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53・光のがんばる姿が大好き!
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53・光のがんばる姿が大好き!
「ちょっとコンビニに行ってくる」
それは午後8時になる少し手前の事だった。別に好んで行きたいわけではないのだけれど、ノートに消しゴムにシャーペンの本体と芯と、いきなり必要な物が出たら仕方ない。ちょっとしたウォーキングとか考えてまったり歩くつもり。
「マリー、言っとくけれど寄り道とかしないように。中1の巨乳女子には午後8時でも十分危険なんだからね」
「わかってるよ」
お母さんから忠告されたわたしは星空がきれいな夜の外に出た。これでスーッと涼しかったら最高なのだけれど、まだまだむふぅーと暑いからイヤになっちゃうね。
「あぁ……っと」
なんでかまっすぐコンビニへ行かず、ちょっとウォーキングしようと横にそれたコースを歩く。すると一本道のずーっと向こうから、誰かがえっちらっちら走って来る姿が見えた。小6か中1くらいの男の子かな? なんて思って左端に寄る。
ところがだんだんと近づいてきたら、あれ? って感じになって、少年の顔が見えたら声を出すしかなくなる。
「光!」
「あんぐぅ! ま、マリー?」
「マリーじゃないわよ、何やってるの?」
「なにって……見ればわかるだろう、軽いランニング。これから〇〇公園に行ってダッシュとかするんだ」
「え、なんで? すっごく興味があるんだけれど、どうして?」
「それより先にマリーだろう、中1の女子がひとりで夜に歩いてどこに行こうっていうんだよ」
「わたしはコンビニにいろいろと買い物」
「ったく、そういう買い物は明るいうちに済ませるべし! だろう。仕方ないから付き合う。マリーが買い物をして家の前に戻るまでは付き合うことにする」
「え……」
「危ないだろう、女子がひとりで夜道を歩くなんて」
「あ、あぁ……ありがとう」
まったく思いもしないこの展開、夜道を2人で歩きながら胸がドキドキした。昼間だったらイチャラブな行為であり、光はドギマギするって手つなぎなのに、いまは光の方から手をつなごうとか言って引っ張ってくれる。なんていうか、守ってくれる男の子みたいな感じでとっても胸がキュンとさせられる。
「で、光……」
「なに?」
「下をズボンではなくトレパンにしてまで走るってなに? いつもそんなことやっていたの?」
「いや、ちがう……これはその……」
「なに、言ってよ、聞きたいよ」
「やりたくないけれど……やっておこうかって努力」
「なんの努力?」
「体育祭への努力」
光によると体育祭の出し物にあるクラス対抗リレーにおいて、やりたくもないのに第一走者にされたとのこと。光は足が速いからいいじゃん! とかいう無責任な声で勝手に決められてしまったとのこと。
「でも……」
「でも?」
「あのとき、アホか、おれはそういうのイヤだ、絶対にやらないからな! って大声でわめいたり主張しなかったから、結局は引き受けたも同じだから、やっぱり自分のせい。本音として代わって欲しいけれど、今さら言うのは格好悪いわけで」
「いいかっこうしい……」
「だ、だからさ、どうせならやれることはやっておこうと思った。ユーチューブに3日あれば足が速くなる走り方というのがあるから、それを参考にして努力するって話」
「ん……」
いまわたしの巨乳って胸がキュンとなった。どうせならやれることはやってこうって、運動が好きでもないくせに努力する姿はかっこういいと思った。こういう普段はあんまり見えない姿が目に入ると、彼女であるわたしは神さまからご褒美をもらっているみたいな気がしてしまうよ。
話をしていたらあっという間にコンビニに到着。光を待たせるわけにはいかないからさっさと買い物を済ませてしまう。
「あのさぁ……光……」
「なんだ?」
「練習しているところ……見てもいい?」
「イヤだ、絶対に断る!」
「なんで!」
「見られたら走りにくい。おれ、練習とか人に見られるのはイヤなんだ。影の部分っていうのは、人に見せるものじゃないって考えがあるから、まして彼女にそんな姿を見られるのは耐えられない」
「ん……」
「そ、それにだな……」
「それに? なに?」
「中1の女子が夜に歩くのは危険だろう。早く家に帰れつーんだよ。そうでなきゃおれも安心できないし」
「わ、わかった……」
わたしはもうちょい光といたいとか、光が練習する姿を見たいと思ったけれど、ここでワガママを言うといい感じを壊すダサい女子に転落してしまうだろう! と自分に言い聞かせてガマン。
「じゃぁな!」
光はわたしの家前まで送ってくれた。そして早く練習に行きたいとばかりに、すぐ走り出して去って行ってしまった。
「こっそりでも見に行きたい……なんて考えるべきじゃないね、そんなことしたら無粋だよね」
あぁ、なんかほんのちょっとした事だと思いつつ胸が熱い。今が夕方だったら、がんばる彼氏を見守る彼女って役割がこなせたのに……残念! と思いながらわたしは家の中に入った。
「ちょっとコンビニに行ってくる」
それは午後8時になる少し手前の事だった。別に好んで行きたいわけではないのだけれど、ノートに消しゴムにシャーペンの本体と芯と、いきなり必要な物が出たら仕方ない。ちょっとしたウォーキングとか考えてまったり歩くつもり。
「マリー、言っとくけれど寄り道とかしないように。中1の巨乳女子には午後8時でも十分危険なんだからね」
「わかってるよ」
お母さんから忠告されたわたしは星空がきれいな夜の外に出た。これでスーッと涼しかったら最高なのだけれど、まだまだむふぅーと暑いからイヤになっちゃうね。
「あぁ……っと」
なんでかまっすぐコンビニへ行かず、ちょっとウォーキングしようと横にそれたコースを歩く。すると一本道のずーっと向こうから、誰かがえっちらっちら走って来る姿が見えた。小6か中1くらいの男の子かな? なんて思って左端に寄る。
ところがだんだんと近づいてきたら、あれ? って感じになって、少年の顔が見えたら声を出すしかなくなる。
「光!」
「あんぐぅ! ま、マリー?」
「マリーじゃないわよ、何やってるの?」
「なにって……見ればわかるだろう、軽いランニング。これから〇〇公園に行ってダッシュとかするんだ」
「え、なんで? すっごく興味があるんだけれど、どうして?」
「それより先にマリーだろう、中1の女子がひとりで夜に歩いてどこに行こうっていうんだよ」
「わたしはコンビニにいろいろと買い物」
「ったく、そういう買い物は明るいうちに済ませるべし! だろう。仕方ないから付き合う。マリーが買い物をして家の前に戻るまでは付き合うことにする」
「え……」
「危ないだろう、女子がひとりで夜道を歩くなんて」
「あ、あぁ……ありがとう」
まったく思いもしないこの展開、夜道を2人で歩きながら胸がドキドキした。昼間だったらイチャラブな行為であり、光はドギマギするって手つなぎなのに、いまは光の方から手をつなごうとか言って引っ張ってくれる。なんていうか、守ってくれる男の子みたいな感じでとっても胸がキュンとさせられる。
「で、光……」
「なに?」
「下をズボンではなくトレパンにしてまで走るってなに? いつもそんなことやっていたの?」
「いや、ちがう……これはその……」
「なに、言ってよ、聞きたいよ」
「やりたくないけれど……やっておこうかって努力」
「なんの努力?」
「体育祭への努力」
光によると体育祭の出し物にあるクラス対抗リレーにおいて、やりたくもないのに第一走者にされたとのこと。光は足が速いからいいじゃん! とかいう無責任な声で勝手に決められてしまったとのこと。
「でも……」
「でも?」
「あのとき、アホか、おれはそういうのイヤだ、絶対にやらないからな! って大声でわめいたり主張しなかったから、結局は引き受けたも同じだから、やっぱり自分のせい。本音として代わって欲しいけれど、今さら言うのは格好悪いわけで」
「いいかっこうしい……」
「だ、だからさ、どうせならやれることはやっておこうと思った。ユーチューブに3日あれば足が速くなる走り方というのがあるから、それを参考にして努力するって話」
「ん……」
いまわたしの巨乳って胸がキュンとなった。どうせならやれることはやってこうって、運動が好きでもないくせに努力する姿はかっこういいと思った。こういう普段はあんまり見えない姿が目に入ると、彼女であるわたしは神さまからご褒美をもらっているみたいな気がしてしまうよ。
話をしていたらあっという間にコンビニに到着。光を待たせるわけにはいかないからさっさと買い物を済ませてしまう。
「あのさぁ……光……」
「なんだ?」
「練習しているところ……見てもいい?」
「イヤだ、絶対に断る!」
「なんで!」
「見られたら走りにくい。おれ、練習とか人に見られるのはイヤなんだ。影の部分っていうのは、人に見せるものじゃないって考えがあるから、まして彼女にそんな姿を見られるのは耐えられない」
「ん……」
「そ、それにだな……」
「それに? なに?」
「中1の女子が夜に歩くのは危険だろう。早く家に帰れつーんだよ。そうでなきゃおれも安心できないし」
「わ、わかった……」
わたしはもうちょい光といたいとか、光が練習する姿を見たいと思ったけれど、ここでワガママを言うといい感じを壊すダサい女子に転落してしまうだろう! と自分に言い聞かせてガマン。
「じゃぁな!」
光はわたしの家前まで送ってくれた。そして早く練習に行きたいとばかりに、すぐ走り出して去って行ってしまった。
「こっそりでも見に行きたい……なんて考えるべきじゃないね、そんなことしたら無粋だよね」
あぁ、なんかほんのちょっとした事だと思いつつ胸が熱い。今が夕方だったら、がんばる彼氏を見守る彼女って役割がこなせたのに……残念! と思いながらわたしは家の中に入った。
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