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第二章 魔力無し転生者は仲間を探す
第二十六話 拠点を買う
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俺たちが最初に向かったのは冒険者たちが武器などを購入する区画。通称武器区画。
この国ベルヘンス帝国はスヴェルニ王国とは違い一般人でも武器を持つことが法律げ許されている。前世の国で言うところのアメリカだと思ってくれればいい。
そのためこの区画には冒険者たちででなく一般人も見受けられるが比率で言えば圧倒的に冒険者の方が多い。
不機嫌なアインをつれてやって来たわけだが、何故アインが不機嫌かと言うと最初に拠点を買いに行かなかったからだ。どうやらアインとしてそっちの方が大切らしい。主の事を第一に考えるのは素晴らしい事だが、もう少し自分の事を先に優先して良いと俺は思うけどな。
「そんなに不機嫌になるなよ」
「いったい誰が不機嫌にさせたのかお忘れではありませんよね?」
表情豊か過ぎて本当にサイボーグなのか未だに疑いたくなるぜ。
「でも良いのか?都市内とは言え、お前の考えじゃこの都市も護りは完璧じゃないんだよな?」
「当然です」
人が多い場所で平然と肯定しやがった。ま、誰も聞こえていなかったようで良かったけど。
「なら、いつ銀を狙って襲ってくるか分からないな。そんな時全力で護れないメイドって主から必要されるのかね?」
「何をしているのですか。早くマスターを護るための最高の武器を買いに行きますよ」
口は相当悪いが。こいつの思考回路はマスターである銀のためって事が第一優先。だからその琴線に触れるような言い回しをすれば案外思い通りに行くのだ。チョロイぜ。
アインの武器を選びに色んな店を見て回る。
買い物を始めて1時間。ようやく良い武器が置いていそうな店を発見する。武器に関しては素人なので。良し悪しは分からない。ま、そこら辺はアインに任せておけば問題ないだろう。
店内に入るとドアベルの音に気がついた店主が店の奥から出てくる。
「いらっしゃいませ。なにをお探しでしょうか?」
「このメイドの武器を探しに来たんだ。少しみさせて貰うよ」
「はぁ……」
メイドに武器と言う組み合わせに呆けた返事をする店主だが、ま。当然と言えるだろう。
そんな俺と店主の会話など気にする様子もなくアインは壁に飾られた拳銃やガラスケースの中に入っているアサルトライフルを見る。
それにしても前世で見たことがあるような武器が沢山並んでるな。てかミニガンまであるし。男としては心を擽られる場所ではあるがあの糞女神のせいで使えないので意味が無い。絶対に一発はぶん殴る!
品定めを始めて15分近くが過ぎた時だろうか。ようやくアインが買う武器を選んだようだ。
「店主、こちらの武器とアレとアレ、コレとコレとアレと。それからアレをください。スペアマガジンは全てに5つ付けて弾薬は全て魔導弾で1000発ずつ下さい」
「え、そんなにですか?」
「駄目なのですか?それとも商品が無いと戯言を仰るのでしょうか?」
「い、いえ!あります。ありがとうございます!」
店主は慌ててアインが選んだ武器をケースから取り出し、スペアマガジンや弾薬を店の奥から取って来て会計を始める。ってそうじゃない!なんでこんなに武器を買わなければならないんだよ!
武器の正式名所はさておいて種類だけを言うなら。対戦車ライフル×1、普通のライフル×1、軽機関銃×1、アサルトライフル×1、サブマシンガン×2、ハンドガン×2だ。それ全てにスペアマガジン5つと魔導弾1000発って馬鹿げてるだろ。誰が買うと思ってるんだ!
「おい、そんなに買う必要はないだろ」
「何を言うのですか。どんな時も想定して準備しておくのがメイドとして当然です」
「いったい対戦車ライフルはどんな戦闘を想定して買ったんだよ」
「あ、店主。アレとアレも追加でお願いします。ショットシェルはスラッグ弾、バックショット弾、フレシェット弾をそれぞれ200発ずつ。因みに全て魔術刻印が刻まれた魔導弾で頼みますよ」
「か、畏まりました」
そう言ってアインは手榴弾とショットガンを追加で購入しました。一体幾ら払えば良いのやら。
もっと分かり易く教えるためにアインが買った武器の種類を前世で似た武器に例えて説明しておこう。
【ライフル】
バレットM82。
L96A1。
【軽機関銃】
M249ミニミ。
【アサルトライフル】
ACR。別名マグプル・MASADA
【サブマシンガン】
MP7A1×2
【ハンドガン】
P226R×2
【ショットガン】
フランキ スパス12
ショットガンを覗いた全てにスペアマガジン5つと魔導弾1000発。それから手榴弾50個、それからライフル、アサルトライフルのスコープなどアタッチメントもお買い上げだ。金を払うのは俺だけど。
「それでは全て合わせて356万8860RKになります」
「さ、払ってください」
「そんな金直ぐに払えるか!」
「なら、近くにATMがありましたのでそこで出してきたら良いじゃないですか」
「そんな大金ATMで下ろせるわけないだろうが!」
結局一旦銀行に言って360万RKほど下ろした俺は全て購入すことになった。
「まいどありがとう御座います」
まるでエステしたみたいに艶々した顔で挨拶してくる店主。ま、いっきにこれだけの武器が売れたら誰だってそうだよな。
「それでお前は武器をどこにやったんだ?」
現在俺もアインも買った武器は持っていない。俺は銃器関係は持てないのは知ってる通り。持てるとしてもハンドガンの弾丸ぐらいだろう。でアイテムボックスに入れた覚えもまったくない。なのに2人とも手ぶらっておかしくないか。
「私はレグウェス帝国が造り出した最高傑作機ですよ。収納機能ぐらい持ち合わせています」
「その身体の中にか?」
「ほんと低脳で愚かでミジンコ以下の馬鹿ですね。そんなわけないじゃないですか」
お前は必ず一度は罵倒しないと会話が出来ないのか。
「亜空間収納機能がついているんです」
そう言うと何も無いところからハンドガンを取り出した。まるで俺のアイテムボックスみたいだな。いや、待て。レグウェス帝国はアイテムボックスと同じ物を作り上げたって事なのか。
「それよりも次はマスターの家を買いに行きますよ」
「誰が銀の家だ。俺たちの拠点を買いに行くんだよ」
そんな俺の批判など無視して俺たちは不動産を回る。ギルドの拠点とするならそれなりに広いほうが良いだろう。
それに色々な事情も含めてギルドメンバーが全員住めるようにしたい。これは前から思っていた事だ。
となるとそれなりの一軒屋が良いだろう。
だけど俺の全財産ではそんな家は変えないので中古で良いのが無いか探してみるが中々見つからない。
結局お昼までには見つからず俺たちは近くのお店で昼食を取ることにした。
「少し調べたいことがあるので出てきます」
そう言ってアインは俺に銀を任せてどこかに行ってしまった。どうせトイレだろ。まったく何気に可愛いところもあるもんだな。
と思っていたら、アインが戻ってきたのは40分後だった。
「お待たせしました」
「遅すぎるだろ!何してたんだよ!」
「何って家を探してたに決まってるじゃないですか」
「え?」
お前、何気に俺たちの事を考えてくれていたのか。
「既に見つけてありますので来てください」
「分かった」
まったく口は悪いくせに良いところもあるじゃねぇか。
アインに案内されたた場所は少し街外れにある5階建ての廃墟ビルだった。
「おい、まさかここか?」
「はい。嫌で嫌で嫌で仕方がありませんでしたが、今後の事を考えるなら貴方の要望通りの拠点の方が良いと思いまして私のネットワークで調べて見つけておきました」
その、ネットワーク正常に機能しているのか?
全体の約4割が蔦で覆われてる廃墟ビル不気味なオーラを醸し出していた。
曰くつきの物件じゃないだろうな。
「で、そのチョビ髭のおっさんは?」
「このビルを管理する不動産屋の社長さんです」
なるほど。よく理解できた。
ならまずは俺の要望が叶っているのか聞いてみるとしよう。
「で、この廃墟ビルは壊れたりしないだろうな?」
「はい。それはもう大丈夫です。このビルは冒険者さんの要望で建てられたものです。築25年ですが15年前までCランクギルドの冒険者方たちが使っていた物件でしてバッチりです」
なんでだ見た目も相まってかとても胡散臭いんだが。
それに建てられてたった10年で手放すってそのギルドはいったいどうなったんだ?
「それではここにサインをお願いします」
ま、これ以上の物件が見つかるとも思えないし、なによりアインが怒りそうだ。
「分かった」
渡された書類にサインをして印鑑を押そうとした時だった。
「ちょっと待て。俺が買うのはワンフロアだけじゃないのか?」
「何を言ってるんですか?今後の事を考えたらビルごと買うに決まってるでしょ」
「いや、この広さなら充分部屋はあるだろうが!」
「何を言うんですか。この価格で今後ギルドメンバーが増えればそれだけで手狭になるのは見えています」
そ、それは確かにその通りだが。
「今です!」
「は、はい!」
そんなアインの指示でチョビ髭が勝手に印鑑を押す。
「おい!」
これはどう考えても詐欺だろうが。
「安心してください。私がこの男に文句など言わせません」
この糞メイド。少しでもお前を良い奴なんて思った俺が馬鹿だったよ!
「それでは購入ありがとう御座います。こちらがこのビルの登記事項証明書になります。それとこれがビルの見取り図。それからお値段が7900万RKになります」
「それでは払ってください」
この野郎。俺は口座番号を教えて引き落とすように頼んだ。
「まいどありがとう御座います。前に使われていたギルドの方たちの家具などはそのままありますのでご自由にお使いください。それではこれで」
そう言ってチョビ髭おじさんはさっさと逃げて行った。
「良かったですね。これで無事に拠点が手に入りました」
「ふざけるな!なんで5階建てのビルに俺たちだけで住まわなければならないんだよ!」
「なら出て行って構いませんよ?」
こ、この野郎。ふざけた事を言いやがって。
「それとこのビルは5階建てではなく、5階と地下1階建てのビルです」
「そんな事どうでも良いわ!」
そんな怒号が人気も少ない街外れに木霊する。
駄目だ。冷静になれ。今は冷静にだ。
「よし、考えていても仕方が無いからな。ビルの中を見るぞ」
「流石は低脳野郎。切り替えが早いですね」
お前だけビルで寝かせないぞ。
で俺たちはビルの中を散策する。15年以上も使われていないためこれまた汚い。それに誰かが溜まり場にしていただろう痕跡もある。
地下は完全に訓練場となっている。ここは使えるな。
で外を見てみたがこれは色々と入り用な物があるなと思った。ソファーもベッドもボロボロだ。今日一日ならどうにかなるだろうが。
運が良かったのは荷物運搬用のエレベーターが稼動することぐらいだろう。
それと既に電気、水道、ガスも使えるようになっている。どうせアインが無理やりにでもさせたんんだろうが。
それと以外だったのは俺が予想していたよりも部屋数が少ない。ま、マンションじゃなくてビルだからな。それは当たり前か。
1階と2階は完全ワンフロアで3階には部屋が2つしかなくて、4階は3部屋。5階は5部屋あり、4階の一部は男女別のお風呂まで完備されていた。ま、15年前の物だから型は古いが使える。金が貯まったら新しいのにするとしよう。で、屋上も広々としていて夏はBBQなんかしたら良いかもしれない。
そう考えると色々と夢が広がるがまずは何をするにも、
「金が必要だ!」
「何を分かり切ったことを口にしてるんですか。やはり馬鹿ですね」
誰のせいでこんな買い物をしたいといけなくなったと思ってるんだ。前世でもこんな買い物したこと無いぞ。てかお前のせいで財産の殆どがパーだ!未だにFランクの俺がこのビルを管理できるわけないだろ!
冒険者になって約2週間。金欠に陥るなんて普通ありえないからな。これじゃ風俗にもいけないだろうが。てかこのままだと光熱費やスマホ代なんかも支払えない。くそ働きたくないのに働かなければ生きていけなくなるなんて。これじゃ前世と同じじゃなぇかよ!こんな事ならシャルロットの護衛になっておけば良かった。
「それではマスターと私はこの部屋を使いますのでってマスターどちらに!」
アインの腕から飛び降りた銀は俺の許へとやってきた。
「じゃあなアイン。また後で」
「くっ!」
未だに銀の信頼は俺の方が上のようだ。これで少しは鬱憤が晴れたな。
俺たちは5階の一部屋をそれぞれ自分の部屋として使う事に決めた。因みに俺の部屋にはボロボロのソファーと物が散乱したテーブルが一つあるだけのこれまた簡素な部屋だった。まるでギャングの溜まり場そのままだな。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
現在の総資産。
武器弾薬購入-356万8860RK
廃墟ビル購入-7900万RK
残高2万5890RK
築25年の5階建てビル
この国ベルヘンス帝国はスヴェルニ王国とは違い一般人でも武器を持つことが法律げ許されている。前世の国で言うところのアメリカだと思ってくれればいい。
そのためこの区画には冒険者たちででなく一般人も見受けられるが比率で言えば圧倒的に冒険者の方が多い。
不機嫌なアインをつれてやって来たわけだが、何故アインが不機嫌かと言うと最初に拠点を買いに行かなかったからだ。どうやらアインとしてそっちの方が大切らしい。主の事を第一に考えるのは素晴らしい事だが、もう少し自分の事を先に優先して良いと俺は思うけどな。
「そんなに不機嫌になるなよ」
「いったい誰が不機嫌にさせたのかお忘れではありませんよね?」
表情豊か過ぎて本当にサイボーグなのか未だに疑いたくなるぜ。
「でも良いのか?都市内とは言え、お前の考えじゃこの都市も護りは完璧じゃないんだよな?」
「当然です」
人が多い場所で平然と肯定しやがった。ま、誰も聞こえていなかったようで良かったけど。
「なら、いつ銀を狙って襲ってくるか分からないな。そんな時全力で護れないメイドって主から必要されるのかね?」
「何をしているのですか。早くマスターを護るための最高の武器を買いに行きますよ」
口は相当悪いが。こいつの思考回路はマスターである銀のためって事が第一優先。だからその琴線に触れるような言い回しをすれば案外思い通りに行くのだ。チョロイぜ。
アインの武器を選びに色んな店を見て回る。
買い物を始めて1時間。ようやく良い武器が置いていそうな店を発見する。武器に関しては素人なので。良し悪しは分からない。ま、そこら辺はアインに任せておけば問題ないだろう。
店内に入るとドアベルの音に気がついた店主が店の奥から出てくる。
「いらっしゃいませ。なにをお探しでしょうか?」
「このメイドの武器を探しに来たんだ。少しみさせて貰うよ」
「はぁ……」
メイドに武器と言う組み合わせに呆けた返事をする店主だが、ま。当然と言えるだろう。
そんな俺と店主の会話など気にする様子もなくアインは壁に飾られた拳銃やガラスケースの中に入っているアサルトライフルを見る。
それにしても前世で見たことがあるような武器が沢山並んでるな。てかミニガンまであるし。男としては心を擽られる場所ではあるがあの糞女神のせいで使えないので意味が無い。絶対に一発はぶん殴る!
品定めを始めて15分近くが過ぎた時だろうか。ようやくアインが買う武器を選んだようだ。
「店主、こちらの武器とアレとアレ、コレとコレとアレと。それからアレをください。スペアマガジンは全てに5つ付けて弾薬は全て魔導弾で1000発ずつ下さい」
「え、そんなにですか?」
「駄目なのですか?それとも商品が無いと戯言を仰るのでしょうか?」
「い、いえ!あります。ありがとうございます!」
店主は慌ててアインが選んだ武器をケースから取り出し、スペアマガジンや弾薬を店の奥から取って来て会計を始める。ってそうじゃない!なんでこんなに武器を買わなければならないんだよ!
武器の正式名所はさておいて種類だけを言うなら。対戦車ライフル×1、普通のライフル×1、軽機関銃×1、アサルトライフル×1、サブマシンガン×2、ハンドガン×2だ。それ全てにスペアマガジン5つと魔導弾1000発って馬鹿げてるだろ。誰が買うと思ってるんだ!
「おい、そんなに買う必要はないだろ」
「何を言うのですか。どんな時も想定して準備しておくのがメイドとして当然です」
「いったい対戦車ライフルはどんな戦闘を想定して買ったんだよ」
「あ、店主。アレとアレも追加でお願いします。ショットシェルはスラッグ弾、バックショット弾、フレシェット弾をそれぞれ200発ずつ。因みに全て魔術刻印が刻まれた魔導弾で頼みますよ」
「か、畏まりました」
そう言ってアインは手榴弾とショットガンを追加で購入しました。一体幾ら払えば良いのやら。
もっと分かり易く教えるためにアインが買った武器の種類を前世で似た武器に例えて説明しておこう。
【ライフル】
バレットM82。
L96A1。
【軽機関銃】
M249ミニミ。
【アサルトライフル】
ACR。別名マグプル・MASADA
【サブマシンガン】
MP7A1×2
【ハンドガン】
P226R×2
【ショットガン】
フランキ スパス12
ショットガンを覗いた全てにスペアマガジン5つと魔導弾1000発。それから手榴弾50個、それからライフル、アサルトライフルのスコープなどアタッチメントもお買い上げだ。金を払うのは俺だけど。
「それでは全て合わせて356万8860RKになります」
「さ、払ってください」
「そんな金直ぐに払えるか!」
「なら、近くにATMがありましたのでそこで出してきたら良いじゃないですか」
「そんな大金ATMで下ろせるわけないだろうが!」
結局一旦銀行に言って360万RKほど下ろした俺は全て購入すことになった。
「まいどありがとう御座います」
まるでエステしたみたいに艶々した顔で挨拶してくる店主。ま、いっきにこれだけの武器が売れたら誰だってそうだよな。
「それでお前は武器をどこにやったんだ?」
現在俺もアインも買った武器は持っていない。俺は銃器関係は持てないのは知ってる通り。持てるとしてもハンドガンの弾丸ぐらいだろう。でアイテムボックスに入れた覚えもまったくない。なのに2人とも手ぶらっておかしくないか。
「私はレグウェス帝国が造り出した最高傑作機ですよ。収納機能ぐらい持ち合わせています」
「その身体の中にか?」
「ほんと低脳で愚かでミジンコ以下の馬鹿ですね。そんなわけないじゃないですか」
お前は必ず一度は罵倒しないと会話が出来ないのか。
「亜空間収納機能がついているんです」
そう言うと何も無いところからハンドガンを取り出した。まるで俺のアイテムボックスみたいだな。いや、待て。レグウェス帝国はアイテムボックスと同じ物を作り上げたって事なのか。
「それよりも次はマスターの家を買いに行きますよ」
「誰が銀の家だ。俺たちの拠点を買いに行くんだよ」
そんな俺の批判など無視して俺たちは不動産を回る。ギルドの拠点とするならそれなりに広いほうが良いだろう。
それに色々な事情も含めてギルドメンバーが全員住めるようにしたい。これは前から思っていた事だ。
となるとそれなりの一軒屋が良いだろう。
だけど俺の全財産ではそんな家は変えないので中古で良いのが無いか探してみるが中々見つからない。
結局お昼までには見つからず俺たちは近くのお店で昼食を取ることにした。
「少し調べたいことがあるので出てきます」
そう言ってアインは俺に銀を任せてどこかに行ってしまった。どうせトイレだろ。まったく何気に可愛いところもあるもんだな。
と思っていたら、アインが戻ってきたのは40分後だった。
「お待たせしました」
「遅すぎるだろ!何してたんだよ!」
「何って家を探してたに決まってるじゃないですか」
「え?」
お前、何気に俺たちの事を考えてくれていたのか。
「既に見つけてありますので来てください」
「分かった」
まったく口は悪いくせに良いところもあるじゃねぇか。
アインに案内されたた場所は少し街外れにある5階建ての廃墟ビルだった。
「おい、まさかここか?」
「はい。嫌で嫌で嫌で仕方がありませんでしたが、今後の事を考えるなら貴方の要望通りの拠点の方が良いと思いまして私のネットワークで調べて見つけておきました」
その、ネットワーク正常に機能しているのか?
全体の約4割が蔦で覆われてる廃墟ビル不気味なオーラを醸し出していた。
曰くつきの物件じゃないだろうな。
「で、そのチョビ髭のおっさんは?」
「このビルを管理する不動産屋の社長さんです」
なるほど。よく理解できた。
ならまずは俺の要望が叶っているのか聞いてみるとしよう。
「で、この廃墟ビルは壊れたりしないだろうな?」
「はい。それはもう大丈夫です。このビルは冒険者さんの要望で建てられたものです。築25年ですが15年前までCランクギルドの冒険者方たちが使っていた物件でしてバッチりです」
なんでだ見た目も相まってかとても胡散臭いんだが。
それに建てられてたった10年で手放すってそのギルドはいったいどうなったんだ?
「それではここにサインをお願いします」
ま、これ以上の物件が見つかるとも思えないし、なによりアインが怒りそうだ。
「分かった」
渡された書類にサインをして印鑑を押そうとした時だった。
「ちょっと待て。俺が買うのはワンフロアだけじゃないのか?」
「何を言ってるんですか?今後の事を考えたらビルごと買うに決まってるでしょ」
「いや、この広さなら充分部屋はあるだろうが!」
「何を言うんですか。この価格で今後ギルドメンバーが増えればそれだけで手狭になるのは見えています」
そ、それは確かにその通りだが。
「今です!」
「は、はい!」
そんなアインの指示でチョビ髭が勝手に印鑑を押す。
「おい!」
これはどう考えても詐欺だろうが。
「安心してください。私がこの男に文句など言わせません」
この糞メイド。少しでもお前を良い奴なんて思った俺が馬鹿だったよ!
「それでは購入ありがとう御座います。こちらがこのビルの登記事項証明書になります。それとこれがビルの見取り図。それからお値段が7900万RKになります」
「それでは払ってください」
この野郎。俺は口座番号を教えて引き落とすように頼んだ。
「まいどありがとう御座います。前に使われていたギルドの方たちの家具などはそのままありますのでご自由にお使いください。それではこれで」
そう言ってチョビ髭おじさんはさっさと逃げて行った。
「良かったですね。これで無事に拠点が手に入りました」
「ふざけるな!なんで5階建てのビルに俺たちだけで住まわなければならないんだよ!」
「なら出て行って構いませんよ?」
こ、この野郎。ふざけた事を言いやがって。
「それとこのビルは5階建てではなく、5階と地下1階建てのビルです」
「そんな事どうでも良いわ!」
そんな怒号が人気も少ない街外れに木霊する。
駄目だ。冷静になれ。今は冷静にだ。
「よし、考えていても仕方が無いからな。ビルの中を見るぞ」
「流石は低脳野郎。切り替えが早いですね」
お前だけビルで寝かせないぞ。
で俺たちはビルの中を散策する。15年以上も使われていないためこれまた汚い。それに誰かが溜まり場にしていただろう痕跡もある。
地下は完全に訓練場となっている。ここは使えるな。
で外を見てみたがこれは色々と入り用な物があるなと思った。ソファーもベッドもボロボロだ。今日一日ならどうにかなるだろうが。
運が良かったのは荷物運搬用のエレベーターが稼動することぐらいだろう。
それと既に電気、水道、ガスも使えるようになっている。どうせアインが無理やりにでもさせたんんだろうが。
それと以外だったのは俺が予想していたよりも部屋数が少ない。ま、マンションじゃなくてビルだからな。それは当たり前か。
1階と2階は完全ワンフロアで3階には部屋が2つしかなくて、4階は3部屋。5階は5部屋あり、4階の一部は男女別のお風呂まで完備されていた。ま、15年前の物だから型は古いが使える。金が貯まったら新しいのにするとしよう。で、屋上も広々としていて夏はBBQなんかしたら良いかもしれない。
そう考えると色々と夢が広がるがまずは何をするにも、
「金が必要だ!」
「何を分かり切ったことを口にしてるんですか。やはり馬鹿ですね」
誰のせいでこんな買い物をしたいといけなくなったと思ってるんだ。前世でもこんな買い物したこと無いぞ。てかお前のせいで財産の殆どがパーだ!未だにFランクの俺がこのビルを管理できるわけないだろ!
冒険者になって約2週間。金欠に陥るなんて普通ありえないからな。これじゃ風俗にもいけないだろうが。てかこのままだと光熱費やスマホ代なんかも支払えない。くそ働きたくないのに働かなければ生きていけなくなるなんて。これじゃ前世と同じじゃなぇかよ!こんな事ならシャルロットの護衛になっておけば良かった。
「それではマスターと私はこの部屋を使いますのでってマスターどちらに!」
アインの腕から飛び降りた銀は俺の許へとやってきた。
「じゃあなアイン。また後で」
「くっ!」
未だに銀の信頼は俺の方が上のようだ。これで少しは鬱憤が晴れたな。
俺たちは5階の一部屋をそれぞれ自分の部屋として使う事に決めた。因みに俺の部屋にはボロボロのソファーと物が散乱したテーブルが一つあるだけのこれまた簡素な部屋だった。まるでギャングの溜まり場そのままだな。
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現在の総資産。
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宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
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