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優子がついに初ビキニ! 1

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優子がついに初ビキニ! 1


 それは中野家における夕飯の時に起こった。突然に父が思い出したとばかり口にしたのである。

「そういえば大型室内プールの無料チケットをもらったんだけど、それが2枚しかないんだよ」

 ここまで聞いたとき、優子は心の中で思った。だったら夫婦で行けばバッチグーじゃないの? と。

 すると父は親切心なのか、それとも深い親心のアピールなのか、あるいは特に娘である優子の反応に期待したのか、いずれにせよこう言った。

「なんなら優子と真治の2人で行ってきたらどうだ?」

 それを聞いた優子、思わずブッ! っとなりかけた。そして向かいに座っている真治を一瞥してからナイス反射神経! 的に言い返した。

「はぁ? なんでわたしが真治と2人でプールになんか行かないといけないわけ?」

 優子にすればこんな話はありえなかった。2つ年下の小4って弟のくせして、姉の巨乳って胸ばっかりチラチラ見るようなおっぱい星人と2人でプールなんて、それはB級ライトノベルみたいな話でお断り。

「いいじゃん、たまには泳ぎとか運動すれば」

 こういう時に限って母が父側につく。そうすると父はあきらかに優子にかまってもらいたいのであろうゆえの発言をかます。

「いいじゃないか。なんならビキニとかそういう水着とかやってみたらいいじゃないか」

 ビキニ! この3文字が出たらピーン! と何かがはじかれたような感じが居間に広がった。

「ちょ、お父さんなに言ってんの」

「いや、優子は立派な巨乳だからビキニとかやってもいいんじゃないかと思って」

 げぇ、なにそれ、急にドン引き確定となるような事を言うのは止めてもらっていいですか? と言いかけたが、なぜか言葉が出なかった。

「ビキニとかそんなのは……」

 不覚にもちょっとドキドキさせられる優子が顔を動かすと、真治がパッと職人みたいなあざやかさで目を横に逸らす。それは白いTシャツの下にある谷間とか、Eカップってブラのふくらみを上手に見ていたことの証。それはいかにもおっぱい星人な男子らしい才能に満ちた情熱&すばやいアクション。

(こいつと2人でプールに行って、しかもそこでビキニになるとか、そんな話に乗れるもんか)

 優子は却下! と言いかけた。するとどうだ、優子の胸を何度となくチラチラ見ながらホクホクしていた真治が急に口をはさんだ。

「ムリだよ、ムリ」

 ムリ? 突然出てきた言葉に何のこっちゃ? という顔をする家族だが、当然もっとも気にする優子が問うた。

「ムリって何?」

「お姉ちゃんがビキニとかムリ」

 こうなると優子はムッとする。そうだよね、ムリだよね! とかではなく、なんでムリなのかと不満気に問う。

「お姉ちゃんはたしかにすごい巨乳だけど……」

「すごいって表現はつけるな」

「でも、おっぱいは大きいけれど全然根性とかないし」

「はぁ?」

「心はちっちゃい臆病女子。そんなお姉ちゃんがビキニって水着をやるなんて、そんなの地球が滅亡したって起こらない」

 言ってみそ汁をズズっと啜りながらも、チラッと優子の巨乳って部分をしっかり見る。まさにおっぱい星人としてはS級の戦士だと言える。だからして、優子は乗せられる。

「なに勝手に好き勝って言ってんの? 誰もやらないとは言ってないし」

 言った、言っちゃった、言ってしまった! その瞬間、真治は優子の胸を見ながら、やった! と思った。しかしS級戦士たるもの抜かってはいけない。物事において重要なのは最初と最後の詰め。

「いいよ……ムリしないで、なんかお姉ちゃんが可哀想な巨乳女子って感じで、痛々しい」

 これで確実に決まった。この一言で優子の女子力という意識に火がついた。そうまで言われたら、はいそうですとは言えないのが女子。

「わかった、プールに行くから。もちろんビキニになるから、だから真治、あんた日曜日は開けておくように」

「え、ほんとうに?」

 真治は飛び上がらんほどうれしかったが、それを表に出さず冷静かつ姉想いの弟であり続け、でも巨乳って部分は何回でも上手にチラ見。

 優子、こうなったらもうとことん巨乳女子としての乙女心を燃やすしかないと決意。立ち上がりカレンダーの前まで移動し、土曜日の午後に水着を買いに行くとつぶやき、そのときはお金ちょうだいと母に訴える。

「いいけど、ふつうのビキニだよ? きわどい変なビキニをやったりしないように」

 するか! と声を荒げかけたが、取り乱すのは女の恥と思うからグッと飲み込んで一言。

「そんな悪趣味な女じゃないもん」

 そうすると横から父が勢いづいた声を出す。優子がビキニになるなら自分もいっしょに行こうかなとかつぶやく。

「来なくていいよ、来ないで」


 優子にそう言われ軽蔑の対象! みたいな目を向けられてしまう父だった。しかし一方の真治は心の中で父に感謝する。

(日曜日……お姉ちゃんのビキニ姿……)

 それはもう考えるだけでキャー! と絶叫したくなるようなドキドキワクワクが生じる話だった。
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