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2人きり
しおりを挟む伊織も車に乗り込むと、車のエンジンがかかり、恵麻の緊張も加速される。
「そういえば、恵麻ちゃんとドライブデートなんてするの初めてやなあ
こんな形でドライブするとは思わんかったけど」
目を細めて、バックミラー越しに映る恵麻を見る。
その視線に気づき恵麻は身を縮こまらせた。
これをデートと言うべきなのか。
車内は会話があるわけではなくシンとしていて、車を走らせる音と、かすかな外の音だけが聞こえてくる。
ひたすら外の景色を眺めながら、車の揺れに身を任せている間に視界が徐々に狭くなっていくのを感じた。
時刻は既に2時
昨日の晩も不安からかろくに寝ていなかったため、睡魔に負けそうになり目を閉じて意識が飛びそうになった瞬間に目を覚ますという行為を繰り返していたが、次第に限界が来て恵麻は静かな寝息を立てて眠ってしまった。
目を覚ますと、身体が暖かい何かに包まれているような感覚がする。
仰向けの状態の視界には見慣れた木目の入った天井。
ここは金剛家?
車の中で眠ってしまったような…
恵麻はそう思いながら、周りを見渡そうと隣に目を向けると、スヤスヤと気持ちよさそうに眠る伊織の端正な顔が鼻と鼻が触れ合いそうなほど近くにあった。
「っ!!!」
驚きで声をあげそうになり、口を両手で強く塞ぐ。
なぜ伊織様がここにいるの?
なぜ私は再び金剛家に足を踏み入れているの?本当にここは金剛家なの?!
様々な疑問が頭の中でどんどん湧いてくる。
それに、あれ以降苑に連絡を入れていなかったことに気づく。
絶対に心配してるはず。
何か連絡手段を探しにいこうと、起きあがろとすると体には伊織の筋肉質な腕が恵麻の体に巻きついていた。
どかそうとするも、非力な恵麻では動じない。
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