貴方のことは好きだけど…

ぽぽ

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勝手にしてくれ

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「はあ、これだから女とかめんどくさいねん
夫が言うことに対して、はい、いいえの2択で答えればいい話やろ」

亭主関白
伊織の女性を軽視したような発言なんてもう聞き慣れている

"めんどくさい"

その言葉も恵麻の心の中にしこりを残していった
女は抱いて捨てるを繰り返してきた伊織は女の慰め方などしらない
いつものように恵麻を軽蔑するような言葉が飛び出す

恵麻以外の人間にはこんなに気性が荒くなることもないというのに

「な、伊織様、あのお、お話が…」

「こんなめんどい女の話聞いてられんわ」

恵麻を頬に伝う涙を手の甲で拭って、声を詰まらせながら話す様子は伊織を余計にイラつかせた

伊織はその後、食事に一切手をつけることもなく何も答えようとしない恵麻にイラつきを見せながら部屋を後にした


その日の夜

寝室に入ってきた伊織は恵麻のことを見ることもせず無言で布団の中に入る

「伊織様」

「…」

伊織は恵麻の呼びかけにも応じず、寝返りを打って恵麻へと背を向けた

「私はこの家にいてよろしいのでしょうか」

消え入りそうな声で呟く

「……知らん
勝手にすればええやん」

勝手にすればいいとは特に必要としてない、いつでも出ていけばいい

そんな意味だと捉えたは完全に必要がない存在なのだと理解した
恵麻は伊織に背中を向け、自然と溢れてくる涙が枕を濡らしていく
泣き声が漏れないように口元を必死に手で抑えながら布団を頭まで深くかぶった
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