92 / 105
.
しおりを挟む「蒴、お前って出かける前、電気消しとくタイプじゃなかったっけ…」
恭弥は恐る恐るといった様子で煌々と光る蒴の部屋の窓を指す。
流石の蒴も驚いた様子でドアノブに手をかけたと同時に扉が開かれる。
「蒴、おかえり」
部屋の中からふわふわした白色の寝巻きを纏った美香が現れた。そして、目の前の蒴に笑顔を浮かべ腰に腕を回し抱きつく。
「えっと…美香、何やってるの?」
「蒴に会いたくなったから家に来ちゃった
この前、合鍵渡してくれていつでも来てもいいよって言ってくれたでしょ??」
美香が蒴を見上げながら可愛らしく首を横に傾げる。
だが、なかなか返事をしない蒴をみて、不安気な表情を浮かべる。
「あ、菫ちゃんと恭弥さんが遊びに来る予定だったんだね?」
美香は菫と恭弥の存在に気づき、少し照れた様子で蒴から離れる。美香は軽く頭を下げるも菫はそれを返せない。以前の美香の話を聞いて以来、警戒心が生まれてしまった。
「いや、そういうわけではないけど、菫が俺の家に忘れていったものを持っていってもらおうかなと思って」
「そうだったんだね
菫ちゃんのもの結構残ってるもんね
私まとめておこうか?」
「大丈夫、菫にいるものいらないもの決めてもらうから」
「そう?あ、お二人ともどうぞ」
美香はまるで自分の家かのように家の中に2人を案内しようとする。以前のことがあって美香がなぜここまで平然としているのか菫は不思議でたまらない。
「どうも~、じゃあ遠慮なく2人の愛の巣に入ろうかな、菫入ろ」
恭弥が菫の背中を押して、部屋の中に一緒に入ろうとするも菫がその場に立ち止まって拒む。
「私帰るっ!」
「帰るってどうやって帰るの?」
蒴の突然冷たくなった声に菫は肩を震わせる。
「歩いて帰る」
「歩くってどんだけ距離があると思ってるの
それに夜道は危ないってこと何度も伝えてるよね?」
「……」
菫が黙ってしまうとその様子を横で見ていた美香が両手をパンと音を立てて合わせる。
「そういえば私ワイン買ってきたんですよ
良かったら4人で飲みませんか?」
脈絡もなく空気の読めない発言をした美香に対して誰も返事を返せずにいると、美香が蒴の腕に抱きついた。
31
あなたにおすすめの小説
大好きな彼の婚約者の座を譲るため、ワガママを言って嫌われようと思います。
airria
恋愛
「私、アマンド様と愛し合っているの。レイリア、本当にごめんなさい。罪深いことだとわかってる。でも、レイリアは彼を愛していないでしょう?どうかお願い。婚約者の座を私に譲ってほしいの」
親友のメイベルから涙ながらにそう告げられて、私が一番最初に思ったのは、「ああ、やっぱり」。
婚約者のアマンド様とは、ここ1年ほど余所余所しい関係が続いていたから。
2人が想い合っているのなら、お邪魔虫になんてなりたくない。
心が別の人にあるのなら、結婚なんてしたくない。
そんなわけで、穏便に婚約解消してもらうために、我儘になってナチュラルに嫌われようと思います!
でも本当は…
これは、彼の仕事の邪魔にならないように、自分を抑えてきたヒロインが、我儘に振る舞ううちに溺愛されてしまう物語。
偽りの婚約者だった私を捨てたあなたへ——今さら何のご用ですか?
usako
恋愛
婚約者に捨てられ、すべてを失ったと思っていた——。
けれど、そこで終わりではなかった。裏切りの記憶を胸に、地道に努力を重ねた主人公は、数年後、仕事でも恋でも頂点に立つ。
そんな彼女の前に、かつて彼女を踏みにじった男たちが現れる。
「あの時とは違う」と縋る声に、彼女は穏やかに微笑んで言う——「今さら何のご用ですか?」
ざまぁ、そして溺愛。冷たく燃える“恋と復讐”のシンデレラ・ラブストーリー。
好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。
石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。
すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。
なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
「好き」の距離
饕餮
恋愛
ずっと貴方に片思いしていた。ただ単に笑ってほしかっただけなのに……。
伯爵令嬢と公爵子息の、勘違いとすれ違い(微妙にすれ違ってない)の恋のお話。
以前、某サイトに載せていたものを大幅に改稿・加筆したお話です。
私の大好きな彼氏はみんなに優しい
hayama_25
恋愛
柊先輩は私の自慢の彼氏だ。
柊先輩の好きなところは、誰にでも優しく出来るところ。
そして…
柊先輩の嫌いなところは、誰にでも優しくするところ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる