらどうだ」
「……りゅう、じん……?」
竜人っていったらアレだ。ドラゴンの血が入った亜人のこと。
ものすーっごく数が少ない人達なんだけど……なんで今、竜人が出てきたの?
「お前は竜人だろう。ならば……」
「「「「えぇーーーー?!」」」」
ボクも、えーー!? だよ!!
フェリってば竜人だったの?! てっきり蛇人か蜥人かと思ってたよ!
驚き過ぎて、静かに見守ってたクリス達まで大合唱だよ?!
「……何だ。知らなかったのか」
「は、はい……お父さんも、お母さんも、特に何も……」
「竜人は独特の風習が多いからな。お前の両親がどういうつもりだったのか俺には分からないが……恐らくは時期をみて、ということだったのだろう」
「そう、なの……かな?」
フェリはあまりピンときてない顔だ。
そもそも竜人がどういう種族なのか知らないのかもしれない。
竜人は、戦いにはめっぽう強いって言われてる超レアな種族だ。
魔法にしろ剣にしろ、攻撃力がハンパないんだって。
急所を見抜くセンスみたいなものがあるのかなぁ。
そっかそっかー、やたらポテンシャルが高いと思ったら、竜人だったんだねぇ。
「とにかく焦るな。急いては碌な結果にならん上に、身に付かんぞ」
「は、はい……ありがとう、ございます」
「礼はいらん。今は俺も……仲間、らしいからな」
「ッ……は、はい!」
ふふふ~。
なーんだ、アインってば!
あんな素っ気ない態度とっておきながら、仲良くしたいんじゃーん!
『そうそう、アインの言う通り! 仲間は持ちつ持たれつ、ってね♪』
ボクは今、絶賛『持たれてる』状態だけどね! 物理的に!
「ニイム……。うん、これからはぼくも……一緒に、持てるように、だね」
『だよー!』
――ぽいんぽいーん♪
アインってば言い方が高圧的なんだから~、んもう。
でもそんな二人を見守っちゃう。
「ニ、ニイムが……モンスターに攻撃されちゃうと、思って……」
「次にミノタウロス。お前の攻撃量は明らかに多すぎた。あれでは攻撃されて当然だ。何故クリスのターゲットを奪った」
「ク、クリスさんが、危ないと……思って……ぼくが攻撃されても、とにかくやらなきゃって……」
うーん……なるほどなぁ。
無茶ばっかりしてたけど、フェリはフェリなりに必死だったんだね。
それが良くない方向ばっかりだったのが残念だけど……。
「そうか。お前は仲間を一切信用していないのだな」
「そっ、そんなことっ、ないですッ!」
珍しいフェリの大声に、クリス達も「何だ何だ」と視線を向けてきた。
「いいや。攻撃されたらやられる、早く倒さないとやられる、と考えているからそんな事をするんだ」
「そ、それは……ちが、違うっ……です……」
「何が違う」
「――ぼく、ぼくは!! ……あっ」
フェリは自分が大きな声を出していたことに気がついて、また小さくなってしまった。
「みんなを……モンスターから、守りたい……です。ケガ、してほしくない……死なないで、ほしい……から」
例え声は小さくても、フェリの心からの声だった。
フェリはみんなのことが大好きなんだ……。
「ならば戦い方を学べ」
「……え?」
「剣術のことではない。敵と対峙した時のことだ」
さっきまで纏っていた高圧的な雰囲気が、少し和らいだ。
「何も敵の攻撃を受け止めることだけが『仲間を守る』ではない。状況を冷静に把握し、的確な攻撃を行う。最も被害の少ない方法を考える。時には撤退も視野に入れる。こういった全てのことを学べ。そうすれば結果的に、仲間は無事にお前の元へと戻る」
「…………」
……わーすごーい、アインがたくさん喋ってる~。
良いこと言ってるんだけど、そっちの方が気になっちゃうよ、ぼかぁ!
いやでも、なるほどね。
前にシーロが言ってたパーティーの役割、ってやつだ。
力押しで戦うだけがパーティーじゃないもんね。
「まずはお前に合った戦技を考える方が先だがな。その片手剣と小盾を扱う型は合ってないように見える」
「えっ……そ、そうなん、ですか……?」
「ああ、そもそも体格が小さいなら盾は向かないだろう。竜人は双剣使いが多い。そっちに切り替えてみたらどうだ」
「……りゅう、じん……?」
竜人っていったらアレだ。ドラゴンの血が入った亜人のこと。
ものすーっごく数が少ない人達なんだけど……なんで今、竜人が出てきたの?
「お前は竜人だろう。ならば……」
「「「「えぇーーーー?!」」」」
ボクも、えーー!? だよ!!
フェリってば竜人だったの?! てっきり蛇人か蜥人かと思ってたよ!
驚き過ぎて、静かに見守ってたクリス達まで大合唱だよ?!
「……何だ。知らなかったのか」
「は、はい……お父さんも、お母さんも、特に何も……」
「竜人は独特の風習が多いからな。お前の両親がどういうつもりだったのか俺には分からないが……恐らくは時期をみて、ということだったのだろう」
「そう、なの……かな?」
フェリはあまりピンときてない顔だ。
そもそも竜人がどういう種族なのか知らないのかもしれない。
竜人は、戦いにはめっぽう強いって言われてる超レアな種族だ。
魔法にしろ剣にしろ、攻撃力がハンパないんだって。
急所を見抜くセンスみたいなものがあるのかなぁ。
そっかそっかー、やたらポテンシャルが高いと思ったら、竜人だったんだねぇ。
「とにかく焦るな。急いては碌な結果にならん上に、身に付かんぞ」
「は、はい……ありがとう、ございます」
「礼はいらん。今は俺も……仲間、らしいからな」
「ッ……は、はい!」
ふふふ~。
なーんだ、アインってば!
あんな素っ気ない態度とっておきながら、仲良くしたいんじゃーん!
『そうそう、アインの言う通り! 仲間は持ちつ持たれつ、ってね♪』
ボクは今、絶賛『持たれてる』状態だけどね! 物理的に!
「ニイム……。うん、これからはぼくも……一緒に、持てるように、だね」
『だよー!』
――ぽいんぽいーん♪
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