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61・ついに我が家にいらっしゃい3

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 61・ついに我が家にいらっしゃい3


「さ、どうぞ」

 4人での話がたっぷり盛り上がった後、わたしはついにメインイベントとして自分の部屋に光を招いた。

「お、お邪魔します」

 自分の部屋に入る彼氏がドギマギしているって声を出すと胸がキュウンとさせられる。

「あ、あのさぁ……」

 光は落ち着かない様子でなんとなく部屋のあっちこっちに目を向けたりする。

「どうしたの?」

「いや、その……なんで女の子の部屋って……こんなにいいニオイがするんだろうと思って」

「そ、そう? 別に何かしたわけじゃないけれど」

 男子の口からいいニオイって出ると、妙に胸を突かれる。うっかりしたらトロっとした感覚に片足がはまりそうな予感。

「って、なんでそんな離れた所に座ろうとするの?」

「だ、だって……女の子の部屋で距離が近づいたらいけないような気がして」

「そんなに離れてふつうの会話とかする方がおかしいじゃんか。とにかく座って」

 わたしはミニテーブルを挟んで向き合う。これにてやっと光の目線がわたしのEカップって巨乳に向けられホッとする。さっきまでお祖母ちゃんとお母さんの2人に奪われていたから。

「光ってさぁ、豆腐メンタルなくせに急にやるときはやるみたいになったりするね」

「ま、まぁね」

「あ、今は豆腐メンタルに戻ってる。緊張してお腹がいたいって言い出しそうな顔になってる」

「う、うるさいな」

「でも、これで光は我が家へ遊びに来やすくなったね」

「それはそっちも同じ。母さんがうるさいんだから……」

「あのかわいいマリーを早く家につれてきなさいとか、もしフラれたりした光は三ツ井家から破門にするとか色々」

「うわぁ、気に入ってもらえてすごくうれしい。こうなったらさ、わたしたちって将来結婚するしかないね、そうだよ、それしか道はないんだよぉ光くん」

「結婚とか想像出来ないけれど……でも……」

「でも?」

「なんていうかその……」

「いいから言えよ、こういうときに豆腐メンタルになるな」

「大人になってもずっとマリーといっしょにいられたら、それってすごい事だなぁとか思って」

「だよねぇ、だからさ光」

「な、なに?」

「小説家になってよね、それで生活できるようになっちゃってよね。わたし、将来は小説家の妻にしてマネージャーとかそういう生き方をしたいと思っているから」

「うん、なるよ、絶対になっちゃうよ」

「がんばれ~」

 こんな会話をくすぐったいキモチでやるだけで、ものすごい幸せみたいな感覚が味わえた。光はもう家族の一員ってうっかり勘違いしそうになるから時間の流れが早くてつらい。

「じゃぁこれで帰るよ」

「じゃぁ途中まで送っていく」

「あぁ、いいよ。おれ途中ブックオンに立ち寄るから」

「エロいコミック買ったりするなよ……」

「買うか……」

 とまぁ、さささやかにして砂糖たっぷりみたいなイベントが無事に終了した。光が家に来てから帰るまでだいたい2時間半くらいだったけれど、虫歯になりそうなくらい甘くハイカロリーな密度だった。

「やった……お母さんもお祖母ちゃんも光を気に入った」

 光が帰った後、わたしは部屋のベッドに寝転がりちょっぴりさみしい天井を見上げてなんとなく考えてみる。

「いま中1……たとえば20歳で結婚するとしたら、まだ後7年ほどあるのか。先は長いな……でも絶対に結婚まで行く。わたしと光が結ばれないなんて、そんな話あってはいけない。絶対わたしと光は愛し合って結ばれ結婚にたどりつかなきゃいけないんだ。それでこそみんなが幸せになるって話なんだ」
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