59 / 92
第4章 欲望の悪魔と煌めきのカーニバル
57
しおりを挟む
「うっ……、そ、それはクラース様に美味しい人間界の料理を召し上がっていただくために……」
サマエルは明らかに焦っている。彼がここまで追い込まれるとは、やはりメレクは只者ではないのか。
「サマエルの欲望はさっき覗かせて貰ったからね。僕には誤魔化せないよ? で、クラースはどうして人間界に居残りたいのかな?」
メレクがマオに近付こうとすると、マオはじりじりと後ずさった。
その様子を見たメレクは、それ以上間合いは詰めず、大きなため息を吐く。
「ま、大体察しはつくからいーけど……君ももう子どもじゃないんだから魔王としての自覚は持ってよね? 後、その服微妙だからちゃんとお洒落なの着なよ?」
(……間接的にディスられた……)
俺は不意打ちでファッションセンスを悪魔に駄目だしされ、少し不機嫌になったものの、メレクはお構いなしに話を進めた。
「じゃ、お店が閉まらない内に僕原宿見て帰るから! またねー!」
「メ、メレク様!?」
メレクはサマエルの制止を無視して、楽しそうに笑顔を浮かべたまま溶けるように消えてしまった。
しばらく呆然とする一同だったが、そらが俺のシャツを引っ張った。
「にいちゃ、あのひとだれ?」
「……マオの知り合いらしい」
「マオはたくさんおともだちがいるのね!」
うみはにっこりとマオに微笑んだ。しかしマオは苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「厄介な事になりましたな……。あまり人間界に干渉し過ぎないように、メレク様には改めてお願いしてみますが、このような事が続くようなら、やはりクラース様も人間界にそう長居は出来ますまい……」
サマエルは悩まし気に眼鏡を正す。
マオの表情は益々暗さを増していた。
「さあ、皆さまお腹が空いていらっしゃるんじゃないですか? 気を取り直して夕飯にしましょう。今日はとびきり美味しいハンバーグをご用意しましたよ!」
「はんばぐ!」
「やったー!」
双子は一気に大はしゃぎだ。
「サマエルの作ったハンバーグなら確かに美味そうだな。どーりでいつも飯の完成度が高いと思ってたけど、そんなに人間界の飯に興味があったなんて全然気付かなかったぜ……さ、行こうぜマオ」
俺は浮かない顔をしているマオの背中を叩くと卓袱台に向かった。
俺達は美味しいハンバーグで腹を満たし、その後は双子と一緒に風呂に入ってゆっくりした。
(さっきのピンク頭、確かに態度はデカかったけど、そんなにすごい悪魔なのかなぁ……)
「っぶっ!!」
湯船に浸かって考え事をしていたら、そらに水鉄砲を喰らわされた。
「おい、そら!」
「そらやめてよー!」
そらはケラケラと楽しそうに笑っている。うみはお湯に漬けると髪の毛の色が変わるお人形と、大人しくお湯に浸かっていたところをやられたようだ。
俺達がきゃっきゃと騒ぎながら風呂から上がると、夕飯の片付けを終えたサマエルが魔界に引き上げるところだった。
「あ、お疲れ様。今日も飯美味かったわ」
「いえいえ、お粗末様です。あ、クラース様、お着替えはお待ちですか?」
「ああ……」
俺達と入れ替えに、マオが風呂に入って行った。
「……なあ、あのメレクって奴そんなに凄いのか?」
俺はそらの頭をゴシゴシと拭きながら、気になっていた事を尋ねた。
「ええ……まあその、私がクラース様のお目付役というお話はさせていただいたと思いますが、メレク様は先代のお目付役をされていたのです」
「え、先代ってつまりマオの父さん!?」
「……はい、ですので宰相の身でもメレク様には頭が上がりません。それはクラース様も同じかと……」
俺は悪魔の見た目年齢が益々分からなくなった。
「彼の動向は私も注視しますが、私の居ない間はクラース様を宜しくお願い致します」
サマエルはそう言って俺に一礼すると、静かに闇に消えていった。
サマエルは明らかに焦っている。彼がここまで追い込まれるとは、やはりメレクは只者ではないのか。
「サマエルの欲望はさっき覗かせて貰ったからね。僕には誤魔化せないよ? で、クラースはどうして人間界に居残りたいのかな?」
メレクがマオに近付こうとすると、マオはじりじりと後ずさった。
その様子を見たメレクは、それ以上間合いは詰めず、大きなため息を吐く。
「ま、大体察しはつくからいーけど……君ももう子どもじゃないんだから魔王としての自覚は持ってよね? 後、その服微妙だからちゃんとお洒落なの着なよ?」
(……間接的にディスられた……)
俺は不意打ちでファッションセンスを悪魔に駄目だしされ、少し不機嫌になったものの、メレクはお構いなしに話を進めた。
「じゃ、お店が閉まらない内に僕原宿見て帰るから! またねー!」
「メ、メレク様!?」
メレクはサマエルの制止を無視して、楽しそうに笑顔を浮かべたまま溶けるように消えてしまった。
しばらく呆然とする一同だったが、そらが俺のシャツを引っ張った。
「にいちゃ、あのひとだれ?」
「……マオの知り合いらしい」
「マオはたくさんおともだちがいるのね!」
うみはにっこりとマオに微笑んだ。しかしマオは苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「厄介な事になりましたな……。あまり人間界に干渉し過ぎないように、メレク様には改めてお願いしてみますが、このような事が続くようなら、やはりクラース様も人間界にそう長居は出来ますまい……」
サマエルは悩まし気に眼鏡を正す。
マオの表情は益々暗さを増していた。
「さあ、皆さまお腹が空いていらっしゃるんじゃないですか? 気を取り直して夕飯にしましょう。今日はとびきり美味しいハンバーグをご用意しましたよ!」
「はんばぐ!」
「やったー!」
双子は一気に大はしゃぎだ。
「サマエルの作ったハンバーグなら確かに美味そうだな。どーりでいつも飯の完成度が高いと思ってたけど、そんなに人間界の飯に興味があったなんて全然気付かなかったぜ……さ、行こうぜマオ」
俺は浮かない顔をしているマオの背中を叩くと卓袱台に向かった。
俺達は美味しいハンバーグで腹を満たし、その後は双子と一緒に風呂に入ってゆっくりした。
(さっきのピンク頭、確かに態度はデカかったけど、そんなにすごい悪魔なのかなぁ……)
「っぶっ!!」
湯船に浸かって考え事をしていたら、そらに水鉄砲を喰らわされた。
「おい、そら!」
「そらやめてよー!」
そらはケラケラと楽しそうに笑っている。うみはお湯に漬けると髪の毛の色が変わるお人形と、大人しくお湯に浸かっていたところをやられたようだ。
俺達がきゃっきゃと騒ぎながら風呂から上がると、夕飯の片付けを終えたサマエルが魔界に引き上げるところだった。
「あ、お疲れ様。今日も飯美味かったわ」
「いえいえ、お粗末様です。あ、クラース様、お着替えはお待ちですか?」
「ああ……」
俺達と入れ替えに、マオが風呂に入って行った。
「……なあ、あのメレクって奴そんなに凄いのか?」
俺はそらの頭をゴシゴシと拭きながら、気になっていた事を尋ねた。
「ええ……まあその、私がクラース様のお目付役というお話はさせていただいたと思いますが、メレク様は先代のお目付役をされていたのです」
「え、先代ってつまりマオの父さん!?」
「……はい、ですので宰相の身でもメレク様には頭が上がりません。それはクラース様も同じかと……」
俺は悪魔の見た目年齢が益々分からなくなった。
「彼の動向は私も注視しますが、私の居ない間はクラース様を宜しくお願い致します」
サマエルはそう言って俺に一礼すると、静かに闇に消えていった。
0
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる