好きな人の好きな人

ぽぽ

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扉を開けると、食欲をそそるような匂いが漂ってきた。匂いの元を辿ると、テーブルの上に2人分とは思えないほどの料理が置かれていた。
ローストチキンやさまざまな色の野菜が乗ったサラダ、グラタンなどが置かれていた。

蒴のいない短時間でここまで仕上げてしまう美香の料理の腕に菫は驚きを隠せない。


「ちょっと作りすぎちゃって…」


美香は照れ笑いを浮かべながら、キッチンに向かって歩いていき戸棚から皿を取り出す。皿やグラスが2つずつばかりしかない理由が今になってわかった。菫の胸がズキリと痛み出す。

嫌々でありながらも逃げ場のなくなった菫は先に座っていた恭弥の隣に腰をかけた。
目の前に並べられた料理の匂いに自分の意思とは反して腹が音を立てる。

想像以上に大きく鳴ったその音が聞こえたのか斜め前に座っている蒴が小さく笑みを浮かべた。


「今のって菫の」

「ごめーん、今の俺の腹の音
超腹減ってた
美香さんの料理うまそうだし早く食いたい
俺なんか手伝いますよ」


恭弥は蒴が話そうとしたのを遮り、椅子から立ち上がると蒴が同時に立ち上がる。


「いいよ、お客さんに手伝わせるわけにはいかないから
美香も座ってまってて
あとは俺が準備するから」


美香は朔の言葉に笑顔で頷き、菫の目の前に座った。美香と目を合わせたら自分の考えていることが全て見透かされるようで目を合わせられなかった。

しばらくすると、蒴が4つ分のグラスを持ってきてそれぞれの手元の近くに置く。その後にワインを持ってくると1人1人のグラスにしなやかな手つきで注いでいくが、菫のワイングラスに注ぐ直前、蒴の手の動きが止まった。


「菫は弱いから少しにしとこうか」

「私だって飲めるから大丈夫!」


強く言い放って蒴へとグラスを傾けると少しだけ目を丸くして恭弥たちと同量のワインを注くが、疑いの眼差しは晴れない。


「飲み過ぎないで
本当にわかってる?」

「もう大人だから自分の許容範囲なんて言われなくてもわかってる」


菫がそういうと、恭弥は疑り深い目で菫を見るため恭弥の方を睨んだ。

4人で乾杯をし、食事を嗜む。
美香も菫に対して特に突っかかってくることも、以前の話に関連するようなこともななった。

しかし、どこからか感じる不安が拭えず酒を勢いよく流し込む。…がそんなことをしていると2人の男の視線を感じた。
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