4 / 31
ユータにホレちゃいまして4
しおりを挟む(来たぁ!)
本日午後4時、由美は母と共にとあるお店、母にしてみれば一生無縁と思っていた色合いの中に到着した。
(おぉ!)
きらびやかな店内。健全なのか不健康なのか微妙と思わせるイメージの散乱。母は店内に入った瞬間に体力をごっそり失って萎え死にしそうだが、ユータに会いたい由美のテンションはグングンと上がっていく。そしてカゴを持った中2女子は、財務大臣こと母などそっちのけに商品のアサリを始める。
「やっぱり高画質で見たいんだわ。しかもオマケてんこ盛りだし」
まずは一期のブルーレイ最上位版を購入。母にとっては青ざめるような値段だがまだまだこれからである。
「ユータといっしょにいたい……それは見つめ合うこと愛し合うこと」
ユータ好きにはたまりません! というポスターを気前よくカゴへ放り込む。ユータに見つめられるだけで幸せ! という生活を構築する気マンマン。
「わたしの胸にユータを抱き寄せるんだ」
次はユータのTシャツとトレーナーで、どれにしようかな……ではなく全部カゴに入れる。でもって作品のドラマCDもユータのオマケががっちりついているからって事でカゴに入れる。
「ちょっと由美……」
母は娘が物欲の魔物になっている事実にゾッとする。それは気に入ったモノに憑りつかれ大金を貢いでも幸せと微笑んでいるよう。まさかこの娘はもうちょいしたらホストクラブにハマったりしないだろうかと母はけっこう本気で心配してしまう。
「小物は言うまでもなく必要」
下敷き。クリアファイル。筆箱。ノート。バッヂ。キーホルダー。そしてその他もろもろ、もはやカゴが一つでは収納できず、しかもどっちゃりとかくっそ重たいって表現になっている。
「えっとお会計が10万円になります」
「は、はい……」
レジに立った母は心底ゾッとした。10万円分の買い物をしたのだから当然とか、こんなにたくさんの商品を買ったらそりゃそうだろか、そう思うより偏見が先走る。なぜアニメキャラにホレたというだけで、こんなにも金を溶かされてしまうのか……とか、こんな異常な世界、絶対問題があるでしょう! とかなんとか。
「うぉ……すさがに重い……」
言いながらバカデカい袋を背負う娘を見る母、なんと嘆かわしいと思わずにいられない。どこかで教育をまちがえたのかなぁ……なんてさみしく思ったりもした。
「よっしゃぁ! これでユータ三昧な生活ができるよ。ではさっそく!」
家に帰った由美、夕飯が終わるとすぐさま乙女心を解放。まずは家に置いてある過剰なまでにデカい脚立を部屋に持ち込んだ。
「ユータと見つめ合い、それは見つめ愛、それは寝るときに必要なラブロマンス」
ひとり顔を赤くしてブツブツいいながら、天井にポスターを貼ろうとする。由美の身長は中2女子の平均的であるため、余裕持って作業ができるわけではないが……ちょっとばっかり苦労はするが、それをモノともしないで作業を続ける。それは由美に言わせれば愛であり、愛はどんな困難も乗り越えられるであった。
「出来た!」
ポスターを天井に貼るという、おいおい……と言われかねない事をやった由美、胸いっぱいにドキドキしながらベッドに寝転がる。
「はんぅ! ユータ……」
寝転がって天井を見上げると、親指を立てて片目ウインクをするってユータのデカい顔。それはもう愛し合いって表現でしかなく、由美は思わずオナニーしようかと手が動きかけるほどだった。
「ダメ、愛し合うのは寝るとき」
自分に言い聞かせた由美、今度は勉強机に向かって座り、正面のカベを見ながら位置を思い描く。それから立ち上がると、ユータ縦ではなく横長のポスターを貼る。これはここに貼ると決めて購入したモノだった。
「やった、思った通り……これなら勉強もがんばれるよ」
再び机に座って壁を見ると、横長ポスターの真ん中、由美が見つめる真ん前にユータの少し赤らんだ顔がある。それはモロにあざといポスターだが、今の由美はそれを尊いと思う。
そして次、机に向かってふっと顔を右に向けると、そこは空きスペースなのでユータがいて欲しいって事で等身大ポスターを貼る。ちなみに利便性として貼っていた時間割表は外した。時間割よりユータの方が大事になってしまっているせいだ。
「あぁん……」
カベに等身大ポスターを貼ると、当然ながらユータの方が由美より背は高い。でも全然オーケーだった、なぜなら顔を真っ赤にしてユータの胸に頬を押し当てる抱き寄せてもらっていると考えた最高だから。そしてイスに乗っかって軽くチュっとやると、いま2人はラブラブで愛し合っているって考える事ができるから。
こうしてポスターで部屋がユータ色に染まったら、今度はコミックを目立つ所に並べる。置き場所としては不向きっぽいが、あえてそこに並べるのは目立って愛しいから。
こうして色々やると、ユータの抱き枕でオナニーしたくなった。正直もうすっかり女子力がピンク色なのでハァハァやっていたりする。
「ダメ、まだ早い。夜は長いんだから」
ここは冷静であろうと踏ん張った。そこで中1のときに親戚からもらった中古のパソコン、意外と性能がよくて贅沢って代物に光ディスクを挿入。そして勉強そっちのけでユータの活躍とワガママと暴力と甘えに胸をキュンとさせるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
名称不明なこの感情を表すために必要な2万文字。
春待ち木陰
青春
高校一年生の女の子である『私』はアルバイト先が同じだった事から同じ高校に通う別のクラスの男の子、杉本と話をするようになった。杉本は『私』の親友である加奈子に惚れているらしい。「協力してくれ」と杉本に言われた『私』は「応援ならしても良い」と答える。加奈子にはもうすでに別の恋人がいたのだ。『私』はそれを知っていながら杉本にはその事を伝えなかった。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる