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第3章 卵焼きと仲良しキャンプカレー

18.食べ物あるところに

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(これじゃ駄目だよな……そもそも物が当たるかも分からないけど……)

 そうこうしていると、テントの入り口が揺れ、隙間からするりと白い手が入ってきた。続いて着物の袖が見え、ついに頭部まで入って来る。
 そこには見覚えのある、白く長い癖っ毛が生えていた。

『か、神様!?』

『ふわー、疲れたわい。全く遠すぎじゃ』

 外から入って来たのは、なんとうちの神様だった。

『ちゃんと目も鼻も口もついている……』

『そんなもん落として来る程、そそっかしくないわい。ほれカレーじゃ、カレーを寄越さんか』

 私がしげしげと神様の顔を眺めていると、彼は勝手に私のカレーから幽霊を取り出して食べ始めた。

『来てくれたんですね! の、のっぺらぼうが出たんですよ!』

『うむ。真白から聞いておる。ん、いつもより甘いが……これはこれで美味いのう』

 神様の様子を見て羨ましくなったのか、こむぎが膝の上にぴょこんと乗ってきてカレーをせがむ。
 私は気を取り直して、一緒にカレーを食べながら話す事にした。先程起きた出来事を、改めて一通り説明する。

『先日の見越し入道と、何か関係があるんでしょうか……?』

『ふーむ、古典的な変化姿のチョイスからしても、恐らく関係あるじゃろうな……』

 神様はあっという間にカレーを平らげると、顎に手を当てて考え込んだ。
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