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人の恋路はつぶしてナンボ!

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 人の恋路はつぶしてナンボ!


「○○が 中野の事を好きだって言うんだ」

 放課後の裏庭にて、グリーンが仲間の2人に言った。レッド、ブルーの2人はグリーンの話を聞いて○○が中野の事を? と驚いた。

 ○○とは同じクラスの男子で地味しか取り柄ないのやつ。ルックスも勉強も運動もすべてがふつうで、ふつうこそが神! と主張しているような冴えない男子。その○○が中野優子に恋しているとかいうのは、レッドとブルーの2人には面白くなかった。

「いや、それでさぁ……どんな風に告白したらいいかな? って○○から相談を受けちゃったわけ。だからどういう風にアドバイスしたらいいのかなぁって……そこをレッドとブルーの2人に聞きたいと思い、こうして話をしたわけですよ」

 3人の中では意外なお人好しであるグリーンがつぶやいた。その顔には嫉妬みたいなモノがなく、純粋ウオーターみたいなきれいさが漂う。

「○○が中野に告白したいなら勝手にすりゃいいじゃんよ。なんでグリーンがイチイチ世話を焼く必要があるんだよ」

 レッドの態度はあからさまに不愉快をアピールしている。

「レッド、どうしたんだよ。あ、もしかして中野優子が好きとか?」

 たのしそうな顔でグリーンがはしゃぐと、ちがう! とか言いながら複雑なキブンを顔面に浮かべるレッド。ハァハァ……と息を切らした後、めちゃくちゃ面白くないんだよ! と不愉快になる理由を語りだした。

 レッド曰く、中野優子は美人ではないが普通にかわいい女子。色白ふっくらでややショートなヘアーがよく似合う。そして何よりすごい巨乳! 豊満でやわらかそうな胸のふくらみこと乳は、女子たちの声を拾ってみれば89cmとかEカップらしい。

「つまりだ、中野は激レアな巨乳女子。あんな女が彼女だったら、いっしょに歩いていたら世界制覇みたいなキブンが味わえる、ちがうか?」

 レッドが言うとグリーンは赤い顔をしてアタマをかき、そうかもしれない……なんて返す。おまけとして、一度でいいからあの乳を揉んでみたい……なんてこともつぶやいた。

「だろう? そうだろう? おれだって中野の乳を揉んでみたいし、顔を押し付け頬擦りとかして甘えてみたい。そういう風に思わせる女なんて中野は女神だろう? その女神と○○みたいな地味野郎がひっつくなんて面白くないじゃんかよ」

 レッドは全身全霊で力説。それはいささか歪んだ形態の嫉妬。グリーンはレッドのキモチを分かるとしながらも、素直に認めづらいのでいい格好をかました。

「レッド、人の恋なんて他人がうだうだ言うモノじゃないと思うんだ。そ、そりゃぁ……中野は魅力的な女子だし巨乳だから、いいなぁ……って思うけど、だからって○○を悪く言うのはどうかと思うけどなぁ」

 グリーンから放たれる善人ぶったセリフ。世界はひとつの花で結ばれているみたいな、くそったれな詩を連想させるような軟弱な発言。

 ぐぐ! っとレッドが怒りに燃えようとしたとき、今まで黙っていたブルーが口を挟んできた。3人の中では一番冷静でまともなキャラクターである。しかしどういうわけか、ここでのブルーはレッドの味方を露骨にやってのける。

「グリーン考えてみろ。もし○○が中野に告白して、中野がその愛に応じたらどうなると思う? あたらしい恋人の誕生となるんだぞ?」

「べ、べつにいいじゃんか……それはそれでおめでとうって話じゃんか」

「いいやちがう! グリーンおまえには想像力がないのか? 恋人ってことはデートして楽しむだけではすまなくなるんだぞ?」

「そ、それってどういう意味?」

「○○は地味でマジメっぽいが関係ない。中野みたいな女が彼女になれば、絶対の絶対にあの乳を揉んでみたいとか思ってガマンできなくなるはずだ。そうして中野も次第に相手のそういうキモチを受け入れて、乳を触らせ流れるようにメイクラブに発展する」

「そ、そんな……」

「中野の胸に抱きつき甘えやわらかい弾力に頬擦りした時、仕方ないなぁとか言ってもらってやさしく包んでもらったり、そういう事が彼氏はできてしまうんだぞ? 彼氏になったら中野みたいな彼女を押し倒し、あの胸を甘えるように求めても正当化されるんだぞ? ちょっとくらい腹が立たないか? なんで○○みたいなやつが、中野の乳を求めて満たされる資格があるんだ! と」

 ジュワー! とかブチブチの刺激がグリーンの脳を襲う。ブルーの言葉を聞いていたら、中野優子が○○に乳を求められ赤い顔をするような映像を浮かべてしまった。

「う、うらやましい……」

 ポロッとこぼれる心の本音。

「だろう? なんで○○だけがそんなおいしい思いをできるんだって腹が立つだろう?」

 ここぞとばかりレッドが負の感情を煽り立てる。

「おれだって……中野みたいな彼女が欲しい……」

 グリーンの声がさみしい音色になった。そして次の瞬間、なにがゆえ○○みたいなくそったれを応援しなきゃいけないのかとムカムカしてきた。

「○○が中野の乳で満たされるのは許せない……なんであいつがいい思いするんだよ」

 すっかり怒りモードになっていたグリーン。その姿を見てブルーがアドバイスとかいうのを始めた。冷静な常識人という見た目に反し、ドス黒い話をグリーンにしてやる。

「いいかグリーン、中野はそこそこかわいくて乳の大きい女子。そうしてちょっとプライドは高め。そういう女っていうのは正直を好むんだ。だけど正直すぎる、つまりバカ正直で赤裸々なのは大きらいって思う。それを利用すれば○○の恋はつぶせる」

「それはどうすればいいと?」

「それはな……」

 ブルーから話を聞かされたグリーンは、ブルーをヤクザみたいだと思った。だけども中野優子の乳で○○がよろこぶなんて展開は許せないから、ブルーの教えに従うこととする。

ーそうして迎えた翌日ー

「○○、ちょっと」

 グリーンは昼休みになったら○○に声をかけた。体育館の裏側に2人で行き、男同士の話というのをする。

「○○、おまえ中野のどこが好きなんだ?」

「な、中野は……か、かわいいと思うし、性格だって良さそうだなとも思うから」

「それだけ? ほんとうにそれだけか?」

「べ、べつに他には……ない」

「マジか? 中野って学年で一番乳がデカい女だぞ? 噂ではEカップとかいう巨乳で走ったらユッサユッサやわらかそうな弾力! なんだぞ? それを何にも意識していないのか?」

「いや、それはその……」

「○○、中野みたいな女はがっちり赤裸々に言われるのを好むんだ」

「そ、そうなのか?」

「そうだよ、かわいいとかやさしいとかだけじゃない。巨乳だからって控えめな言い方もダメだ。乳がデカいのも好きな理由だって、それくらい露骨に言わないと中野は落とせない」

「そんな……それって嫌われるような気がするんだけど」

「そういう臆病なやつにかぎっていい人ぶって、結局女から相手にされないんだぞ? バッカみてぇじゃん。それならいっそ中野を押し倒してあの乳を求めた方がマシじゃん」

 ブルーから教わった通りに語ってみたら、じわりじわり○○の心は揺らいで行く。そうして次第に、結果に関係なくグリーンの意見に従うべきかな……なんて感じにまとまっていく。そこですかさずグリーンはきれいにたたんだ印刷用紙を一枚取り出す。

「これはおまえのために、色んなところから拾ってきた告白文のサンプル。中野みたいな女にはこういうのがいいだろうっていうのが並んでいる」

 受け取った紙を開いてみると死ぬほど恥ずかしい文が並んでいる。おまけにひどい赤裸々であり、女子のハートに侵略戦争をかけるようなビリビリ感が満載。

「もちろん、絶対にそれを使えとは言わない。だって告白するのは○○だものな。それにサンプルを使用したからとって告白が実るわけじゃない。おれだってそこまでの責任は取れないよ」

 バッチグーなタイミングでグリーンに浮かぶ目。友人思いで心優しい繊細という、○○の内面をキュンとさせるような目。

「グリーン……おまえやさしい奴だな。ありがとう、おれ……このサンプルを活用してラブレターを書くよ。それでダメだったとしても結果は結果、おまえを恨んだりなんかしない。人事をつくして天命を待つって事だから、失恋したって誰も恨まない」

「○○……がんばってな」

 こんな風にして○○の心は固まった。同日家に帰ったら即座にメイキング・オブ・ラブレターを開始。心を込めつつ赤裸々であることを意識する。

「こ、こんなの書いてもいいのかな……いや、赤裸々な方が中野には届くんだ。いい格好せず本能でラブレターを書くしかないんだ」

 こんな感じで一世一代の手紙が作られた。意図して可愛気な封筒に挿入されたら、翌日の早朝にて優子の机にソッと入れられた。

 そうして朝の8時20分。いつも通りに優子が学校に到着。教室に入り自席に腰掛けると、机の中に手を入れて何かを感じ取る。

(うん?)

 色白でやわらかい手で引っ張り出すと、それは手紙の入った封筒。

(こ、これって……)

 一瞬優子の豊かな胸のふくらみにズキュン! って感覚がぶつかる。連鎖反応として顔がポーッと赤くなりかけた。それは周りに見られたくないモノだから、優子は何もないように冷静に振る舞い続ける。

(ら、ラブレター?)

 内心ドキドキする巨乳女子。何度となく目立たないように自分の手を自分のTシャツに当て、すぐ下にあるやわらかい弾力を落ち着かせようとする。

 ラブレターという言葉は知っているが、もらったのはこれが初めてなのが優子。どんなモンだろうなぁとクールにありたい自分と、胸がドキドキしてキュンキュンさせれる自分が半々。それらがドロドロっと混ざりあえば、早くラブレターを読みたいと疼く。

(が、ガマンできない)

 2時間目のとき優子はこっそりラブレターを見た。いつもならそんな事はしないが、昼休みまでこらえきれず胸一杯にワクワクして目を通したのだった。

ーそうして放課後ー

 手紙に書いた場所で○○が待っていた。はたして中野優子は来てくれるだろうか? と緊張する。同じクラスではあるが、放課後になるまであまり接しないよう心がけていた。

(き、来た……)

 恋の神さまが味方してくれた! きょうからバラ色の人生が始まる。中野優子を優子と呼び捨てにできる。しばらくしたら甘い経験だって視野に入ってくる。そう思ったら叫びたくなるが、グッとガマンしてやってくる優子を見ていた。

「手紙……読んだよ」
 
 立ち止まった優子は眼前の○○に即切り出す。

「そ、それで……その……」

 結果は? オーケー? 明日からデートもあり? なんて心がおちつかない○○。

「ハッキリ言わせてもらうと……サイテー……あんなひどい腐れな文章初めて見た。たしかにわたし巨乳だけど、あんな事を書かれてうれしいって思うわけない。っていうか、何をどう思ったらあんな手紙を書いて女子に渡せるわけ? その神経が信じられない」

「え、え?」

「○○は地味だけどマジメだと思うから、だからドキドキして手紙を読んだんだよ。そうしたらびっくり。あんな文を書いて告白とかありえない。わたしが言ってあげられることはね、一回でも二回でも三回でもいいから死ねば? ってこと。今後一切わたしに声をかけないで。○○と同じ教室で同じ空気を吸うってだけでもゾッとするから」

「ちょ、ちょっと待って、お、おれは正直にキモチを書いただけなんだよ」

「正直? わたしって女とか巨乳をあそこまでボロボロにバカにして正直? だったらエロマンガでも描けばいいでしょう。そのマンガの中で巨乳と好きなようにやればいいじゃん」

 よっぽどひどい手紙だったのだろう。よっぽど腹が立ったのだろう。優子は立ち去ろうとして一度だけ振り返り、最後にがっちり言い放った。

「○○なんか死ねばいいのに……」

 それから優子が場を去っていけば、ミジメな男子がひとり残される。うつむけば涙がポロポロっと落ちて、それが横風にのって飛んでいく。

 そんな気の毒な失恋劇場を、離れたところからこっそり見ていたのが三人衆。彼らは○○が優子にフラれる現場を見たら、うんうん! とうなづきソッと場を離れる。

「よっしゃぁ! ○○は中野にフラれた!」

 校門を出たらレッドがこぶしを夕焼け空に突き上げる。

「で、でも……これでよかったのかな……」

 今頃になって罪悪感をおぼえるグリーン。すると立ち止まったブルーが自販機にて3本のジュースを購入。自分、レッド、グリーンでカンパイをやろうと誘いプルタブを外す。

「おれたちは中野の乳を守った。これで中野には平和が訪れた。それを祝ってカンパーイ」

 そうやってグビグビ飲むソフトドリンクの旨いこと。3人はオレンジ色の空を見上げながら、同時に同じことを口にした。

「シアワセと巨乳はみんなのモノだ!」
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