モンスターコア

ざっくん

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第一の神獣。死の軍勢の片鱗

41話 ミーニャさん登場だにゃ!

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 トウカの分身たちが捨て身の特攻でモンスターを誘導している間、パンドラ大陸の港と学園の砲撃施設のに着々と戦力が集められていた。彼らは戦闘系統の学部のいずれかの資格でBランク以上を獲得した生徒か、戦闘学科の教員である。
 教員であるリオンは前衛の戦力として港で待機していた。

「あーッ、リオン!久しぶりにゃー」

 可愛らしい獣耳をつけ空色の髪をした女性が船から降り、リオンに話しかけた。同僚のミーニャである。

「やめろ、知り合いだと思われる」

「えー、こんな強くて可愛いいネコっ娘いにゃいぞ!」

 ミーニャは決めポーズまでつけ、リオンに媚びた様子で言い寄った。

「近づくな!てか、お前は犬だろ!せめてワンにしろ!」

「どうせ耳だけじゃ分からないにゃー。というか、今さらキャラ変とか恥ずかしすぎて出来ないにゃ…」

 急にどんよりとした雰囲気を出した。感情の変換に合わせて耳もピクピクと変化するようで、元々ピンと立っていた耳は下に垂れていた。

「おい、(にゃーはいいのか、!?にゃーは!?)」

 そんな、リオンのツッコミを他所に、速攻で立ち直ったミーニャがある提案を持ちかける。

「そうにゃ!今回の作戦一緒に組まにゃい?」

「あ?それはいいが、ランク外が二人固まるんは他がキツくなるぞ」

 ランク外とは実力が計り知れない者に与えられる称号である。ランクA以下では何人集まろうと越えることのできない壁が存在する。

「そこで私は考えました。」

 急に口調を変える。

「ん?」

「最前線の一歩先でデートにゃ!」

 口調はすぐに戻った。

「は!?」

「まぁ待つにゃ、ノープランという訳じゃにゃい、どうにゃ?」

 ミーニャはリオンに擦り寄る。

「分かった、一緒に行ってやる。そのかわり、デートは撤回しろ」

 リオンはミーニャを引き離したが、提案には賛同した。

「にゃ!?なんでにゃ?(意外とあっさり、)」

「聞くな」

『…(にゃんだかにゃ~)』

 ミーニャの目にはリオンが何かを焦っている様に見えた。

ーーー
 作戦開始と共に二人はリオンの魔法で半球状の形をとった万軍の眼前に飛んだ。

「にゃーーッ!」「はぁーーッ!」

 二人は刃渡り数キロメートルの刀を形成して万軍を斬り裂いた。リオンの『影魔法』と、ミーニャの『毒液魔法』で出来た刃は万軍を中心クロスし四つに引き裂いく。
 しかし、万軍は何事も無かったかの様に合流して元に戻った。

「にゃッ!」

 ミーニャは声を上げて驚いた。しかしそれは、手応えの感じさせない万軍の反応に対しての物では無かった。斬りつけた刀が刃こぼれでボロボロになっていたのである。

「燃費悪いにゃ~」

 空中に浮かんだまま『毒液魔法』を発動させて刀を修復し、刀を重そうに持ち上げる。

「にゃ!」

「そのレベルを再利用するのはお前だけだ」

 リオンは既に刀を手放していた。
 万軍は大砲の様に姿を変えて二人に狙いを定める。中心には大量のエネルギーが圧縮されており、今にも解き放たれようとしていた。その時、学園側から無数の魔法攻撃が無数の流星のようにして襲いかかった。中には『座標魔法』で直接送り込まれたものもあり。万軍を形成するモンスターが次々と蹂躙されていった。圧縮されたエネルギーはコントロールを失い爆発した。

「にゃいす~」

 ミーニャは魔法で毒液の薄い膜を二つ作り、自身とリオンを爆風からの守った。

「これはもう終わり…か」
 
 リオンは残党を殲滅すべく武器を生成する。その時、凄まじい風圧が二人を襲った。誰もが戦いが終わったものだと思っていた。しかし、砂埃が晴れたあとその場に居たのは先程と全く変わらない万軍の姿である。

「なッ!(嘘だろ…)」

 リオンは驚愕のあまり一手遅れた。
 万軍は蛇のように体を伸ばし、一瞬にしてリオンとミーニャを飲み込んだ。腹の中は『闇魔法』の霧で満ちており、一寸先は闇の状態であった。

「…クッ!」

「ミャー!」

 闇魔法に触れた事によって、リオンとミーニャにそれぞれかけられた魔法の効果が消る。空中にとどまるすべを失った二人は万軍の形成する地面に向けて真っ逆さまに落ちて行った。

「……」

 何も見えぬ暗闇の中、二人は地面が迫っているにも関わらず静かに目を閉じた。集中力が徐々に上がっていく。地面に接するその刹那、ふところから剣を取り出し目にも止まらぬ速さで切り裂いた。
 その剣はモンスターを容易く切り裂き、魔法により発生した衝撃波は尚も進み続ける。そして何より、『闇魔法』の霧に晒されても霧散どころか切れ味一つ落ちなかった。何故なら、それは魔法で形成されたものでは無いく、魔剣だったからである。魔剣とは魔道具の一種である。
 衝撃はによって空いた穴には霧が入って来ていないため二人は魔法を発動させて宙に浮いた。

「「フフフッ」」

 おもむろに無色のコアを取り出すと柄の窪みにはめ込んだ。コアは剣に吸収されていく。その後、剣が徐々に熱を帯び始めていった。二人は衝撃波によって空いた穴の奥に落とした。

(た~まや~)

 (た~まにゃ~)

 これが魔剣の正しい使い方である。
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