39 / 92
第3章 魔王の参謀と花火大会
37
しおりを挟む
地上に降りた俺は、厩橋へと急ぐ。橋の入り口付近は交通規制がかかっており、順番に並んで歩かないと進めない状態だ。
仕方なく俺は列の後ろについて空を見上げ、悪魔達の姿を探した。
ドドン! ドンドン!
そうしている間にも、美しい花火が次々と夜空に打ち上がっていく。周囲の人間はそれを見るために空を見上げているのだが、俺はその綺麗な花火を楽しむ事もなく、夜の闇の方にひたすら目を凝らしていた。
やっと橋の上まで来ると、視界が開けて川が見渡せるようになる。
(いた!)
二人は花火よりはずっと下、川面から百メートルくらいの高さで追いかけっこを続けていた。
(あの馬鹿、今あんなとこをふらふら飛んでたら花火にぶつかっちまうぞ!?)
もしかすると花火師さん達も、カラスにしてはデカイ影に気が付いて、今頃驚いているかもしれない。とにかく面倒な事になってからでは遅い。
俺は焦りながら、人混みを掻き分けて欄干にじりじりと近づいて行った。
やっとの事で一番端まで来れたものの、ここからどうやってマオに危険を知らせれば良いのか分からない。
もたもたしていると、これから怒涛の連発スターマイン等が次々打ち上げられてしまう。
いくら悪魔だって、不意にいくつもの火の玉が直撃したら、怪我くらいしてしまうかもしれない。
ドンドンドン!
「たーまやー!」
背後で誰かが叫んだ。
(……どうせ、今ここに居る奴等とは二度と会う事も無いだろう。変な奴だと思われる事ぐらい、どうって事はない)
俺は覚悟を決めると、大きく息を吸い込んだ。
「マオーーーーっ!!!」
俺は欄干から身を乗り出すようにして、自分に出し得る限りの大声で叫んだ。川の上を飛ぶ影が、一瞬こちらを振り向いたように見えた。その時、
「いいぞいいぞー! もっと打ち上げろー!」
「ほらアンタ、酔っぱらってんじゃないよ恥ずかしい! ちゃんと前へ進みな!」
「立ち止まらず、ゆっくり進んでくださーい」
「ちょっとー! りょーちゃん待ってよー!」
何やら背後の人の流れが急に激しくなった。俺の身体はぐいぐいと欄干に押し付けられる。
「えっ?」
重心を前方に傾けているところを、誰かの荷物でも当たったのか、尻からぐっと持ち上げられて、俺の身体はバランスを失う。
「嘘だろ……?」
次の瞬間、俺は先日の鞄のように隅田川に真っ逆さまに落ちていた。
「おわああああ!?」
駄目だ。俺はやっぱり不幸な運命から逃れられないのだ。
そう思い目を閉じた瞬間、横から何かがものすごい勢いでぶつかってきた。
「なっ!?」
身体が落下していく感覚が、ぐんと押し上げられる感覚に変化する。
驚いて目を開けると、俺は厩橋の下を猛スピードで潜り抜けて反対側から空へと急浮上していた。
ドドドドドド!
橋の上から歓声が聞こえる。
目の前には連射された何十発ものスターマインが色とりどりに輝いていた。
「ほう、綺麗なものだな」
耳の横で知った声がした。俺はマオに背後から抱えられて、空を飛んでいたのだ。
仕方なく俺は列の後ろについて空を見上げ、悪魔達の姿を探した。
ドドン! ドンドン!
そうしている間にも、美しい花火が次々と夜空に打ち上がっていく。周囲の人間はそれを見るために空を見上げているのだが、俺はその綺麗な花火を楽しむ事もなく、夜の闇の方にひたすら目を凝らしていた。
やっと橋の上まで来ると、視界が開けて川が見渡せるようになる。
(いた!)
二人は花火よりはずっと下、川面から百メートルくらいの高さで追いかけっこを続けていた。
(あの馬鹿、今あんなとこをふらふら飛んでたら花火にぶつかっちまうぞ!?)
もしかすると花火師さん達も、カラスにしてはデカイ影に気が付いて、今頃驚いているかもしれない。とにかく面倒な事になってからでは遅い。
俺は焦りながら、人混みを掻き分けて欄干にじりじりと近づいて行った。
やっとの事で一番端まで来れたものの、ここからどうやってマオに危険を知らせれば良いのか分からない。
もたもたしていると、これから怒涛の連発スターマイン等が次々打ち上げられてしまう。
いくら悪魔だって、不意にいくつもの火の玉が直撃したら、怪我くらいしてしまうかもしれない。
ドンドンドン!
「たーまやー!」
背後で誰かが叫んだ。
(……どうせ、今ここに居る奴等とは二度と会う事も無いだろう。変な奴だと思われる事ぐらい、どうって事はない)
俺は覚悟を決めると、大きく息を吸い込んだ。
「マオーーーーっ!!!」
俺は欄干から身を乗り出すようにして、自分に出し得る限りの大声で叫んだ。川の上を飛ぶ影が、一瞬こちらを振り向いたように見えた。その時、
「いいぞいいぞー! もっと打ち上げろー!」
「ほらアンタ、酔っぱらってんじゃないよ恥ずかしい! ちゃんと前へ進みな!」
「立ち止まらず、ゆっくり進んでくださーい」
「ちょっとー! りょーちゃん待ってよー!」
何やら背後の人の流れが急に激しくなった。俺の身体はぐいぐいと欄干に押し付けられる。
「えっ?」
重心を前方に傾けているところを、誰かの荷物でも当たったのか、尻からぐっと持ち上げられて、俺の身体はバランスを失う。
「嘘だろ……?」
次の瞬間、俺は先日の鞄のように隅田川に真っ逆さまに落ちていた。
「おわああああ!?」
駄目だ。俺はやっぱり不幸な運命から逃れられないのだ。
そう思い目を閉じた瞬間、横から何かがものすごい勢いでぶつかってきた。
「なっ!?」
身体が落下していく感覚が、ぐんと押し上げられる感覚に変化する。
驚いて目を開けると、俺は厩橋の下を猛スピードで潜り抜けて反対側から空へと急浮上していた。
ドドドドドド!
橋の上から歓声が聞こえる。
目の前には連射された何十発ものスターマインが色とりどりに輝いていた。
「ほう、綺麗なものだな」
耳の横で知った声がした。俺はマオに背後から抱えられて、空を飛んでいたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
