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第1章 東京浅草、魔王降臨す
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マスターはそう言って戸棚を閉めると、俺に伝票を手渡した。
「はい、じゃあ笑顔で注文取ってきてね」
マスターの視線の先を見ると、いつの間にか奥の席に二組お客さんが座っている。
「はい!」
それから俺は、接客をしたり、洗い物や掃除をしたりして過ごした。
客の数もそれほど多くなく、常連の静かな人が多かったので負担は少なかった。
基本接客業は、この顔のせいで客に怖がられたり、本当に怖い人に因縁をつけられたりするので、あまり得意ではなかったが、ここではそのような心配とは無縁だった。
「ありがとうございました」
常連の老紳士が退店した時点で、一度店内の客がゼロになった。
「お疲れ様、そうだ幸也ちゃん! これ見て!」
マスターが何やら思い出した様子で、カウンターの下から麻袋のようなものを取り出した。
それは、枕を半分にしたくらいの大きさで、袋には薄紫色の良く読めない文字と紋様が描かれていた。
「えーと、コーヒー豆……ですか?」
俺の言葉に、森田さんはニヤリと笑いながら頷く。
「ええ。兄貴が急に送ってきたんだけど、なんでもかなり希少な豆らしいの。あるジャングルの奥地でしか採れないとか言ってたけど……本当かしらねえ?」
以前聞いた話では、マスターのお兄さんも喫茶店の店主をしているらしかった。
と言っても、お店が有るのは浅草ではなく、森田家の実家がある田舎の方らしいのだが。
「へぇ~、美味しいんですか?」
俺が尋ねると、マスターは首を振りながら答えた。
「ん~、私もまだ飲んでないの。味が分からないままお客さんに出す訳にもいかないし、私達でちょっと試してみない?」
「いいんですか?」
「もちろんよ! 折角なら誰かと一緒に感想を言い合いたかったの。ちょうどお客さんも途切れたし、ちょっと休憩ね♪ 先に少し焙煎しておいたから、早速飲んでみましょう! これ持っててくれる?」
マスターはウインクして、俺に麻袋を手渡した。俺はそれを受け取ろうとして、またうっかり手を滑らせてしまう。
「あっ、すいません!」
袋を取り落しかけて、緩んだ麻袋の口から、数粒の豆と何かが床に転げ落ちた。
カラン!
「あら、大丈夫?」
マスターはコーヒーミルと焙煎後の豆を棚から取り出し、驚いた様子でこちらを振り返った。
俺はマスターの足元に屈んで、落ちた物を拾い上げる。
「すいませんでした……あの、豆の他に何か入ってたみたいです。星形の……何でしょうねコレ?」
それは、手のひらに収まるくらいの星形の物体だった。針金のような細い金属が絡み合い、中央に緑色の石が埋め込まれている。
「ペンダントヘッド……アクセサリーかお守りかしら? 輸入元で紛れ込んじゃったのかしらね? 紛争地の豆袋からは、たまに銃弾やなんかも出てくるらしいし……」
「うえー、そうなんですか!? それは物騒ですね」
「良かったらそれあげるわ。紐を通してうみちゃんにプレゼントしてあげたら?」
「え?」
「そんなに高価な物でも無さそうだし、日本まで来ちゃったら誰に返せば良いのか分からないしね。それよりお豆、結構良い香りよ♪」
マスターはもう星には興味が無さそうに、早速コーヒー豆を挽き始めた。
「は、はあ……」
うみが喜んでくれるかは分からないが、これからはあまり玩具も買ってやれないだろうし、くれると言うなら貰っておこう。
俺はそれをズボンのポケットに押し込んだ。
「はい、じゃあ笑顔で注文取ってきてね」
マスターの視線の先を見ると、いつの間にか奥の席に二組お客さんが座っている。
「はい!」
それから俺は、接客をしたり、洗い物や掃除をしたりして過ごした。
客の数もそれほど多くなく、常連の静かな人が多かったので負担は少なかった。
基本接客業は、この顔のせいで客に怖がられたり、本当に怖い人に因縁をつけられたりするので、あまり得意ではなかったが、ここではそのような心配とは無縁だった。
「ありがとうございました」
常連の老紳士が退店した時点で、一度店内の客がゼロになった。
「お疲れ様、そうだ幸也ちゃん! これ見て!」
マスターが何やら思い出した様子で、カウンターの下から麻袋のようなものを取り出した。
それは、枕を半分にしたくらいの大きさで、袋には薄紫色の良く読めない文字と紋様が描かれていた。
「えーと、コーヒー豆……ですか?」
俺の言葉に、森田さんはニヤリと笑いながら頷く。
「ええ。兄貴が急に送ってきたんだけど、なんでもかなり希少な豆らしいの。あるジャングルの奥地でしか採れないとか言ってたけど……本当かしらねえ?」
以前聞いた話では、マスターのお兄さんも喫茶店の店主をしているらしかった。
と言っても、お店が有るのは浅草ではなく、森田家の実家がある田舎の方らしいのだが。
「へぇ~、美味しいんですか?」
俺が尋ねると、マスターは首を振りながら答えた。
「ん~、私もまだ飲んでないの。味が分からないままお客さんに出す訳にもいかないし、私達でちょっと試してみない?」
「いいんですか?」
「もちろんよ! 折角なら誰かと一緒に感想を言い合いたかったの。ちょうどお客さんも途切れたし、ちょっと休憩ね♪ 先に少し焙煎しておいたから、早速飲んでみましょう! これ持っててくれる?」
マスターはウインクして、俺に麻袋を手渡した。俺はそれを受け取ろうとして、またうっかり手を滑らせてしまう。
「あっ、すいません!」
袋を取り落しかけて、緩んだ麻袋の口から、数粒の豆と何かが床に転げ落ちた。
カラン!
「あら、大丈夫?」
マスターはコーヒーミルと焙煎後の豆を棚から取り出し、驚いた様子でこちらを振り返った。
俺はマスターの足元に屈んで、落ちた物を拾い上げる。
「すいませんでした……あの、豆の他に何か入ってたみたいです。星形の……何でしょうねコレ?」
それは、手のひらに収まるくらいの星形の物体だった。針金のような細い金属が絡み合い、中央に緑色の石が埋め込まれている。
「ペンダントヘッド……アクセサリーかお守りかしら? 輸入元で紛れ込んじゃったのかしらね? 紛争地の豆袋からは、たまに銃弾やなんかも出てくるらしいし……」
「うえー、そうなんですか!? それは物騒ですね」
「良かったらそれあげるわ。紐を通してうみちゃんにプレゼントしてあげたら?」
「え?」
「そんなに高価な物でも無さそうだし、日本まで来ちゃったら誰に返せば良いのか分からないしね。それよりお豆、結構良い香りよ♪」
マスターはもう星には興味が無さそうに、早速コーヒー豆を挽き始めた。
「は、はあ……」
うみが喜んでくれるかは分からないが、これからはあまり玩具も買ってやれないだろうし、くれると言うなら貰っておこう。
俺はそれをズボンのポケットに押し込んだ。
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