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しおりを挟む「別に男女で何かがあってもいいっしょ
菫はもう立派な大人だし、蒴が言わなくても自分で判断できるよ」
「菫はそういう危機感持ってないから俺が言わないと簡単に男に流されるかもしれないし」
「んん~」
すると、菫が唸りながら恭弥の首元に顔を擦り付ける。
「菫」
蒴がその行動を止めようと名前を呼んだ途端、蒴の部屋の扉が開く。
扉から伺うように顔を出したのはパジャマ姿の美香だった。
「蒴?なんか外が騒がしかったから様子見に来たんだけど…」
「ごめんね、美香
うるさくて起きちゃったかな?友達と偶然会ったからちょっと騒がしくなっちゃった
えっと…友達の恭弥」
蒴は苦笑いを浮かべる。
恭弥は美香に向かって取引先の営業のときのように外面用の笑みを浮かべた。
「どうも、はじめまして
恭弥っていいます。蒴の小学校からの幼馴染です
こんな姿ですいません」
「そうなんですね、はじめまして
蒴の彼女の美香です
よろしくお願いします
おぶられている方は菫ちゃん…??ですか?」
美香は恭弥の背中をそっと覗き込む。
「はい、慣れない酒飲んで撃沈したんでこんな感じになっちゃってます。
俺も菫の幼馴染なんですよ」
「わあ、そうなんですね!
小さい頃からの幼馴染なんて素敵」
「そうでしょう?可愛い幼馴染なんですよ」
2人が話し込んでいると、蒴が間に入る。
「それより美香
その格好じゃ体冷えるから部屋で待ってな」
蒴にそう言われた途端、自分がパジャマ姿であることを思い出して顔を赤くした。
「蒴、私一旦部屋に戻って着替える!」
「着替えなくていいよ、美香
寝てて大丈夫。すぐ戻るから」
「わかった、では失礼します。
おやすみなさい」
蒴は美香の頭を優しく撫でた。
嬉しそうな顔をしながら美香は部屋に戻っていく。
「可愛い彼女じゃん
同棲してんの?」
「同棲ではないけど、最近は美香がよく家に来るかな」
「幸せそうで何より
他の女にかまけて、彼女心配させちゃダメなんじゃない?
てことで、蒴も冷えるから部屋に戻りな」
「だから、菫を回収してから戻るって
恭弥に迷惑かけるわけにもいかないでしょ」
蒴はまた苦笑いを浮かべながら菫に向かって手を伸ばす。
「恭弥くーん
私のカバンの中に鍵が入ってるからとって。部屋の中入ろう」
恭弥の背中から菫の間延びした声が聞こえてきて、目を覚ましたことに気づいた蒴は菫に近づいていく。
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