女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

文字の大きさ
151 / 754

寄り道 1



 ギルマスに、ギルドここの鑑定士さんにお世話になったのでお礼をしたいと伝えると、わざわざ鑑定士さんの所まで案内してくれた。

 鑑定士さんに丁寧にお礼を言ってからバスケットを渡すと、ラフトマトが大好物だったらしくとても喜んで受け取ってくれて、見ていたコンラートさんが「本当に美味そうなんだよな」と小さく呟いていたのがおかしかった。 お家で奥さまと一緒に食べてね!

 登録申請が済んだので首領の家に戻ろうと別れの挨拶をすると、ギルマスに突然、

「アリスさん、お金は好きですか?」

 と聞かれた。 何の冗談かと思ったが、ギルマスの表情かおが思った以上に真剣だったので、

「ええ、もちろん! 大好きです!!」

 と答えると、愉快そうに笑い出す。

 別れ際にするには変な質問だし、護衛組も一緒に笑っているのがどうにも解せない。 なんだろう?










 裁判所に行くコンラートさんと別れて首領の家へ向かっていると、後ろからアルバロを呼ぶ声がした。

 振り向くと、ベニートさんが息を切らしながら走って来る。

「アルバロ! アリスさん! 返事を預かってきたぞ!」

「おう、ご苦労さん!」
「ありがとうございます!」

 ベニートさんから手紙を受け取り、アルバロが依頼完了のサインをしてくれたのを確認して、インベントリからバスケットを取り出した。

「ベニートさん、先日は鑑定士さんを呼んでいただいてありがとうございました! 気持ちだけのお礼ですが、受け取ってください」

「ああ? ああ、あれは俺たちにも関係あることだったからな。礼なんていらねぇよ。 礼なら商業ギルドの鑑定士にしてやってくれ」

「鑑定士さんにもお礼を伝えて、これと同じものをお渡ししています。 だから、これはベニートさんに」

 最初は受け取ろうとしなかったベニートさんも、商業ギルドの鑑定士さんにもきちんとお礼をしたことを伝えると、

「そうか…。 ありがとうな! 美味そうなオレンジだ!」

 嬉しそうに受け取ってくれた。 ベニートさんはオレンジが大好きだったらしく、皮ごと齧りながら冒険者ギルドへ戻って行く。 

 必要な所へのお礼が済んで一安心だ^^









 手紙の返事は、「モレーノ裁判官の紹介なら無下にはできないから、16時~17時30分の間に牧場まで来るならミルクを譲る」とある。  やった! ミルクが手に入る♪

「ここからなら時間に少し余裕があるわね。 油屋が、裏門への道を少し遠回りするだけの所にあるから行ってみない?」

 返事を読んだマルタの提案に乗り油屋に向かっていると、どこからかコーヒーのいい香りが流れてきた。

「いい香り…」

「ん? ああ、少し先にコーヒー豆を扱う店があるんだ。 ……寄っていいか?」

「もちろん♪」

 ほんの少しだけ、足取りが軽く見えるイザックの後をわくわくしながら付いて行くと、赤い屋根のこじんまりとしたお店があった。 喫茶店ではなくコーヒー豆を販売する店のようだ。

「イザック、いい日に来たな! おまえの好きそうな豆がある」

「飲ませろ」

 イザックの行きつけの店だったらしく、店主はイザックの顔を見るのとほぼ同時に豆を挽き始めていた。

 置いている豆の味見をさせてくれるのは、嬉しい♪

「どうぞ」

 コーヒーの入った小さなカップを人数分出してくれると、店主は少し下がった位置で腕を組み、視線をハクとライムに固定した。  …皆の反応よりウチの従魔が気になるなんて、いい趣味してる♪

「うん、悪くない。 200gくれ」

 私には少し酸っぱく感じられたが、イザックは気に入ったらしい。 お子様味覚の甘党だと思っていたから意外だ。

「店主さん。酸味が少ない豆で、深煎りのものはありますか?」

「お嬢ちゃんは酸味が苦手かい?  じゃあ、これを試してくれ」

 店主が淹れてくれたコーヒーは少し苦味を強く感じたけど、多分これくらいでちょうど良い。

「500gください。 あと、それは売り物ですか?」

 店の隅に置いてある、コーヒーミルやドリップポットを指差しながら聞くと、店主は嬉しそうに頷いた。

「ああ。少しばかり割高だが、モノはいいものばかりだぞ!」

「では、コーヒーを淹れるための道具も一式。 3杯~5杯用のものをください」

「……お嬢ちゃん、うちで買ってくれるのは嬉しいが、一式揃えると高くなるぞ?  南区に大きい商店がある。種類も多いし、値段も抑えめだ」

 店主は少し商売っ気に欠けるようで、安く揃える為に余所の店を紹介してくれた。 良心的な店だな♪

「品質が良いのはどっちですか?」

「俺んとこだ!」

 店主はこだわって仕入れたのがわかるような、自信に満ちた笑顔で胸を張る。

「では、こちらで買います」

 売っておくれ!と笑顔を向けると店主も嬉しそうな笑顔になり、必要なものを揃えてくれる。

「コーヒーミル、ドリップポット、ドリッパー、ペーパーフィルター30枚、コーヒーメジャーにサーバーだな。 
 いらないものはあるか? コーヒーメジャーは普通のスプーンでも代用できるぞ」

「フィルターだけ100枚で。全部ください」

「そうか…。 よし、372,000メレだが、350,000メレでいい。それに豆が500gで」
「豆は俺が払う。1kgくれ」

「「イザック?」」

「自分で払いますよ?」
「大量買いすると品質が落ちるぞ。知ってるだろう?」

 いや、店主。そうじゃない。 イザックに払ってもらう理由がないんだよ!

「アリスのアイテムボックスなら大丈夫だから、安心しろ。 
 アリス、たまには俺も、ハクとライムに懐かれたいんだ! 払わせろ」
「んにゃ~ん♪」
「ぷっきゅ~ん♪」

「「ああっ!」」

 イザックが「払わせろ」と言い終わる前に、ハクとライムがイザックに向かって飛び込んでいる。 振られた格好のアルバロとエミルが恨めしそうに私を見るけど、そんなの知らないよ~!  

 私がアルバロとエミルに気を取られている間に、イザックはさっさと豆の支払いを終え、ハクとライムにすりすり・ぺろぺろされてご満悦だ。 

 うちの従魔たちはどこを目指しているんだろう……?

 イザックにお礼を言って店主にお金を支払うと、店主は1つずつ使い方を説明しながら商品を渡してくれる。

 店主いち押しのコーヒーミルは、ねじを締めたり緩めたりすることで、豆の挽き具合を調節できる優れものだった。これが値段を跳ね上げたらしい。 納得だ♪
感想 1,118

あなたにおすすめの小説

何もしなかっただけです

希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。 それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。 ――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。 AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。

前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。 前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。 外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。 もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。 そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは… どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。 カクヨムでも同時連載してます。 よろしくお願いします。

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。 【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】 本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。 Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited. © 魯恒凛 / RoKourin

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

虐げられた前王の子に転生しましたが、マイペースに規格外でいきます!

竜鳴躍
ファンタジー
気が付いたら転生していました。 でも王族なのに、離宮に閉じ込められたまま。学校も行けず、家庭教師もつけてもらえず、世話もされず。社交にも出られず。 何故なら、今の王様は急逝した先代の陛下……僕の父の弟だから。 王様夫婦には王子様がいて、その子が次期王太子として学校も行って、社交もしている。 僕は邪魔なんだよね。分かってる。 先代の王の子を大切に育てたけど、体が弱い出来損ないだからそのまま自分の子が跡を継ぎますってしたいんだよね。 そんなに頑張らなくても僕、王位なんていらないのに~。 だって、いつも誰かに見られていて、自分の好きなことできないんでしょ。 僕は僕の好きなことをやって生きていきたい。 従兄弟の王太子襲名の式典の日に、殺されちゃうことになったから、国を出ることにした僕。 だけど、みんな知らなかったんだ。 僕がいなくなったら困るってこと…。 帰ってきてくれって言われても、今更無理です。 2026.03.30 内容紹介一部修正

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。