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変わらない背景

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「あなたとはもう無理な気がする」

そう言われて俺たちは別れた。

今ならわかる。俺にも直さなければいけないところがたくさんあったこと。

でも君のことを一番、大事に思っていたのは本当なんだ。


2年がたった。

突然の通知には驚いたけど、俺に気持ちは残っていない。

なぜなら、あのとき。別れ話をしたとき、君に別の人の影を感じたからだ。

やけに時計を気にしては急いだ様子だったこと。

君が出て行ってすぐに車の音が聞こえたことも。


さらに2年がたった。

あれ以来、連絡はとってないけれど、ふとラインの友達を整理しようと思ったとき。

君を見つけた。

懐かしくなって名前を押す。

すると、心臓がうねりをあげて大きく脈を打った。

設定されていた背景は、なんでもない日々の中で撮ったあのときの写真。

いろんな考えが頭を巡る。

俺の指は、電話ボタンを押していた。



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