幼馴染を追って異世界へ〜『¥300,000,000』廃課金した最強アカウントをLv1からやり直し、「超重力」属性を使って〜

甲殻類

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4章 入学試験編 1次試験

33話 成り行き

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 「今年の試験もやるのか?」



「はっ当然だろ、毎年恒例じゃないか」



「そうか、やるからには完璧にやれよ……」



 その優男は自分は興味がないと言うようにチームを引き連れ、というより『生徒』大半を連れてゴールへ行ってしまった。



 俺はゴールの反対側を見据え、胡座をかいた体勢で座る。

















ーーーーーーーーーーー







 試験日3日目。



 俺達6人は初日よりはスピードが落ちるもののなかなかの速さでゴールを目指していた。

 今森の中腹を過ぎた辺りを歩いている。陣形は昨日前衛だった二人を中衛にし中衛だった俺とメガネくんが前衛に位置取っている。基本魔物を見つけたら俺とメガネくんがダメージを与えその隙にユイが矢で貫き、エーフが遠距離魔法で対応する感じになっている。



 前衛の二人が一番疲弊しているので昨日までの魔物を元気よく倒す気力は流石にないらしい。今は極力休ませている。



 疲弊している二人を加味しても明日にはゴールにつくだろう。



 とは言っても、俺とユイはまだしもあちらは3人で戦ってたみたいだし夜の野営の準備は俺たちが率先してやるかな……と考えながら歩いているとシロネが久しぶりに話しかけて来る。そういや長らく喋ってなかったなーー





(久しぶりじゃのアキトよ)



(おう、久しぶり)



(しばし、影から抜けて学園の様子を見てきたのじゃ!いろいろあって面白そうじゃぞ)



シロネの口調から、凄い無邪気に笑っているのが分かる。てか、シロネの中では俺達は受かる前提らしい。楽しみにし過ぎだろーー学校なんてそんないいもんじゃないのに……





(だけど、シロネはこの試験受けてないだろう?)



(わしは影の中にいるから大丈夫じゃ)



 少しだけシロネのトーンが下がる。分かりやすいなぁと思いつつ、一つ提案する。



(俺が頭でもなんでも下げてシロネが入学出来るよう頼んでやるよ)



(しかしじゃな……そんなことが可能なのか?)



 訝しげに、シロネは喉を唸らせる。まぁ確かに普通なら無理だろうなーー



(どんと俺に任せなさい!)



 俺は特に案も浮かんでもいないのに口走ってしまう。だが、こう言ってしまえば絶対にやらなければならない、自分で逃げ道を塞いでやったのだ。



 この世の中大抵のことは何とかなるに決まっている、これが俺のポリシーだ。



 元の世界でもやれたんだから、こっちの世界でやれない訳がない。



(さすがアキトじゃの~!どんな案なのじゃ?)



(今言ったらつまらんだろうよ、後でのお楽しみだ)



 そう、こう言っとけば大体の人ならば信じてくれる。そう大体の人はな……





(アキトよ、お主案など浮かんどらんじゃろ)



 ギクッと音が出たかのようにシロネへの答えに一瞬嫌な空白が生まれる。



(ま、そう言うことだからあとは俺に任せておけ)



(あ、ちょ、まつのじゃ、逃げるのか~)



 そう逃げるように俺は<和衷協同>を切断する。



 これでよしっと。さてそろそろ夕食の準備ですかねぇー



 もう大分日が落ちてきており、あたりは夕焼けにより木々や草花が燃えているように赤く染まっている。





「そろそろ野営の準備としますか~」



 すると、さっきまで元気がなかった元前衛2人は、猫背でだらだらと歩いていたのに俺の一声を聞くと突然背筋を伸ばし元気よく歩き出す。



 その姿を見て後ろからそれぞれバルトはユイにトルスはエーフに思いっきり頭を殴られる。





「「痛ッてぇええー何すんだ!」」



 元前衛2人は息ぴったりに後ろの女性陣の方へ振り向き涙目で文句を言う。



「「元気があるならもっと早く歩きなさいよ!!」」



 うん、こちらの後衛のお2人も息ぴったりな言い返しである。女性は怒らせると怖ねぇ~と4人のやりとり傍観していると、隣のメガネくんも苦笑いで事の様子を見守っている。





「元気がいいね4人ともーー僕は疲れててあんなにはしゃげないよ……」



「混ざってきてもいいぞエル」



「遠慮しとくよ」



 そう言いながら歩いていると、森の中に25mプールくらいの湖を見つける。水場があるとはなかなかいいスポットだ、俺は後ろからくる4人に伝える。



「今日はここの湖畔にしよう」



 そう言って喧嘩を終えた4人がこちらへ来て納得する。



「へぇー湖と言うよりは池の方が近いのかな……」



「どうんだろうな……」



 湖と池の差って何だろう無難にデカさとか水深とかかな。



 と、思っていると後から来た4人はそんな事気にもとめず野営の準備に取り掛かり始める。どうやら池と湖の違いよりもご飯にしか目にないらしい。





 メガネくんもそれに続いて行ってしまう。あー今回も俺は薪拾い当番らしいですよ……



 俺は今来た道を戻りながら薪を集めに行く。





 すると、さっき<和衷協同>をブッチされてご立腹のシロネが登場する。



「さっきの続きでも聞かせてもらおうかの~」



 明らかにお怒りのご様子で、腕を組み鋭い目つきでこちらを凝視している。



「案がないならないで最初から言えばよかったんじゃ。初めからわしは影の中で妥協しとるからの……」



 妥協出来ていないのが分かるくらい声がどんどん小さくなっていく。いや、入りたいならそれでいいのに変なところ頑固だなぁ。



「まぁ確かに案は無いが、自信はあるから問題無いだろ」



 あっけらかんと言う俺に、呆れたシロネはこれ以上は何も言わないといった様子でため息をつく。



「そう気にするな。たまには俺に頼ってくれって」



「そこまで言うなら、信用するのじゃ。ただし、出来なかった時は罰ゲームじゃからな」



 うんうん、それで……罰ゲームか、まあいいだろう。



「誰と話してるの?」





 俺がそう考えていると突然後ろからユイが話しかけてきた。驚きのあまり体を急旋回してユイの方向を見る。

 その瞬間シロネは影の中に入っていた。



 俺は、思考をショートさせるくらい回転させ絶妙な言い訳を考える。やばいやばいやばい。



「あ……あれだ、俺は独り言が癖でな。今日あまり話せてなかったからその反動で……」



 自分で言っていて、訳がわからないことをつらつらと口から発せられる。ユイの目が徐々に悲しい人を見る目に変わって行く、あぁ~そんな泣きそうな目でこちらを見ないでくれ~こっちが悲しくなってくるから!!!



「そ、そうなんだ。ごめん」



 踵を返して早々にみんなの元へ帰ってしまう。要件話してもらって無いよ~ちょっとー



 止めようと口に出す前に俺の前からいなくなってしまった。



 あーあれだ今度目を合わせたらそらされるやつじゃん……



 俺は心に深い傷を受け、胸を抑えながら過去最悪の薪拾いに出向くことになった。



(なんかすまん)



 謝らないでくれ、余計悲しくなるから……



 このせいで薪拾いに時間がかかり、待ちくたびれたみんなに怒られるという負の連鎖を受けその日は速攻で寝床についたのだった。















ーーーーーーー















 書類を纏め、束ねる。この資料を学園長室まで届けなければならない。今年の受験応募者の資料だ。



 たっくくそめんどくせぇ、なんでこんなこと俺がやんなきゃいけねぇんだよ!



 心の中で毒を吐き、その仕事を押し付けて来た俺らのリーダーを睨む。ガイちゃんはいつもそうだ、全然表情変わらなくて何考えてるかさっぱりだし仕事はやたらと押し付けてくるしでほんと人使い荒いったらありゃしねぇ。

 俺は雑に書類を抱え、この部屋を出る。学園長室まではそこまで距離が無いので早く終わらせるために早足で歩く。その間、何人かの生徒とすれ違い皆こちらを見てくる。そりゃそうだ俺は黒髪だがリーゼント、目つきは鋭くいつも睨み、制服はブカブカで思いっきり輩みたいな格好だ。



 学校の中でこれでも結構有名人だからな。いつものことなので何の気なしに学園長室の前につく。



「しつれしやーす」



 一応の入退室の挨拶を適当に済まし、さっさと仕事を済ませる。



「おー来た来た」



 俺が資料を目の前に置くと、ほっほっほと言ってその仙人みたいなじいさんが嬉しそうにその資料を受け取る。こんな資料のどこがいいんだか分からんが、仕事は終わったのでそそくさと部屋を出ようとしドアノブに手をかけた瞬間ーー資料を見ていたじいさんが口をひらく。





「お主の弟、今回受験しとるみたいじゃぞ~」



 一瞬、ドアを開けるのを躊躇うが少し考えた後、俺はドアを開き閉まり際にその問いに答える。



「俺に弟なんていませんよ」
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