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96・光が記憶喪失ぅ? 1
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96・光が記憶喪失ぅ? 1
「光が休み……急に寒くなってきたから風邪でもひいたのかな?」
わたしは学校が終わるまでの間に光へ数回ほどメールとかラインを送ったけれど、返事がないから寝込んでいるのだろうと思った。そして彼女たる者として、プリントだのなんだのを光に届けるという役目をよろこんで引き受ける。
ピンポーン! というインターホンが鳴ったのを聞いて気合を入れていたら、光のお母さんが顔を出した。
「あ、いとしのマリー!」
「こんにちは、光……くんは風邪ですか?」
「それがその……」
「ん?」
「ちょっと……」
何やら奇妙な感じとか思いながら門をくぐって家の中に入れてもらったら、お母さんからとんでもないことを聞かされた。
「へ、記憶喪失? 光がですか?」
「そうなのよ、昨日階段から足を滑らせて転げ落ちて、そうしたら何もかもすっかり忘れてしまって」
「え……自分の名前とかもですか?」
「そうなの、ここはどこですか? ぼくは誰ですか? とか言い出す始末で、どうしたものかと。病院に連れて行ったんだけれど、偶然に治るのを待つしかないって言われちゃって」
「あの……光はいま、いるんですか?」
「部屋にいるけれど……」
「会いたいんですけれど……いいですか?」
「会ってくれる?」
「会ってくれるもなにも、わたし、光の彼女ですから」
「ごめんね、ほんとうに、マリー大好き!」
光のお母さんにギュウっと抱きしめられてから、わたしは階段を上がって光の部屋に行った。そしてドアの前に立ったら、コンコンとやってから光! と言ってみる。
「誰ですか?」
部屋の中からそんな声が聞こえた。誰ですか? だって……なんだそれ? ってキモチにさせられたから言ってみる。
「マリーだよ」
「マリー? マリーって何ですか?」
「うそでしょう、冗談やめてよ」
わたしがドアを開けたら、部屋にミニテーブルを置き、その上のノートパソコンを見つめていた光がギョッとした反応を見せる。
「な、なんですか急に……」
「それこっちのセリフ、なにそのしゃべり方……」
「な、近寄らないでください……」
「うるさい、だまれ!」
わたしかイラつかせるように怯えたりする光にさっと接近すると、左手の平をピタっと額に当ててみた。
「な、なに……」
「熱はない」
「やめてください、恥ずかしいじゃないですか」
「光、そのキャラはイヤだ、元に戻って!」
「だ、だいたい……あなたは誰なんですか」
「むぅ! わたしを忘れるなんて……きみにとって何よりたいせつな彼女だよ、橘真理ことマリーだよ」
「か、彼女? あなたがですか?」
「だからそのしゃべり方……」
「はぅ!」
光は突然に顔を真っ赤にして両手を頬に当て、恥じらい乙女みたいにな感じで背中を向けた。
「光ぅ……どうした? だいじょうぶ?」
「ウソですよ、そんなのウソですよ」
「なにが?」
「だ、だって、そんな……そんなにかわいくて魅力的な女の子がぼくの彼女だなんて、そんな」
「む……」
「し、しかも……」
「なに?」
「かわいい上にけっこう巨乳とかいう感じに見えるんですけれど」
「感じとかじゃなくてハッキリ巨乳なんですけれど」
「ひゃんぅ! ないです、ないです、こんなぼくにあなたみたいなステキな女の子が彼女とかそんな」
「わたしのこと……ステキだって見えるの?」
「まともになんか見れませんよ、だって、もうまぶしくて……それは太陽を間近でサングラスもせずに見るようなモノで……」
「ん……ぅ……」
面倒くさい……とは思いつつ、もしかするとこれはこれでかわいいのかも! とか、これって調教したら都合のいい彼氏に変換できるんじゃないかって、ちょっと性格の悪いことを考えたりしてしまう自分がいた。
「光」
「な、なんですか……」
「とりあえず、こっち向いて」
「そ、そんな恥ずかしいです」
「いいから! 向かないとビンタするよ」
「そ、そんな暴力はやめてください」
「いいから早くこっちを向けっていうんだよ!」
光はドキドキしているというのを見せつけながら振り返った。そしてわたしに真っ赤にしてオドオドしていますって訴える顔を見せてくれるのだった。
「光が休み……急に寒くなってきたから風邪でもひいたのかな?」
わたしは学校が終わるまでの間に光へ数回ほどメールとかラインを送ったけれど、返事がないから寝込んでいるのだろうと思った。そして彼女たる者として、プリントだのなんだのを光に届けるという役目をよろこんで引き受ける。
ピンポーン! というインターホンが鳴ったのを聞いて気合を入れていたら、光のお母さんが顔を出した。
「あ、いとしのマリー!」
「こんにちは、光……くんは風邪ですか?」
「それがその……」
「ん?」
「ちょっと……」
何やら奇妙な感じとか思いながら門をくぐって家の中に入れてもらったら、お母さんからとんでもないことを聞かされた。
「へ、記憶喪失? 光がですか?」
「そうなのよ、昨日階段から足を滑らせて転げ落ちて、そうしたら何もかもすっかり忘れてしまって」
「え……自分の名前とかもですか?」
「そうなの、ここはどこですか? ぼくは誰ですか? とか言い出す始末で、どうしたものかと。病院に連れて行ったんだけれど、偶然に治るのを待つしかないって言われちゃって」
「あの……光はいま、いるんですか?」
「部屋にいるけれど……」
「会いたいんですけれど……いいですか?」
「会ってくれる?」
「会ってくれるもなにも、わたし、光の彼女ですから」
「ごめんね、ほんとうに、マリー大好き!」
光のお母さんにギュウっと抱きしめられてから、わたしは階段を上がって光の部屋に行った。そしてドアの前に立ったら、コンコンとやってから光! と言ってみる。
「誰ですか?」
部屋の中からそんな声が聞こえた。誰ですか? だって……なんだそれ? ってキモチにさせられたから言ってみる。
「マリーだよ」
「マリー? マリーって何ですか?」
「うそでしょう、冗談やめてよ」
わたしがドアを開けたら、部屋にミニテーブルを置き、その上のノートパソコンを見つめていた光がギョッとした反応を見せる。
「な、なんですか急に……」
「それこっちのセリフ、なにそのしゃべり方……」
「な、近寄らないでください……」
「うるさい、だまれ!」
わたしかイラつかせるように怯えたりする光にさっと接近すると、左手の平をピタっと額に当ててみた。
「な、なに……」
「熱はない」
「やめてください、恥ずかしいじゃないですか」
「光、そのキャラはイヤだ、元に戻って!」
「だ、だいたい……あなたは誰なんですか」
「むぅ! わたしを忘れるなんて……きみにとって何よりたいせつな彼女だよ、橘真理ことマリーだよ」
「か、彼女? あなたがですか?」
「だからそのしゃべり方……」
「はぅ!」
光は突然に顔を真っ赤にして両手を頬に当て、恥じらい乙女みたいにな感じで背中を向けた。
「光ぅ……どうした? だいじょうぶ?」
「ウソですよ、そんなのウソですよ」
「なにが?」
「だ、だって、そんな……そんなにかわいくて魅力的な女の子がぼくの彼女だなんて、そんな」
「む……」
「し、しかも……」
「なに?」
「かわいい上にけっこう巨乳とかいう感じに見えるんですけれど」
「感じとかじゃなくてハッキリ巨乳なんですけれど」
「ひゃんぅ! ないです、ないです、こんなぼくにあなたみたいなステキな女の子が彼女とかそんな」
「わたしのこと……ステキだって見えるの?」
「まともになんか見れませんよ、だって、もうまぶしくて……それは太陽を間近でサングラスもせずに見るようなモノで……」
「ん……ぅ……」
面倒くさい……とは思いつつ、もしかするとこれはこれでかわいいのかも! とか、これって調教したら都合のいい彼氏に変換できるんじゃないかって、ちょっと性格の悪いことを考えたりしてしまう自分がいた。
「光」
「な、なんですか……」
「とりあえず、こっち向いて」
「そ、そんな恥ずかしいです」
「いいから! 向かないとビンタするよ」
「そ、そんな暴力はやめてください」
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光はドキドキしているというのを見せつけながら振り返った。そしてわたしに真っ赤にしてオドオドしていますって訴える顔を見せてくれるのだった。
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