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私と彼女
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一年前、一年生だった私は卒業式に何の感慨もなかった。
けれど、今日は違う。
厳かに、しめやかに行われた卒業式。心臓のあたりを力任せに押されるような重苦しさと、目の奥がツンっとするような寂しさをごちゃ混ぜにしたような気持ちになった。
言葉にしがたい気持ちと葛藤することになった理由は先輩以外になかったけれど、当の先輩は驚くくらい晴れ晴れとした顔で旅立っていった。
「それ、先輩の?」
初めて先輩と話した階段のてっぺん、屋上へ続く扉に背を預け、並んで座っている鈴のネクタイを見る。
「うん。最後の約束くらい守りたい。嫌だった?」
「ううん。……先輩のネクタイは鈴のだったのかな」
「どうだろうね」
小さく答えて、鈴が背もたれにしている扉にこつんと頭をぶつける。
卒業式が終わって一時間半ほど経った今、校舎に響いていた三年生の声は消えていた。春がそこまでやってきているというのに、人気のない空間はまだ少し寒くて私は肩をふるわせる。
鈴との仲は、表面上は変わっていない。でも、何もなかったわけではないから、以前とまったく同じというわけにはいかなかった。私たちの心を覆っている雲は、まだ晴れない。
「ねえ、晶。私、なんで晶に告白したと思う?」
鈴の唐突とも言える言葉に、修学旅行の夜を思い出す。あのときのことはよく覚えていて、だからこそ私は彼女の問いに淀みなく答える。
「人から何か頼まれたら断れなさそうだったから、でしょ」
「それ、半分本当で半分嘘。晶がそういう人だってわかるくらいに、晶のことを見てたから。知らないと思うけど、私、ずっと晶のこと見てたんだよ」
鈴が予習でもしてきたように滑らかに言う。
「……本当に?」
「本当に。一学期の自己紹介のときから見てた。鈴木って名字、私の名前が入ってるでしょ。だから、それから何となく気になって」
「ちょっと待って。そんなことがきっかけ?」
「きっかけなんて、そういう些細なものでしょ」
「まあ、確かにそうだけど」
言われてみれば、きっかけなんて取るに足らないようなものが大半で、それ自体にはそれほど大きな意味はないんだろうと思う。大切なのはその後、きっかけをどう発展させたかだ。
「なんか、適当じゃない?」
「適当じゃないよ。立派な理由でしょ」
そう言うと、鈴が肩をぶつけてくる。少しばかり大げさに痛がってみせると、ぺしんと伸ばした足を叩かれた。
私は、赤い上履きを見る。
四月になれば、今まで先輩の色だった青い上履きは新入生のものになり、私たちは三年生になる。見慣れた色は見慣れない景色に紛れ、いつかは馴染んでいく。
この校舎もそうだ。
今までは三年生の場所だったけれど、新学期には私たちの場所になる。
「鈴、屋上に出ない?」
私は、返事を待たずに立ち上がる。そして、座ったままの鈴の手を引っ張ると、ほとんど抵抗なく腰を上げた。
二人並んで、ずっと開けることが出来なかった屋上へ続く扉を開けると、青い空が目に飛び込んでくる。えいっと一歩踏み出すと、緑色のフェンスに囲まれた空間に、二年生の校舎から見る景色とは少し違った風景が広がっていた。
屋上の端まで歩いて、辺りを見回す。
校舎にも、グラウンドにも人影はほとんどない。
「なにか面白いもの見える?」
隣にやってきた鈴がフェンスに寄りかかる。
「二年生の校舎が見える」
「そりゃあ、ここ三年生の校舎だもん」
「だよねえ」
私も鈴と同じようにフェンスに背を預ける。外は、太陽が照っている分だけ階段に比べて暖かかった。
「隣の校舎に来ただけなのに、すごく遠くに来たみたいだよね」
空を眺めながら、鈴が言う。
私たちは過去に足を引っ張られ、階段の途中でずっと足踏みをしているような関係で、先に進むことができずにいた。それが少しだけ前に進んで、少しだけ景色が変わっただけなのに、なんだかとても遠くまで歩いてきたような気がする。
「近いけど、遠いって私たちみたい」
「どういうこと?」
「付き合いだしてから鈴との距離が近くなったと思ってたけど、そうじゃなかった。物理的には近かったかもしれないけど、気持ちの中ではずっと距離があったから。最初は、二人ともお互いのことを好きじゃなかったし。それに私は、鈴を好きになってからはすごく辛くて、恋愛って楽しくないんだって思ってた」
「……ごめん」
「謝らなくていいよ。鈴もそうだったでしょ」
きっと、鈴の中には楽しいことと同じくらい楽しくない雪花ちゃんと先輩の想い出がある。それは、私にも楽しいことと楽しくないことを連れてきた。
先輩の中にだって、楽しくて楽しくない想い出がたくさんあるはずだ。
「雪花ちゃんのことも、先輩のことも、全部なかったことになれば良いのにって思ったこともあるけど、全部なかったら、鈴と今、一緒にいなかった」
誰かを好きだと想う気持ちは、綺麗で汚い。
見たくない自分をいくつも見て、知りたくない自分をいくつも知った。でも、辛かったことも、悲しかったことも、全てが今に繋がっている。何が欠けても今はなくて、何が欠けても鈴を好きになっていなかった。誰かを好きになることは、良いことばかりではないけれど、悪いことばかりでもない。
私は今、鈴を好きにならなければ良かったとは思わない。
恋をしてモノクロだった世界は、色鮮やかに輝き始めている。
「そうだね。二人がいなかったら、晶のこと好きになってなかった」
ここまで来るために随分と長い時間をかけたように感じるけれど、実際はとても短い時間で、私たちはお互いのことを知っているようでよく知らない。
私はもっと彼女のことが知りたくて、ちょんと手の甲をぶつけて名前を呼ぶ。
「鈴」
「なに?」
「告白してもいい?」
「告白?」
不思議そうな顔をして鈴がこちらを向く。
「そう」
寄りかかっていたフェンスから体を離して、鈴を見る。
私たちがもっと前へ進むための一歩を踏み出すために、小さく息を吸って、ゆっくりと吐き出す。
そして、夕暮れの教室で鈴から聞いた言葉を口にする。
「鈴のことが好きだから、私の恋人になって欲しい。私たち、この場所からもう一度はじめようよ。今度は、何もしないって約束はできないけど」
これから鈴としたいこと。
それは、晴れない気持ちごと想い出を重ねて、新しい私たちを作っていくことだ。
一から全部やり直したところで、過去を消すことはできない。あったことを上書きしても、なくなったりもしない。そして、私は過去を消すことも、なくしてしまうことも望んでいない。今となっては、先輩のことも、雪花ちゃんのことも、私を構成する大切な一部になっている。
「私もそんな約束できないけど、いい?」
雲一つない青空の下、鈴が優しく笑う。
「いいよ」
短く答えてから、私は今の気持ちを彼女に伝える。
「鈴、好きだよ」
「私も好き」
疑ってばかりいた言葉が私の中にすとんと落ちていく。とても短い言葉なのに、その言葉は魔法のように心を照らす。少し前には考えられなかったほど、胸が温かくなる。
ふわふわとした鈴の髪が風に揺れる。
少しだけ緩められたネクタイに白い肌。
彼女に触れたくて、手を伸ばす。
「キスしてもいい?」
小さく尋ねて、手を握る。
鈴は、いいとは言わなかった。
返事のかわりに唇を塞がれる。
不意打ちのような口づけに、息が止まった。
柔らかな唇の心地よさに思わず握った手に力を込めると、すぐにその体が離れる。
「聞いたの、私なんだけど」
不満じゃないけれど不満そうに告げると、鈴が楽しそうに言った。
「ダメだった?」
「いいけど、誰かに見られてそう」
「したいって言ったの晶だから、誰かに見られてたら晶のせいだよ」
くすくすと笑って、鈴がフェンスの向こう側を見る。
視線の先に、生徒の影はない。例えあったとしても、今さらどうしようもないことで、私は鈴の手を引っ張った。
「ねえ、鈴。写真一緒に撮ろう」
「写真?」
「二人で一枚も撮ってないでしょ」
私は、扉の前に置き去りにしてきた鞄の中からスマートフォンを取ってくる。
屋上の真ん中、肩を寄せる。
乾いた電子音とともに、今日の私たちを閉じ込める。
頭上には、どこまでも続く青空。
スマートフォンの中には、二人の写真。
今日のことは、ずっと忘れないと思う。
私たちは穏やかな風に吹かれながら、もう一度唇を重ねた。
けれど、今日は違う。
厳かに、しめやかに行われた卒業式。心臓のあたりを力任せに押されるような重苦しさと、目の奥がツンっとするような寂しさをごちゃ混ぜにしたような気持ちになった。
言葉にしがたい気持ちと葛藤することになった理由は先輩以外になかったけれど、当の先輩は驚くくらい晴れ晴れとした顔で旅立っていった。
「それ、先輩の?」
初めて先輩と話した階段のてっぺん、屋上へ続く扉に背を預け、並んで座っている鈴のネクタイを見る。
「うん。最後の約束くらい守りたい。嫌だった?」
「ううん。……先輩のネクタイは鈴のだったのかな」
「どうだろうね」
小さく答えて、鈴が背もたれにしている扉にこつんと頭をぶつける。
卒業式が終わって一時間半ほど経った今、校舎に響いていた三年生の声は消えていた。春がそこまでやってきているというのに、人気のない空間はまだ少し寒くて私は肩をふるわせる。
鈴との仲は、表面上は変わっていない。でも、何もなかったわけではないから、以前とまったく同じというわけにはいかなかった。私たちの心を覆っている雲は、まだ晴れない。
「ねえ、晶。私、なんで晶に告白したと思う?」
鈴の唐突とも言える言葉に、修学旅行の夜を思い出す。あのときのことはよく覚えていて、だからこそ私は彼女の問いに淀みなく答える。
「人から何か頼まれたら断れなさそうだったから、でしょ」
「それ、半分本当で半分嘘。晶がそういう人だってわかるくらいに、晶のことを見てたから。知らないと思うけど、私、ずっと晶のこと見てたんだよ」
鈴が予習でもしてきたように滑らかに言う。
「……本当に?」
「本当に。一学期の自己紹介のときから見てた。鈴木って名字、私の名前が入ってるでしょ。だから、それから何となく気になって」
「ちょっと待って。そんなことがきっかけ?」
「きっかけなんて、そういう些細なものでしょ」
「まあ、確かにそうだけど」
言われてみれば、きっかけなんて取るに足らないようなものが大半で、それ自体にはそれほど大きな意味はないんだろうと思う。大切なのはその後、きっかけをどう発展させたかだ。
「なんか、適当じゃない?」
「適当じゃないよ。立派な理由でしょ」
そう言うと、鈴が肩をぶつけてくる。少しばかり大げさに痛がってみせると、ぺしんと伸ばした足を叩かれた。
私は、赤い上履きを見る。
四月になれば、今まで先輩の色だった青い上履きは新入生のものになり、私たちは三年生になる。見慣れた色は見慣れない景色に紛れ、いつかは馴染んでいく。
この校舎もそうだ。
今までは三年生の場所だったけれど、新学期には私たちの場所になる。
「鈴、屋上に出ない?」
私は、返事を待たずに立ち上がる。そして、座ったままの鈴の手を引っ張ると、ほとんど抵抗なく腰を上げた。
二人並んで、ずっと開けることが出来なかった屋上へ続く扉を開けると、青い空が目に飛び込んでくる。えいっと一歩踏み出すと、緑色のフェンスに囲まれた空間に、二年生の校舎から見る景色とは少し違った風景が広がっていた。
屋上の端まで歩いて、辺りを見回す。
校舎にも、グラウンドにも人影はほとんどない。
「なにか面白いもの見える?」
隣にやってきた鈴がフェンスに寄りかかる。
「二年生の校舎が見える」
「そりゃあ、ここ三年生の校舎だもん」
「だよねえ」
私も鈴と同じようにフェンスに背を預ける。外は、太陽が照っている分だけ階段に比べて暖かかった。
「隣の校舎に来ただけなのに、すごく遠くに来たみたいだよね」
空を眺めながら、鈴が言う。
私たちは過去に足を引っ張られ、階段の途中でずっと足踏みをしているような関係で、先に進むことができずにいた。それが少しだけ前に進んで、少しだけ景色が変わっただけなのに、なんだかとても遠くまで歩いてきたような気がする。
「近いけど、遠いって私たちみたい」
「どういうこと?」
「付き合いだしてから鈴との距離が近くなったと思ってたけど、そうじゃなかった。物理的には近かったかもしれないけど、気持ちの中ではずっと距離があったから。最初は、二人ともお互いのことを好きじゃなかったし。それに私は、鈴を好きになってからはすごく辛くて、恋愛って楽しくないんだって思ってた」
「……ごめん」
「謝らなくていいよ。鈴もそうだったでしょ」
きっと、鈴の中には楽しいことと同じくらい楽しくない雪花ちゃんと先輩の想い出がある。それは、私にも楽しいことと楽しくないことを連れてきた。
先輩の中にだって、楽しくて楽しくない想い出がたくさんあるはずだ。
「雪花ちゃんのことも、先輩のことも、全部なかったことになれば良いのにって思ったこともあるけど、全部なかったら、鈴と今、一緒にいなかった」
誰かを好きだと想う気持ちは、綺麗で汚い。
見たくない自分をいくつも見て、知りたくない自分をいくつも知った。でも、辛かったことも、悲しかったことも、全てが今に繋がっている。何が欠けても今はなくて、何が欠けても鈴を好きになっていなかった。誰かを好きになることは、良いことばかりではないけれど、悪いことばかりでもない。
私は今、鈴を好きにならなければ良かったとは思わない。
恋をしてモノクロだった世界は、色鮮やかに輝き始めている。
「そうだね。二人がいなかったら、晶のこと好きになってなかった」
ここまで来るために随分と長い時間をかけたように感じるけれど、実際はとても短い時間で、私たちはお互いのことを知っているようでよく知らない。
私はもっと彼女のことが知りたくて、ちょんと手の甲をぶつけて名前を呼ぶ。
「鈴」
「なに?」
「告白してもいい?」
「告白?」
不思議そうな顔をして鈴がこちらを向く。
「そう」
寄りかかっていたフェンスから体を離して、鈴を見る。
私たちがもっと前へ進むための一歩を踏み出すために、小さく息を吸って、ゆっくりと吐き出す。
そして、夕暮れの教室で鈴から聞いた言葉を口にする。
「鈴のことが好きだから、私の恋人になって欲しい。私たち、この場所からもう一度はじめようよ。今度は、何もしないって約束はできないけど」
これから鈴としたいこと。
それは、晴れない気持ちごと想い出を重ねて、新しい私たちを作っていくことだ。
一から全部やり直したところで、過去を消すことはできない。あったことを上書きしても、なくなったりもしない。そして、私は過去を消すことも、なくしてしまうことも望んでいない。今となっては、先輩のことも、雪花ちゃんのことも、私を構成する大切な一部になっている。
「私もそんな約束できないけど、いい?」
雲一つない青空の下、鈴が優しく笑う。
「いいよ」
短く答えてから、私は今の気持ちを彼女に伝える。
「鈴、好きだよ」
「私も好き」
疑ってばかりいた言葉が私の中にすとんと落ちていく。とても短い言葉なのに、その言葉は魔法のように心を照らす。少し前には考えられなかったほど、胸が温かくなる。
ふわふわとした鈴の髪が風に揺れる。
少しだけ緩められたネクタイに白い肌。
彼女に触れたくて、手を伸ばす。
「キスしてもいい?」
小さく尋ねて、手を握る。
鈴は、いいとは言わなかった。
返事のかわりに唇を塞がれる。
不意打ちのような口づけに、息が止まった。
柔らかな唇の心地よさに思わず握った手に力を込めると、すぐにその体が離れる。
「聞いたの、私なんだけど」
不満じゃないけれど不満そうに告げると、鈴が楽しそうに言った。
「ダメだった?」
「いいけど、誰かに見られてそう」
「したいって言ったの晶だから、誰かに見られてたら晶のせいだよ」
くすくすと笑って、鈴がフェンスの向こう側を見る。
視線の先に、生徒の影はない。例えあったとしても、今さらどうしようもないことで、私は鈴の手を引っ張った。
「ねえ、鈴。写真一緒に撮ろう」
「写真?」
「二人で一枚も撮ってないでしょ」
私は、扉の前に置き去りにしてきた鞄の中からスマートフォンを取ってくる。
屋上の真ん中、肩を寄せる。
乾いた電子音とともに、今日の私たちを閉じ込める。
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