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第一章 魔力無し転生者は冒険者を目指す
第二話 就寝
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「あ~疲れた。ベットがやわらけぇ~」
フカフカなベットの感触を堪能する。ま、アイツの毛並みに比べれば足元にも及ばないがな。
さて、寝る前に風呂に入るとするか。
「銀風呂に行くぞ」
「ガウッ!」
嬉しそうに尻尾を振る。相変わらずお風呂が好きだな。確かアイツも好きだったな。
個室に設けられたシャワールームで体を洗う。流石に浴槽は無かったが、乗せて貰い飯まで食べさせて貰った相手にそこまで頼むのは失礼と言う物だろう。
「こら銀、暴れるな!」
泡まみれで狼ではなく、羊にも見える姿となった銀の体を丁寧に洗う。
その時鏡に映った自分の身体を見て、美しい……と思うことは一切無く、無数の斬り傷や火傷の痕に思わず俺が生活していたあの地獄のような場所を思い出していた。だが、断じてブサイクではないぞ。上の中ぐらいだ。いや、上の下?中の上?ま、そのぐらいだ。銀のメッシュが入った黒髪に、吊り目。それなりに整った顔立ち。だから俺はブサイクなどではない。ま、前世の俺よりも遥かにイケメンなのは間違いないけど。おっと俺としたことが、誰も居ないのに誰に訴えかけているのやら。
ま、なんだ。そんな地獄のような場所での思い出は前世での暮らしなどが霞むほど濃密で驚きの連続だ。ほんとツッコんでばっかりだったような気がする。
「あの気まぐれ島で休まる日々は少なかったからな」
そんな地獄のような5年間の中で唯一安らぎと安寧を覚えたのがこの銀と銀の母親であり、俺の命の恩人であり、師でもあったアイツだけだ。
「まさか人の姿にもなれるとか反則だろう」
あの俺好みのナイスバディになるなんて、何度俺の息子がハッスルになった事やら。
おっといかんいかん。これではただの変態だ。
銀を洗い終えるとタオルで身体を拭いて着替え、そのあと銀の毛を乾かす。ドライヤーの熱風が心地よいのか目を瞑っていた。カワイイな。
そんなこんなで俺たちはベットに入って寝るのだった。絶対またあの糞女神に会って文句言ってやる。
************************
ジンと別れ寝室に戻ってきた私は部屋に取り付けられた受話器から聞こえてくるお父様からの話に頭を悩ませていた。
「ですからお父様。私はまだ結婚する気はありません」
『我侭を言うな』
呆れと少し時を含んだお父様の声が受話器から聞こえてくる。
「我侭ではありません。私は最初に申し上げた筈です。私より強い男性としか結婚しないと。お父様も了承した筈ですよね」
そんな私の返答にお父様の声は渋いモノに変わる。
『確かに了承したが既にお前と同い年の女子たちは婚約しているではないか』
「婚約だけであって結婚はしていないでしょう」
『むぅ……だが婚約すらしていないのはお前ぐらいだ』
そんなわけがない。私が知る限りで婚約していない貴族令嬢だっている。
お父様もそれぐらい私が知っている事ぐらい知っている。だけどお父様が言いたいのはそう言う事ではない。
貴族として危機感を持てと言いたいに違いない。
数百年前とは違い、今の貴族全体の結婚する平均年齢は数百年前よりも3歳~4歳ほど上がっている。理由としては魔物の脅威度は昔に比べて遥かに下がっているため。
武器も技術力も全てにおいて上がっているんだもの。そうなれば自然と子孫を残すと言う本能も使命も薄れてくるのは当然よね。
「だからそれは私より強い男性が居ないからです」
『………この話は帰ってからじっくりするとしよう』
「帰ってからも変わりませんよ」
納得していないお父様は最後にそう言ってきたけど、この不毛な会話を帰ってからしたくないがために、そう言って受話器を戻した私はソファの背凭れに体重を預ける。
「まったくお父様も結婚結婚ってしつこいんだから」
「それだけお嬢様の未来が心配なのです」
「心配なのはルーベンハイト家の跡取りが出来ない事でしょ」
紅茶を注ぎながらセバスがそう言ってくる。
私は侯爵家であるルーベンハイト家に生まれてきた。だから政略結婚も致し方が無いと分かってはいる。だけど私は未だに結婚するつもりがない。その理由は幾つかあるが、これまで出会ってきた男たちがろくでもないのと魔物討伐を行うのが好きだから。別に戦場での緊張感や戦闘での死ぬかもしれないスリルが味わいたいからではない。いや、それも少しはある。だけど私は戦場で仲間と共に戦い勝利した後の部下たちの表情が好きだから。大切な民を守れたという実感が好きなのだ。
「それに私の性格はよく知ってるでしょ。絶対に大人しくしてないわよ。そう言う意味では妹のリリーの方が向いているかもね」
「お嬢様、それは失言かと」
「そうね。ごめんなさい」
貴族として生まれた私はおいそれと言葉を言うことが出来ない。言葉一つで我が家の未来を潰すかもしれないのだから。それに今の言葉は妹に対しても失礼だ。
だいたい結婚しろって言うのであれば、私に対してではなくお兄様に言うべきじゃないのかしら、ルーベンハイト家を継ぐのはお兄様なんだし。
「だけど私はまだ結婚する気は無いわよ」
「重々承知しております」
セバスが淹れてくれた紅茶が入ったティーカップを口元に運ぶ。
そんな時ドアがノックされる。
「誰かしら?」
「お嬢様、ロイドです」
「入って頂戴」
セバスがドアを開けると礼儀正しく入ってきた。
「で、どうしたの?」
「はい。どうやらあの男はお風呂に入ったあと就寝したようなので報告にと」
その報告に私は簡素な返事をする。正直ジンには失礼な事をしたと思っているわ。だけど魔物が跋扈する禁止区域に居た人間をそうそう信用出来る筈も無い。
「しかし監視はもうよろしいのですか?」
「ええ、構わないわ」
どうせ監視していたところでボロは出さないでしょうし。
「しかし流石はお嬢様、仲良くしつつも相手を疑っていたとは流石です」
ロイドは感服しているけど私は別にジンが私を殺しに来た暗殺者だとは思っていない。この世界に来たばかりで知識に疎い迷い人と大差ない。
「ちょっと気になる事があっただけよ」
「気になることですか?」
「ええ」
疑問符を浮かべるロイドを他所に紅茶を堪能する。
「ここは禁止区域。魔物が跋扈する場所。強さで言えばランクE~Bまでの魔物しか居ないけど、たまにランクAだって現れる場所なのよ。ジンはそんな場所にたった一人で居た。おかし過ぎるわ」
「と言いますと?」
「ロイドは知っているでしょ。ジンのステータスを」
「はい。送り人である事には驚きましたが、どう見ても常人以下のステータスでしたね」
真面目な表情で答えるロイドだけど、声音からジンを馬鹿にしているのが分かる。まったくどうしてこうなったのかしら?ま、今はそれよりもジンの事よね。
「そう。だからこそおかしいのよ」
「と言いますと?」
「あのステータスでどうして今まで生き残れたのかしら?」
「っ!それはこの世界に転移ばされたばかりとも考えられます」
「だったらステータスに表示されるレベルは1の筈よ。それにあの魔狼が短期間であそこまで懐くとは考えられないわ」
「確かに」
「それに軍医の話だと体中に戦闘の痕が残っていたそうよ」
「つまりお嬢様はあの男が転移したのは一年前近くだと言いたいのですか?」
「そう言いたいのだけど、魔物が跋扈するこの場所でレベルが13までしか上がらないのはおかしいわ」
「確かにそれはおかしいですな。レベルCの魔物を3体討伐すればレベル10には達しますからね」
セバスも顎に手を当てながらそう口にした。
「それにこの禁止区域で過ごしていたのであれば間違いなく焚き火はするはず。なのに管理塔からの報告はこれまでと一切変わりのないものだった」
「つまりあの男は前に別の場所に居て転移ばされてこの禁止区域にやってきたということですか?」
そんな私の言葉にロイドは意図を読み取り代弁する。
「一番しっくりくるのはそうなるでしょうね。それも人が居ない場所から転移ばされた可能性が高いわね。でないとこの世界についてもう少し知っていてもおかしくないもの」
「確かにそうですね」
しかしその後誰も言葉を発することなく数分が過ぎた。
これ以上話していたところで答えは出そうにないわね。そう判断した時だった。
「明日本人に聞いてみれば如何でしょう?」
顎に手を当てて考え込んでいたセバスから出た言葉に私とロイドは驚きのあまり目を見開けた。
確かに私も一度は考えたけど除外した案がまさかセバスの口から発せられるとは思っていなかったわ。
「セバス本気なの。正直に答えてくれるとは思わないけど」
「お嬢様の言う通りです」
「命の恩人を無下にするような方には見えませんでしたので、もしかしたらという話です」
確かに聞いてみないと答えてはくれない。向こうから話してくれるのが一番だけどいきなり話してくる人間なんていない。でも何かを失うわけでもないし平気よね。
「良いわ。明日の朝食の時にでも聞いてみるわね」
「そう為さるのが宜しいかと」
どうせ話してくれなかったとしてもお父様に頼んで調べて貰えれば良いだけの話だしね。
「それじゃあ私はもう寝るわね」
「お休みなさいませ」
「お休みなさいませ、お嬢様」
「ええ、お休み」
セバスとロイドと挨拶を交わした私は二人が出て行ったのを確認してからネグリジェに着替える。正直禁止区域でこんな格好で寝るのは危機感が無いと言われそうだけど、少しぐらい気を緩めないと疲れが残って明日に響くしね。
「ジンは正直に答えてくれるかしら」
そんな事を思いながら私は就寝するのだった。
************************
フカフカなベットの感触を堪能する。ま、アイツの毛並みに比べれば足元にも及ばないがな。
さて、寝る前に風呂に入るとするか。
「銀風呂に行くぞ」
「ガウッ!」
嬉しそうに尻尾を振る。相変わらずお風呂が好きだな。確かアイツも好きだったな。
個室に設けられたシャワールームで体を洗う。流石に浴槽は無かったが、乗せて貰い飯まで食べさせて貰った相手にそこまで頼むのは失礼と言う物だろう。
「こら銀、暴れるな!」
泡まみれで狼ではなく、羊にも見える姿となった銀の体を丁寧に洗う。
その時鏡に映った自分の身体を見て、美しい……と思うことは一切無く、無数の斬り傷や火傷の痕に思わず俺が生活していたあの地獄のような場所を思い出していた。だが、断じてブサイクではないぞ。上の中ぐらいだ。いや、上の下?中の上?ま、そのぐらいだ。銀のメッシュが入った黒髪に、吊り目。それなりに整った顔立ち。だから俺はブサイクなどではない。ま、前世の俺よりも遥かにイケメンなのは間違いないけど。おっと俺としたことが、誰も居ないのに誰に訴えかけているのやら。
ま、なんだ。そんな地獄のような場所での思い出は前世での暮らしなどが霞むほど濃密で驚きの連続だ。ほんとツッコんでばっかりだったような気がする。
「あの気まぐれ島で休まる日々は少なかったからな」
そんな地獄のような5年間の中で唯一安らぎと安寧を覚えたのがこの銀と銀の母親であり、俺の命の恩人であり、師でもあったアイツだけだ。
「まさか人の姿にもなれるとか反則だろう」
あの俺好みのナイスバディになるなんて、何度俺の息子がハッスルになった事やら。
おっといかんいかん。これではただの変態だ。
銀を洗い終えるとタオルで身体を拭いて着替え、そのあと銀の毛を乾かす。ドライヤーの熱風が心地よいのか目を瞑っていた。カワイイな。
そんなこんなで俺たちはベットに入って寝るのだった。絶対またあの糞女神に会って文句言ってやる。
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ジンと別れ寝室に戻ってきた私は部屋に取り付けられた受話器から聞こえてくるお父様からの話に頭を悩ませていた。
「ですからお父様。私はまだ結婚する気はありません」
『我侭を言うな』
呆れと少し時を含んだお父様の声が受話器から聞こえてくる。
「我侭ではありません。私は最初に申し上げた筈です。私より強い男性としか結婚しないと。お父様も了承した筈ですよね」
そんな私の返答にお父様の声は渋いモノに変わる。
『確かに了承したが既にお前と同い年の女子たちは婚約しているではないか』
「婚約だけであって結婚はしていないでしょう」
『むぅ……だが婚約すらしていないのはお前ぐらいだ』
そんなわけがない。私が知る限りで婚約していない貴族令嬢だっている。
お父様もそれぐらい私が知っている事ぐらい知っている。だけどお父様が言いたいのはそう言う事ではない。
貴族として危機感を持てと言いたいに違いない。
数百年前とは違い、今の貴族全体の結婚する平均年齢は数百年前よりも3歳~4歳ほど上がっている。理由としては魔物の脅威度は昔に比べて遥かに下がっているため。
武器も技術力も全てにおいて上がっているんだもの。そうなれば自然と子孫を残すと言う本能も使命も薄れてくるのは当然よね。
「だからそれは私より強い男性が居ないからです」
『………この話は帰ってからじっくりするとしよう』
「帰ってからも変わりませんよ」
納得していないお父様は最後にそう言ってきたけど、この不毛な会話を帰ってからしたくないがために、そう言って受話器を戻した私はソファの背凭れに体重を預ける。
「まったくお父様も結婚結婚ってしつこいんだから」
「それだけお嬢様の未来が心配なのです」
「心配なのはルーベンハイト家の跡取りが出来ない事でしょ」
紅茶を注ぎながらセバスがそう言ってくる。
私は侯爵家であるルーベンハイト家に生まれてきた。だから政略結婚も致し方が無いと分かってはいる。だけど私は未だに結婚するつもりがない。その理由は幾つかあるが、これまで出会ってきた男たちがろくでもないのと魔物討伐を行うのが好きだから。別に戦場での緊張感や戦闘での死ぬかもしれないスリルが味わいたいからではない。いや、それも少しはある。だけど私は戦場で仲間と共に戦い勝利した後の部下たちの表情が好きだから。大切な民を守れたという実感が好きなのだ。
「それに私の性格はよく知ってるでしょ。絶対に大人しくしてないわよ。そう言う意味では妹のリリーの方が向いているかもね」
「お嬢様、それは失言かと」
「そうね。ごめんなさい」
貴族として生まれた私はおいそれと言葉を言うことが出来ない。言葉一つで我が家の未来を潰すかもしれないのだから。それに今の言葉は妹に対しても失礼だ。
だいたい結婚しろって言うのであれば、私に対してではなくお兄様に言うべきじゃないのかしら、ルーベンハイト家を継ぐのはお兄様なんだし。
「だけど私はまだ結婚する気は無いわよ」
「重々承知しております」
セバスが淹れてくれた紅茶が入ったティーカップを口元に運ぶ。
そんな時ドアがノックされる。
「誰かしら?」
「お嬢様、ロイドです」
「入って頂戴」
セバスがドアを開けると礼儀正しく入ってきた。
「で、どうしたの?」
「はい。どうやらあの男はお風呂に入ったあと就寝したようなので報告にと」
その報告に私は簡素な返事をする。正直ジンには失礼な事をしたと思っているわ。だけど魔物が跋扈する禁止区域に居た人間をそうそう信用出来る筈も無い。
「しかし監視はもうよろしいのですか?」
「ええ、構わないわ」
どうせ監視していたところでボロは出さないでしょうし。
「しかし流石はお嬢様、仲良くしつつも相手を疑っていたとは流石です」
ロイドは感服しているけど私は別にジンが私を殺しに来た暗殺者だとは思っていない。この世界に来たばかりで知識に疎い迷い人と大差ない。
「ちょっと気になる事があっただけよ」
「気になることですか?」
「ええ」
疑問符を浮かべるロイドを他所に紅茶を堪能する。
「ここは禁止区域。魔物が跋扈する場所。強さで言えばランクE~Bまでの魔物しか居ないけど、たまにランクAだって現れる場所なのよ。ジンはそんな場所にたった一人で居た。おかし過ぎるわ」
「と言いますと?」
「ロイドは知っているでしょ。ジンのステータスを」
「はい。送り人である事には驚きましたが、どう見ても常人以下のステータスでしたね」
真面目な表情で答えるロイドだけど、声音からジンを馬鹿にしているのが分かる。まったくどうしてこうなったのかしら?ま、今はそれよりもジンの事よね。
「そう。だからこそおかしいのよ」
「と言いますと?」
「あのステータスでどうして今まで生き残れたのかしら?」
「っ!それはこの世界に転移ばされたばかりとも考えられます」
「だったらステータスに表示されるレベルは1の筈よ。それにあの魔狼が短期間であそこまで懐くとは考えられないわ」
「確かに」
「それに軍医の話だと体中に戦闘の痕が残っていたそうよ」
「つまりお嬢様はあの男が転移したのは一年前近くだと言いたいのですか?」
「そう言いたいのだけど、魔物が跋扈するこの場所でレベルが13までしか上がらないのはおかしいわ」
「確かにそれはおかしいですな。レベルCの魔物を3体討伐すればレベル10には達しますからね」
セバスも顎に手を当てながらそう口にした。
「それにこの禁止区域で過ごしていたのであれば間違いなく焚き火はするはず。なのに管理塔からの報告はこれまでと一切変わりのないものだった」
「つまりあの男は前に別の場所に居て転移ばされてこの禁止区域にやってきたということですか?」
そんな私の言葉にロイドは意図を読み取り代弁する。
「一番しっくりくるのはそうなるでしょうね。それも人が居ない場所から転移ばされた可能性が高いわね。でないとこの世界についてもう少し知っていてもおかしくないもの」
「確かにそうですね」
しかしその後誰も言葉を発することなく数分が過ぎた。
これ以上話していたところで答えは出そうにないわね。そう判断した時だった。
「明日本人に聞いてみれば如何でしょう?」
顎に手を当てて考え込んでいたセバスから出た言葉に私とロイドは驚きのあまり目を見開けた。
確かに私も一度は考えたけど除外した案がまさかセバスの口から発せられるとは思っていなかったわ。
「セバス本気なの。正直に答えてくれるとは思わないけど」
「お嬢様の言う通りです」
「命の恩人を無下にするような方には見えませんでしたので、もしかしたらという話です」
確かに聞いてみないと答えてはくれない。向こうから話してくれるのが一番だけどいきなり話してくる人間なんていない。でも何かを失うわけでもないし平気よね。
「良いわ。明日の朝食の時にでも聞いてみるわね」
「そう為さるのが宜しいかと」
どうせ話してくれなかったとしてもお父様に頼んで調べて貰えれば良いだけの話だしね。
「それじゃあ私はもう寝るわね」
「お休みなさいませ」
「お休みなさいませ、お嬢様」
「ええ、お休み」
セバスとロイドと挨拶を交わした私は二人が出て行ったのを確認してからネグリジェに着替える。正直禁止区域でこんな格好で寝るのは危機感が無いと言われそうだけど、少しぐらい気を緩めないと疲れが残って明日に響くしね。
「ジンは正直に答えてくれるかしら」
そんな事を思いながら私は就寝するのだった。
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