意味が分かると怖い話(自作)

雅内

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嘆き

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どこからか呻くような押し殺した声が聞こえる。

私はその声で目を覚ました。

時計の針に目を向けると深夜の2時を少し過ぎたくらい。

窓からの景色は暗闇に覆われていて、重い静けさが広がっていた。

……外からの声ではない。

私は意識を集中して声のする方に耳を傾けた。

どうやら一階から声がする。

そのくぐもった声は、ときどき私の名前を呼んでいるような気がする。

無視すればいいものを……、私は好奇心に負けて一階に降りることにした。

背中に冷たいものを感じてはいたが、鼓動も感じない意外と冷静な自分がいた。

静かに一階に降りた。

しっかりとは聞き取れないが、声は私の名前を呼んでいる。

……そんな気がする。

暗闇の中息を殺し、声のする方にゆっくりと近づいていく。

女性らしき人影。

何かを抱え前後に揺れていた。

嘆いているようにも聞こえる押し殺した声。

人の家で一体何をしているんだ?

二階には家族が寝ているはず。

上がって父親を呼ぶべきだろうか?

女性の背中を見つめながら、私は後ろに足を進める。

気付かれないように細心の注意を払いながら……

すると女性は何かを思い出したように前後の揺れを止め、キョロキョロと周りを見始めた。

私はすぐにテーブルの下に隠れ、両手で口を覆った。

部屋の電気が点けられる。

女性の足元だけがテーブルの隙間から見えている。

「見つかりませんように、見つかりませんように……」と、私は心の中で何回も唱えた。

その女性は部屋の中を歩き回り、また同じように何かをブツブツとつぶやきながら元の場所に座って揺れ出した。

明かりは点いたまま。

これでは出るに出られず、テーブルの下で小さくなり身を隠し続けた。

私は早くも後悔していた。

なぜ好奇心に負けて一階に降りてしまったのか、なぜ父を呼ばなかったのか……

すると明かりに気が付いたのか誰かが階段から降りてくる音が聞こえてきた。

「お前、こんな時間に何やってるんだ。あの子はもう……、寝ないと体に悪いだろ」

父の声だった。

二階にあがっていく二人の足音を聞いて、私はテーブルの隙間から出た。

私は母のあんな姿を今まで見たことがなかった。

ショックだった……、まさか母だったなんて。

明かりが点いたままの部屋でしばらく呆然としていた私は、母が座っていた場所に行き、抱えていた大きな写真を見て後悔した。

「やはり降りてくるべきではなかった」と。
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