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第48話
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実況の合図で試合が始まったけど、お互い、一気に距離を詰めようとはしない。俺としてはゼルスの剣が厄介だ。レベル1万になって、どれだけの速度で剣を振るのか分からない。俺の動きも良くなっているけど、果たしてゼルスの剣が避けられるか。
なんて、考えていても仕方がないか。
そう考えて、俺はゼルスとの距離を詰める。
そして右拳でゼルスの顔を打つ。ゼルスは少し後ろに跳んで避けると、剣で俺の右腕を斬ろう下から剣を振る。俺は右腕を引いて避けた。
うん、ゼルスの剣は見切る事が出来るな。これがゼルスの本気だったらの話だけど。
ちなみに俺は武器を持つ相手への戦法を使わない事に決めている。それは武器破壊だ。武器を持つ人間の弱点は武器を持たない事だ。そして俺の力なら武器を破壊する事ができる。でもゼルスとはそういう闘い方をしたくない。純粋な闘いをしたいからだ。
腕を斬られそうになった俺はゼルスから離れる。
「躊躇ない攻撃だな」
「当たり前だ。今度は俺から行くぞ!」
そう言ってゼルスは距離を詰めてくると、俺の腹めがけて剣を右から振ってくる。それを紙一重で避けると、一気に前進して間合いを潰し、腹を打つ。ゼルスは後ろに跳んで避けながら、剣を左から振る。俺はしゃがんで避けると、剣を振りきったゼルスの右前腕を右手で掴み、右足でゼルスの腹を蹴る。
「ぐっ!」
体勢から避ける事ができなかったゼルスの腹に俺の蹴りは直撃し、ゼルスは呻きながらも離れようとする。でも俺はゼルスの右前腕を掴んだままだ。このまま、もう一撃でも喰らわせておこう。そう思って左拳でゼルスの顔を打つ。
「なんだと!?」
俺は驚く。ゼルスは剣を左手に持ち替えて、俺の腹めがけて右から剣を振ってきたからだ。俺はすぐに後ろに跳んで距離をとった。
「ふぅ…」
ゼルスが追撃をしてこないから、一呼吸置いて、落ち着く。やっぱり剣が相手だと怖いな。ましてやゼルスのような達人が相手だ。まったく余裕がなく、油断できない。
「…お前、ふざけてるのか?」
ゼルスが不機嫌そうな顔で言ってくる。どういう事だ?
「さっき、俺の剣を破壊できたのに、しなかっただろ?」
さっき…それはゼルスの右前腕を掴んだ時かな。確かにあの時、剣を破壊する事はできたかもしれない。ゼルスなら避ける事もできただろうけど。
「俺はゼルスと純粋な闘いをしたいんだ。相手の武器を破壊するとか、そういう闘い方はしたくない」
「ふざけるな!」
ゼルスの怒声に俺だけではなく、観客も驚く。
「剣士の剣を破壊せずに勝とうと思ってるのか?!それは俺を舐めてるって事だよな!?俺相手なら武器を奪わずに勝てるっていう余裕か?!」
「そんなつもりはない!ゼルスが強い事は分かってる」
「だったら、武器を奪え!壊せ!これは実戦じゃないけど、勝つ為に手段を選ぶな!」
…そうだ。これは闘いだ。勝つ為に相手から武器を奪う、壊す…それは闘いにおいて当然の事だ。
「…すまない。俺は勝敗より、お前と闘う事を目的にしていた。ここからは勝つ事を目的にする。もう手段は選ばない」
「よし!それなら楽しくなるな!」
俺の謝罪にゼルスは笑顔になる。俺は馬鹿だ。
「お前が俺の武器を壊しにくるように、俺もお前の武器を壊しにいくからな」
「俺の武器?」
「ああ。お前の武器は拳と足だ。それを斬れば使えないだろ?」
「…怖い事を言うな…」
「死なないから大丈夫だ」
そう言ってゼルスは笑う。本気ではなく、冗談まじりの言葉だったんだろう。…そうだよな?斬っても良いけど、切断とかは止めてくれよ?
「なんにせよ、仕切り直しだ。ここからが本番だな!」
「ああ。ゼルス、勝たせてもらうぞ!」
「ハッ!やってみろ!」
そう言ってゼルスは俺に斬りかかってくる。俺は上から迫る剣を右に避けて、左拳で剣の刀身を打つ。ゼルスは剣を引いて避けるけど、俺の攻撃はフェイントだ。ゼルスが剣を引こうとした瞬間に、右拳でゼルスの顔を打つ。く…ゼルスの避ける動きが速いな。拳が少しだけ届かなかった。俺は一旦距離をとる。基本的に自分が攻撃している時は、あまり追撃をしないようにしている。焦って簡単にカウンターを喰らう可能性が高いからだ。
「うおーっ!」
「速い!速くて見えねえ!」
客の声が聞こえる。俺たちの動きが速すぎて見えないらしい。まあ、レベル1万の身体能力だからな。俺たちの動きが見えているのはキーサくらいか。ソフィアでも目で追うのがやっとだろう。
さて闘いを再開するか。そうして俺が距離を詰めようとすると、その瞬間にゼルスが迫ってきた。そして左上から剣を振り下ろしてくる。それを左にしゃがみながら避けて、右拳でゼルスの腹に内壊波を放とうとする。でもゼルスは後ろに少し跳んで避けると、剣を振り下ろした勢いそのままに左回転して、俺を見ながら剣を左から振ってくる。どんな動きだよ!俺は驚いたけど、とにかく後ろに跳んで回避して距離をとる。
「つっ…久し振りの傷だな」
俺の腹には浅いけど切り傷があった。少し出血もしている。避けたつもりだったけど、ゼルスの剣が当たっていたんだ。でもこれくらいの傷なら大丈夫だ。強化している自然治癒力で、すぐに出血も止まり、傷も塞がっていく。
「その傷の治る速さ、もう人間じゃないな」
「お前の動きも人間のものじゃないだろ」
俺とゼルスは笑いながら言い合う。俺とゼルスの動きなら、ゼルスの方が少し速いみたいだ。
「仕方ない、使うか」
俺は龍人化し、さらに身体能力強化の魔法を自分にかける。
龍人化を知らない観客は俺の体が白い鱗に覆われた事に驚く。
「成る程!まだまだ楽しめそうだな!」
「ああ。さあ!行くぞ!」
そう言って俺はゼルスとの距離を詰める。俺の動きはさっきまでのものとは全く違う。一瞬でゼルスとの距離を詰めると、左拳でゼルスの顔を打つ。ゼルスは一瞬遅れたけど、後ろに跳んで避け、さらに剣を振ってくる。俺は剣を避けながらゼルスとの距離を詰め、右手刀でゼルスの剣の刀身を切る。ゼルスは驚いて、さらに距離をとるけど、俺はゼルスから離れず、さらに追撃しようと試みる。でも、それは阻まれた。ゼルスから発せられる雰囲気に何かしらの危険を感じ取り、俺は距離を取ろうとする。距離をとった俺の体には左肩から右脇腹にかけて、浅い切り傷ができていた。出血もしている。
「く…どうなってるんだ?」
俺は自然治癒力を強化して傷を回復しながら呻く。
「剣は折れても、使えない事はないって事だな」
離れた場所でゼルスが言う。
なんだよ、それは。
ゼルスの剣は刀身の部分で切れているのに、その折れた部分から赤い半透明の刀身ができていた。
「それは気か?」
「そうだ」
やっぱりそうか。ゼルスは気を使える。気の剣か。そうと分かれば対処は楽だな。気でできているなら吸収できる。
「吸収できると思ったら大間違いだぞ?これには魔力も含めているからな」
「…そうか」
残念だ。それなら避けるしかないじゃないか。それにしても魔力を込められるようになったんだな。魔力を込めるという事は魔法が使えるという事だ。以前は魔法を使えなかったのに、あれから使えるようになったのか。
「でも、その事をどうして教えるんだ?言わなければ吸収できると思った俺を切る事ができるのに」
「そんな勝ち方をしても面白くない」
「そうか」
笑いながら言うゼルスに俺もつられて笑う。
「さあ!行くぞ!うまく避けろよ!」
「ああ!避け切ってみせる!」
面倒な闘いになりそうだ。
なんて、考えていても仕方がないか。
そう考えて、俺はゼルスとの距離を詰める。
そして右拳でゼルスの顔を打つ。ゼルスは少し後ろに跳んで避けると、剣で俺の右腕を斬ろう下から剣を振る。俺は右腕を引いて避けた。
うん、ゼルスの剣は見切る事が出来るな。これがゼルスの本気だったらの話だけど。
ちなみに俺は武器を持つ相手への戦法を使わない事に決めている。それは武器破壊だ。武器を持つ人間の弱点は武器を持たない事だ。そして俺の力なら武器を破壊する事ができる。でもゼルスとはそういう闘い方をしたくない。純粋な闘いをしたいからだ。
腕を斬られそうになった俺はゼルスから離れる。
「躊躇ない攻撃だな」
「当たり前だ。今度は俺から行くぞ!」
そう言ってゼルスは距離を詰めてくると、俺の腹めがけて剣を右から振ってくる。それを紙一重で避けると、一気に前進して間合いを潰し、腹を打つ。ゼルスは後ろに跳んで避けながら、剣を左から振る。俺はしゃがんで避けると、剣を振りきったゼルスの右前腕を右手で掴み、右足でゼルスの腹を蹴る。
「ぐっ!」
体勢から避ける事ができなかったゼルスの腹に俺の蹴りは直撃し、ゼルスは呻きながらも離れようとする。でも俺はゼルスの右前腕を掴んだままだ。このまま、もう一撃でも喰らわせておこう。そう思って左拳でゼルスの顔を打つ。
「なんだと!?」
俺は驚く。ゼルスは剣を左手に持ち替えて、俺の腹めがけて右から剣を振ってきたからだ。俺はすぐに後ろに跳んで距離をとった。
「ふぅ…」
ゼルスが追撃をしてこないから、一呼吸置いて、落ち着く。やっぱり剣が相手だと怖いな。ましてやゼルスのような達人が相手だ。まったく余裕がなく、油断できない。
「…お前、ふざけてるのか?」
ゼルスが不機嫌そうな顔で言ってくる。どういう事だ?
「さっき、俺の剣を破壊できたのに、しなかっただろ?」
さっき…それはゼルスの右前腕を掴んだ時かな。確かにあの時、剣を破壊する事はできたかもしれない。ゼルスなら避ける事もできただろうけど。
「俺はゼルスと純粋な闘いをしたいんだ。相手の武器を破壊するとか、そういう闘い方はしたくない」
「ふざけるな!」
ゼルスの怒声に俺だけではなく、観客も驚く。
「剣士の剣を破壊せずに勝とうと思ってるのか?!それは俺を舐めてるって事だよな!?俺相手なら武器を奪わずに勝てるっていう余裕か?!」
「そんなつもりはない!ゼルスが強い事は分かってる」
「だったら、武器を奪え!壊せ!これは実戦じゃないけど、勝つ為に手段を選ぶな!」
…そうだ。これは闘いだ。勝つ為に相手から武器を奪う、壊す…それは闘いにおいて当然の事だ。
「…すまない。俺は勝敗より、お前と闘う事を目的にしていた。ここからは勝つ事を目的にする。もう手段は選ばない」
「よし!それなら楽しくなるな!」
俺の謝罪にゼルスは笑顔になる。俺は馬鹿だ。
「お前が俺の武器を壊しにくるように、俺もお前の武器を壊しにいくからな」
「俺の武器?」
「ああ。お前の武器は拳と足だ。それを斬れば使えないだろ?」
「…怖い事を言うな…」
「死なないから大丈夫だ」
そう言ってゼルスは笑う。本気ではなく、冗談まじりの言葉だったんだろう。…そうだよな?斬っても良いけど、切断とかは止めてくれよ?
「なんにせよ、仕切り直しだ。ここからが本番だな!」
「ああ。ゼルス、勝たせてもらうぞ!」
「ハッ!やってみろ!」
そう言ってゼルスは俺に斬りかかってくる。俺は上から迫る剣を右に避けて、左拳で剣の刀身を打つ。ゼルスは剣を引いて避けるけど、俺の攻撃はフェイントだ。ゼルスが剣を引こうとした瞬間に、右拳でゼルスの顔を打つ。く…ゼルスの避ける動きが速いな。拳が少しだけ届かなかった。俺は一旦距離をとる。基本的に自分が攻撃している時は、あまり追撃をしないようにしている。焦って簡単にカウンターを喰らう可能性が高いからだ。
「うおーっ!」
「速い!速くて見えねえ!」
客の声が聞こえる。俺たちの動きが速すぎて見えないらしい。まあ、レベル1万の身体能力だからな。俺たちの動きが見えているのはキーサくらいか。ソフィアでも目で追うのがやっとだろう。
さて闘いを再開するか。そうして俺が距離を詰めようとすると、その瞬間にゼルスが迫ってきた。そして左上から剣を振り下ろしてくる。それを左にしゃがみながら避けて、右拳でゼルスの腹に内壊波を放とうとする。でもゼルスは後ろに少し跳んで避けると、剣を振り下ろした勢いそのままに左回転して、俺を見ながら剣を左から振ってくる。どんな動きだよ!俺は驚いたけど、とにかく後ろに跳んで回避して距離をとる。
「つっ…久し振りの傷だな」
俺の腹には浅いけど切り傷があった。少し出血もしている。避けたつもりだったけど、ゼルスの剣が当たっていたんだ。でもこれくらいの傷なら大丈夫だ。強化している自然治癒力で、すぐに出血も止まり、傷も塞がっていく。
「その傷の治る速さ、もう人間じゃないな」
「お前の動きも人間のものじゃないだろ」
俺とゼルスは笑いながら言い合う。俺とゼルスの動きなら、ゼルスの方が少し速いみたいだ。
「仕方ない、使うか」
俺は龍人化し、さらに身体能力強化の魔法を自分にかける。
龍人化を知らない観客は俺の体が白い鱗に覆われた事に驚く。
「成る程!まだまだ楽しめそうだな!」
「ああ。さあ!行くぞ!」
そう言って俺はゼルスとの距離を詰める。俺の動きはさっきまでのものとは全く違う。一瞬でゼルスとの距離を詰めると、左拳でゼルスの顔を打つ。ゼルスは一瞬遅れたけど、後ろに跳んで避け、さらに剣を振ってくる。俺は剣を避けながらゼルスとの距離を詰め、右手刀でゼルスの剣の刀身を切る。ゼルスは驚いて、さらに距離をとるけど、俺はゼルスから離れず、さらに追撃しようと試みる。でも、それは阻まれた。ゼルスから発せられる雰囲気に何かしらの危険を感じ取り、俺は距離を取ろうとする。距離をとった俺の体には左肩から右脇腹にかけて、浅い切り傷ができていた。出血もしている。
「く…どうなってるんだ?」
俺は自然治癒力を強化して傷を回復しながら呻く。
「剣は折れても、使えない事はないって事だな」
離れた場所でゼルスが言う。
なんだよ、それは。
ゼルスの剣は刀身の部分で切れているのに、その折れた部分から赤い半透明の刀身ができていた。
「それは気か?」
「そうだ」
やっぱりそうか。ゼルスは気を使える。気の剣か。そうと分かれば対処は楽だな。気でできているなら吸収できる。
「吸収できると思ったら大間違いだぞ?これには魔力も含めているからな」
「…そうか」
残念だ。それなら避けるしかないじゃないか。それにしても魔力を込められるようになったんだな。魔力を込めるという事は魔法が使えるという事だ。以前は魔法を使えなかったのに、あれから使えるようになったのか。
「でも、その事をどうして教えるんだ?言わなければ吸収できると思った俺を切る事ができるのに」
「そんな勝ち方をしても面白くない」
「そうか」
笑いながら言うゼルスに俺もつられて笑う。
「さあ!行くぞ!うまく避けろよ!」
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面倒な闘いになりそうだ。
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