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第一章 告白
第十五話 物語の始まり
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俺は耳を疑うほかなかった。というより、驚きすぎて唖然としてしまっていた。
俺がぽかんとしているなか、向こう側から双葉の驚愕と喜びに染まった声が響いてきた。
「え!? それ本当!?」
すると、その声が聞こえてきてしばらくすると、ドアが勢いよく開く音がして、双葉と一香がリビングへどたどたと小走りに来た。
そして、双葉は俺の前で正座すると、身を乗り出して聞いてくる。
「本当に? 本当に付き合ってくれるの?」
「え、あ、ああ…」
頭が追い付かず、歯切れの悪い回答になってしまう。それでも、双葉は本当にうれしそうに顔を緩ませた。
「嘘じゃない? 本当だよね?」
「ああ、うん。俺は全然構わないし、むしろ俺でいいのって感じだけど…」
「ううん、武野がいいの!」
双葉はそう言って顔をほころばせた。その笑顔は今まで俺が見てきたものとは少し違った、喜びの感情が俺の心に直接送られてくるような感じがした。
「…えへへ、ぐす…っ」
さっきまで輝く笑顔を見せていた双葉だったが、笑顔はそのままに再び泣き出してしまった。
それを見た一香が双葉のもとへ寄り添い、抱き合うようにして双葉を抱え込んだ。
「おめでとう、双葉。ほら、泣かないで」
「うん…ぐすっ、うん…」
「もう、メイクが服についちゃうよー」
双葉は一香の肩に顔を押し付け、静かに泣いた。一香もそれに影響されてか、ぽつりぽつりと目から涙をこぼれさせていた。
誰が見ても分かる。これは傷つけてしまったために流した涙ではなく、温かさに満ち溢れたうれし涙なのだと。
双葉のその姿を見て、俺はようやく腑に落ちた。前に流した涙も、もしかしたらうれし涙だったのかもしれない。あるいは、彼女が果てしない空虚に襲われて流した涙だったのかもしれないが。
ともかく、俺と付き合うといことが双葉にとって涙を流すほど幸せなものなのだということは、身に染みてわかった。それと同時に、より一層彼女に対しての愛おしさが増した気がした。
「…なあ、これ、何が起こってんの?」
この中でおそらく唯一事情が呑み込めていないのだろう端島が、小声でそう聞いたきた。
俺は抱き合う双葉と一香を横目に、端島がジュースを買いに行っていた時に何が起こったのかを話してやった。
「そんな面白いことがあったのかよ!」
話を聞き終わると、端島は心底残念そうな顔をして天を仰いだ。
「じゃあ、お前、たった今付き合ったってことになんのか?」
目を爛々と輝かせ、興味津々に聞いてくる端島に対し、俺は曖昧にしか答えることができなかった。
「え…たぶん、そうなんじゃない、かな…?」
なにしろ、あまりにも突発的に、そして急展開な出来事だったので、今どのような状態に落ち着いているのか、俺にも分からない。ただ俺にできるのは、双葉が泣き止むのをじっと待つことだけだった。
しばらくして、双葉は落ち着きを取り戻したらしく、洗面所でメイクを直しに行くと、リビングへと帰ってきて俺の前に座った。
「なあ、杉下」
俺は女子を下の名前で呼ぶのに抵抗があり、杉下姉妹がそろっている時でも、彼女たちのことは名字で呼んでいる。
「うん」
双葉は俺の呼びかけに、ただ頷いて返す。
「なんか、今のままだとうやむやで変な感じだからさ…一応、確認しときたいんだけど…俺たち、たった今、付き合ったんだよな?」
「うん、そうだね」
照れとか恥ずかしさを誤魔化す双葉にしては珍しく、少し照れくさそうにして頷いた。
「じゃあ、改めて言うね」
そして、上目使いにこう言った。
「好きです。私と付き合って下さい」
「俺でよければ、喜んで」
かくして、俺と双葉は交際を始めたのであった。
俺がぽかんとしているなか、向こう側から双葉の驚愕と喜びに染まった声が響いてきた。
「え!? それ本当!?」
すると、その声が聞こえてきてしばらくすると、ドアが勢いよく開く音がして、双葉と一香がリビングへどたどたと小走りに来た。
そして、双葉は俺の前で正座すると、身を乗り出して聞いてくる。
「本当に? 本当に付き合ってくれるの?」
「え、あ、ああ…」
頭が追い付かず、歯切れの悪い回答になってしまう。それでも、双葉は本当にうれしそうに顔を緩ませた。
「嘘じゃない? 本当だよね?」
「ああ、うん。俺は全然構わないし、むしろ俺でいいのって感じだけど…」
「ううん、武野がいいの!」
双葉はそう言って顔をほころばせた。その笑顔は今まで俺が見てきたものとは少し違った、喜びの感情が俺の心に直接送られてくるような感じがした。
「…えへへ、ぐす…っ」
さっきまで輝く笑顔を見せていた双葉だったが、笑顔はそのままに再び泣き出してしまった。
それを見た一香が双葉のもとへ寄り添い、抱き合うようにして双葉を抱え込んだ。
「おめでとう、双葉。ほら、泣かないで」
「うん…ぐすっ、うん…」
「もう、メイクが服についちゃうよー」
双葉は一香の肩に顔を押し付け、静かに泣いた。一香もそれに影響されてか、ぽつりぽつりと目から涙をこぼれさせていた。
誰が見ても分かる。これは傷つけてしまったために流した涙ではなく、温かさに満ち溢れたうれし涙なのだと。
双葉のその姿を見て、俺はようやく腑に落ちた。前に流した涙も、もしかしたらうれし涙だったのかもしれない。あるいは、彼女が果てしない空虚に襲われて流した涙だったのかもしれないが。
ともかく、俺と付き合うといことが双葉にとって涙を流すほど幸せなものなのだということは、身に染みてわかった。それと同時に、より一層彼女に対しての愛おしさが増した気がした。
「…なあ、これ、何が起こってんの?」
この中でおそらく唯一事情が呑み込めていないのだろう端島が、小声でそう聞いたきた。
俺は抱き合う双葉と一香を横目に、端島がジュースを買いに行っていた時に何が起こったのかを話してやった。
「そんな面白いことがあったのかよ!」
話を聞き終わると、端島は心底残念そうな顔をして天を仰いだ。
「じゃあ、お前、たった今付き合ったってことになんのか?」
目を爛々と輝かせ、興味津々に聞いてくる端島に対し、俺は曖昧にしか答えることができなかった。
「え…たぶん、そうなんじゃない、かな…?」
なにしろ、あまりにも突発的に、そして急展開な出来事だったので、今どのような状態に落ち着いているのか、俺にも分からない。ただ俺にできるのは、双葉が泣き止むのをじっと待つことだけだった。
しばらくして、双葉は落ち着きを取り戻したらしく、洗面所でメイクを直しに行くと、リビングへと帰ってきて俺の前に座った。
「なあ、杉下」
俺は女子を下の名前で呼ぶのに抵抗があり、杉下姉妹がそろっている時でも、彼女たちのことは名字で呼んでいる。
「うん」
双葉は俺の呼びかけに、ただ頷いて返す。
「なんか、今のままだとうやむやで変な感じだからさ…一応、確認しときたいんだけど…俺たち、たった今、付き合ったんだよな?」
「うん、そうだね」
照れとか恥ずかしさを誤魔化す双葉にしては珍しく、少し照れくさそうにして頷いた。
「じゃあ、改めて言うね」
そして、上目使いにこう言った。
「好きです。私と付き合って下さい」
「俺でよければ、喜んで」
かくして、俺と双葉は交際を始めたのであった。
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