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守りたい
しおりを挟む苑の自宅は高級タワーマンションの一室。
自分の生まれ持った才能で金を稼ぎ、恵麻を粗末に扱う態度が耐えきれなくなった苑は実家を早々に飛び出した。
恵麻はマンションの外観だけでも圧倒されていた。しかし、部屋にはいるとぐるりと一周見渡してから不機嫌そうに頬を膨らます。
「すっごい!!
苑はこんなところに住んでたの??
でも、私を招待してくれないなんてひどい!」
あんなに懐いていてくれた苑が姉を招待したくないと思うほどに、いつのまにか姉離れをしてしまったのではないかという疑惑の目を苑へと向ける。
「姉さんは伊織さんから1人での外出禁止されてたでしょうが」
「確かにそうね
でも、久しぶりにこうして姉弟水入らずで嬉しいわ!」
恵麻は苑の細くもしっかりと筋肉のついた腰に抱きつき、笑みを浮かべる。
子供のように無邪気に笑う恵麻に対して、つられて笑みを浮かべた。
金剛家では自分の感情を押し殺していたため、家族である苑を目の前にすると自然と表情も豊かになる。
苑は自分の腹部に回った小さく透明感のある白さを放つ手に自分の手を重ねて強く握る。
「苑?」
「姉さん、本当にあの家でよく耐えたよ
もう無理なんてしなくていいから
家の利益のために自分を売ろうとしないで」
恵麻が金剛家へ嫁いで以降、毎日連絡を取り合っていたが、やがて伊織から連絡の制限までされるようになり、最終的には連絡が取れない状態となっていたため日々不安が募っていた。
そして、知り合いからは金剛家に対して良い噂は聞かない。
そのせいで落ち着きも失っていた。
姉から離婚をしたと聞いて、最初は驚いていたが、ほとんどが安心だったのかもしれない。
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