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74・21世紀の超怖いホラーハウスへ行こう1

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 74・21世紀の超怖いホラーハウスへ行こう1


「会社の友人からもらったモノらしいけれど2枚しかないのと、父さんも母さんも怖いのはニガテだから友だちと行けば? とか言ってくれたんだ」

 光はそう言うと土曜日のウォーキングデートって最中に、ミニバッグからチケットというのを取り出した。

「も、もしよかったらマリーはどうかなって」

 テレた顔する光が見せてくれたのは、超怖いホラーハウスの無料入場券。けっこうおぞましいことがうたい文句で書いてあったりする。

「あ、いや、ムリにとは言わない。だってマリーって怖がりっぽいし」

「えぇ、そんな事ないと思うけどな……わたしより光の方が臆病者って気がするけれどな」

「だったら行って試してみない?」

「いいね、どっちが怖がりか試してみようか。もしかしたら光が怖がって泣いちゃうかもね」

「泣くか!」

「でもチケットにはさりげなくおそろしいことが書いてあるじゃん。もしかするとほんとうの殺人が行われているのかもしれないとか、もう二度と平和な日常には戻れないとか、あなたの精神は確実に崩壊するとか」

「じゃぁ、やめる?」

「行くに決まってる! わたしは怖いのへっちゃらで、光はわたしより怖がりな男の子って証明される瞬間を拝んでみたいし」

「そんなこと言って怖いとか泣いても助けてやらないぞ!」

「それはわたしが光に言う言葉ですぅ!」

 とまぁ、こんなやり取りをして明日の日曜日は予定が決まった。光とデートできるって話なら何でも乗っちゃうよぉ! わたしマリーはデートに使えるモノは積極的に使っちゃうよぉ。というわけで、早くも今は日曜日。昔からあっていつ潰れてもおかしくない的な〇〇遊園に2人でたどり着いた。

「ここデートで来るのは初めてだ」

「お、おれも……」

「腕組みしてあげようか? おっぱい星人の光くん」

「い、いまはいいよ」

「え、なんで?」

「後でマリーが怖い! とか言って泣き出した時でいいよ」

「わたし泣かないって自信あるから、絶対光の方が弱虫って気がしているから」

「弱虫とかいうな……」

 そして2人でお目当て一直線に歩いて最新ホラーハウスの前にたどり着く。

「あれ、最新なのに人が少ないなぁ」

 光はそう言ったけれど、わたしはそれ当然じゃないかなぁって思うんだ。だってもう名前からして悪趣味全開だもんね。ふつうに恐怖のホラーハウスとかにすればいいのに、「恐怖で死ねる館」と付けるんだもんね。死ねる館に行こうよ! なんて笑顔で言いにくいじゃん。

「光、だいじょうぶ、怖かったら手をつないであげるよ?」

「子ども扱いするな! っていうか、ほんとうはマリーの方が怖いと思っているくせに」

「あ、そんなこと言ったら怖いって泣きだしてもやさしくしてあげないよ?」

「誰が泣くもんか!」

 とまぁ、こんなやり取りをしてからわたしと光は恐怖で死ねる館というあたらしい空間に入っていった。
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