【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

第十四話皇宮の陰謀

第14話：皇宮の陰謀

サリナからの報告を受けた翌朝、俺たちは皇宮内の状況を探るべく動き出した。黒の将軍が皇族の一人と接触している――それが事実ならば、帝国全体を揺るがす重大な問題だ。だが、その詳細を掴むには皇宮に潜入する必要がある。

「皇宮は警備が厳しい。だが、方法がないわけじゃない。」
サリナは冷静に言う。

「どんな方法がある？」
俺が尋ねると、彼女は地図を広げた。

「皇宮にはいくつかの秘密の通路があるの。昔、情報収集をしていたときに偶然知ったわ。それを使えば、内部に侵入できるかもしれない。」

「リスクは高いが、それしか方法はなさそうだな。」
師匠が地図を見ながら頷く。

秘密の通路

夜、俺たちはサリナに案内されて皇宮裏手にある古びた井戸にたどり着いた。これが秘密の通路への入り口だという。

「この井戸の底には地下道が繋がっているわ。ただし、中は暗くて狭い。慎重に進む必要がある。」

俺たちはロープを使って井戸の中に降りていった。湿った空気が鼻を刺し、足元から冷気が伝わってくる。地下道は迷路のように入り組んでいたが、サリナの案内で進むうちに次第に光が見えてきた。

「ここが皇宮の地下倉庫ね。」

サリナが指差した先には、大きな木製の扉があった。慎重に扉を開けて中に入ると、そこは広大な倉庫だった。無数の木箱や棚が並び、皇宮の物資が保管されている場所のようだった。

「ここから先は私たちの正体がバレないように気を付けるのよ。」
サリナが念を押す。

暗躍する影

倉庫を抜けて皇宮内の廊下にたどり着くと、俺たちは物陰に隠れながら進んだ。警備兵の足音が響き渡り、常に緊張感が漂っている。

「黒の将軍が皇族と接触しているのは、皇族専用の居住区の可能性が高いわ。」
サリナが囁く。

「だが、そこに近づくのは危険すぎる。」
師匠が低い声で警告する。

「危険を冒さなければ真実にはたどり着けない。」
俺は意を決して進むことを選んだ。

俺たちは居住区への道を探りながら進む中、不意に近くの部屋から低い声が聞こえた。

「計画は順調に進んでいるか？」

扉の隙間から中を覗き込むと、そこには黒の将軍と見覚えのある人物――第三皇子カイゼルの姿があった。

「第三皇子……！」

カイゼルは父である皇帝に次ぐ権力を持つ存在であり、その冷酷さで知られている。

「心配はいらない。皇帝陛下の目を欺く準備は整っている。お前の軍が動けば、すぐにでも政変を起こせるだろう。」
カイゼルの声には確信があった。

「ふん。だが、用意が不十分なまま動けば計画は台無しだ。次の指示を待て。」
黒の将軍が短く答えると、二人は部屋から出て行った。

知った真実

俺たちは物陰に身を潜めながら、二人の姿が消えるのを待った。

「第三皇子が黒の将軍と手を組んでいる……どうやら帝国の内部から崩壊を狙っているようだな。」
師匠が低く呟いた。

「これが事実なら、すぐに皇帝陛下に知らせなければ。」
サリナが焦りを滲ませる。

だが、俺は少し考えて首を振った。
「いや、今ここで動けば逆に俺たちが罠に嵌められる可能性がある。証拠を集めて確実に動くべきだ。」

「証拠か……だが、この皇宮内でどうやって？」

俺たちは一度倉庫に戻り、作戦を練り直すことにした。

決意と次の一歩

倉庫に戻ると、俺は剣を握りしめた。黒の将軍に再び立ち向かう日が来ることを確信し、その時までにもっと力をつけなければならないと感じた。

「黒の将軍と第三皇子……敵は想像以上に強大だ。でも、俺は負けない。」

サリナと師匠が頷く。俺たちは共に、この帝国の未来を守るために戦う覚悟を新たにした。

「次の手を打つためには、より多くの情報が必要だわ。私が別のルートで調べるわ。」
サリナがそう言って立ち上がる。

俺たちはそれぞれの役割を果たすため、再び動き出した。帝国を揺るがす陰謀を阻止するための戦いは、まだ始まったばかりだ。