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毎日毎日放課後呼ばれ、無理やりされ、助けを求める相手もおらず、碧は身体も心も疲弊していた。
それでも毎日勉強は続けていた。
まともに食事も取れず、前よりなんだか痩せた気がする。食べてもなんだか気持ち悪くてすぐに戻してしまう。体調も最近はずっと良くない。眠れてないせいかクマも酷い。鏡で自分の顔を見る度に生気がなくなっていってる気がする。
心を無にしていないと自分が保てなさそうで、最初は抵抗していたものの、もうこんなに汚れた自分がまた汚れようと何も変わらない、そう思うようになっていた。
お兄ちゃんが意識不明という重体の中自分が楽しんで学校生活を送ろうとした罰なのかもしれない。
皇様の顔を見ることもなくなった。こんなに汚いやつを視界に入れたくないのも当然だ。教室にも来なくなってしまったのは自分のせいかもしれない。申し訳ない気持ちにもなる。
毎日ミヤのところに行くことだけが心の救いになっていた。
気づいたらテスト前日になっていた。
学校に行かないと、そう思うのになかなかベッドから出られない。酷い頭痛もする。敦として通っている以上勝手に休むのは良くない、そう思うのに身体が動かない。
なんだか寒気もしてくる。
布団をかぶり丸まるけど全く良くならない。
気づかないうちに碧の意識は落ちていった。
------------------------
(蓮side)
遅くなった。けどなんとかテストには間に合うように戻ってこれたな。
今回は家の会社のことで想像以上に任されてしまい時間がかかってしまった。まあそれでもテスト前日に帰ってこれたから充分だろう。
あんま学校から離れたくない時期だったが最近はあの二人良さげな感じだったし俺がいない間にもっと上手くいってるかもしれない。
とりあえず悠人に後でどうなってるか聞いてみるか。
今日の午前までは休みとってるから午後授業出てその後に生徒会室にでも行くか。そこで聞けばいいだろう。
残ってたちょっとした仕事を午前中に終え、ちょうど昼休みの時間だった。
せっかくなら西園寺の方の様子も知りたいなと思い、いつものネコの所にどうせ来るだろうと思い向かった。
「ミャー!ミャー!」
あれ?西園寺がいない。俺の方が早かったか?
「おい、ネコ。西園寺はどこだ?」
なんだかネコの様子がいつもと違う。いつもは来たやつに近寄っていったりするのに茂みの入口のところに行ってすぐに座り込んでいる。
西園寺が来るのを待っているのか?
しばらく待ってみたけど来る気配がない。
なんかおかしい。胸騒ぎがする。大抵こういう嫌な予感は当たるものだ。
悠人に聞いた方が早いかもしれない。
急いで悠人に電話する。
「悠人、今どこにいる?」
「あ、蓮、生徒会室にいるけど。帰ってきたんだ?」
「ちょっと今からそっち行くから。」
テスト前だし生徒会の仕事ってなんかあったか?
ないよな?
ガチャ
「蓮、お帰り。」
「ああ。悠人、西園寺の事だけど、西園寺と最近どうだ?」
「蓮ももう話聞いたの?早いね。もう全然顔みてない。見たくもない。」
「何の話だ?」
「え、聞いたんじゃないの?」
「今日帰ってきたばっかで何も聞いてない。何があった?」
「それが...........」
悠人から聞かされた話は衝撃だった。
想像以上に胸糞悪い話だった。
嫌な予感が当たってしまった。
俺の判断ミスだ。あいつは敦じゃない、碧であって別人なんだ、そう伝えるべきだった。悠長にふたりの仲が深まっていくのを待ってる場合じゃなかった。
「悠人、てめぇ......お前なんも見えてなかったな。ほんとにあいつが好き好んでそんなことするやつだとここ何日か一緒に暮らしててそう思ったのか?お前は同じ部屋で暮らして何を見てきたんだ?」
俺の判断ミスだと思いつつ、目が曇ってなんも見えてない悠人に苛立つ。
「は?蓮、何言ってんの?」
「自分で気づけよと思って言ってなかったけど........
あいつは西園寺敦じゃねぇ。あいつは双子の弟の西園寺碧だ。本物の敦は階段から落ちたあと今もまだ意識が戻ってなくて代わりに弟の碧が敦に成り代わって学校に来てるんだ。」
「え・・・・・・」
悠人の顔から表情が抜け落ちた。
「え、そんな、え、俺が一緒に過ごしてたのは別人ってこと....?」
「そうだよ。てめぇ、西園寺は今どうしてる?」
「最近全然見てないから分からない....」
「まずいぞ、昼だしあのネコんとこにいるかと思って行ったけどいなかった。とりあえず教室に行ってみるぞ。」
「あぁ......」
「そんな...別人だなんて....俺、色々言っちゃいけないこと言ってしまった....」
「後悔してる場合じゃねぇよ。早く行くぞ。」
急いで教室に向かう。
ガラガラガラッ
いねぇな。
「なぁ、西園寺って今日学校来てたか?」
近くにいたクラスメイトに聞く。
「あ、九条様......いや、今日は来てないです。あの......最近様子が変で、それでも昨日までは学校来てたんですけど今日来てなくて.....なんかちょっと心配で.......」
「分かった、ありがとう。」
西園寺のことを心の中では心配してるクラスメイトもいるということに進歩を感じるが今の状況の不味さに苛まれる。
「寮の部屋に行くぞ。」
学校休んでるってことは寮にいるはずだ。あの西園寺が学校休むって相当だ。かなりまずい状況が予想される。
隣の悠人の表情も固い。とにかく急いで俺らは寮に向かった。
それでも毎日勉強は続けていた。
まともに食事も取れず、前よりなんだか痩せた気がする。食べてもなんだか気持ち悪くてすぐに戻してしまう。体調も最近はずっと良くない。眠れてないせいかクマも酷い。鏡で自分の顔を見る度に生気がなくなっていってる気がする。
心を無にしていないと自分が保てなさそうで、最初は抵抗していたものの、もうこんなに汚れた自分がまた汚れようと何も変わらない、そう思うようになっていた。
お兄ちゃんが意識不明という重体の中自分が楽しんで学校生活を送ろうとした罰なのかもしれない。
皇様の顔を見ることもなくなった。こんなに汚いやつを視界に入れたくないのも当然だ。教室にも来なくなってしまったのは自分のせいかもしれない。申し訳ない気持ちにもなる。
毎日ミヤのところに行くことだけが心の救いになっていた。
気づいたらテスト前日になっていた。
学校に行かないと、そう思うのになかなかベッドから出られない。酷い頭痛もする。敦として通っている以上勝手に休むのは良くない、そう思うのに身体が動かない。
なんだか寒気もしてくる。
布団をかぶり丸まるけど全く良くならない。
気づかないうちに碧の意識は落ちていった。
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(蓮side)
遅くなった。けどなんとかテストには間に合うように戻ってこれたな。
今回は家の会社のことで想像以上に任されてしまい時間がかかってしまった。まあそれでもテスト前日に帰ってこれたから充分だろう。
あんま学校から離れたくない時期だったが最近はあの二人良さげな感じだったし俺がいない間にもっと上手くいってるかもしれない。
とりあえず悠人に後でどうなってるか聞いてみるか。
今日の午前までは休みとってるから午後授業出てその後に生徒会室にでも行くか。そこで聞けばいいだろう。
残ってたちょっとした仕事を午前中に終え、ちょうど昼休みの時間だった。
せっかくなら西園寺の方の様子も知りたいなと思い、いつものネコの所にどうせ来るだろうと思い向かった。
「ミャー!ミャー!」
あれ?西園寺がいない。俺の方が早かったか?
「おい、ネコ。西園寺はどこだ?」
なんだかネコの様子がいつもと違う。いつもは来たやつに近寄っていったりするのに茂みの入口のところに行ってすぐに座り込んでいる。
西園寺が来るのを待っているのか?
しばらく待ってみたけど来る気配がない。
なんかおかしい。胸騒ぎがする。大抵こういう嫌な予感は当たるものだ。
悠人に聞いた方が早いかもしれない。
急いで悠人に電話する。
「悠人、今どこにいる?」
「あ、蓮、生徒会室にいるけど。帰ってきたんだ?」
「ちょっと今からそっち行くから。」
テスト前だし生徒会の仕事ってなんかあったか?
ないよな?
ガチャ
「蓮、お帰り。」
「ああ。悠人、西園寺の事だけど、西園寺と最近どうだ?」
「蓮ももう話聞いたの?早いね。もう全然顔みてない。見たくもない。」
「何の話だ?」
「え、聞いたんじゃないの?」
「今日帰ってきたばっかで何も聞いてない。何があった?」
「それが...........」
悠人から聞かされた話は衝撃だった。
想像以上に胸糞悪い話だった。
嫌な予感が当たってしまった。
俺の判断ミスだ。あいつは敦じゃない、碧であって別人なんだ、そう伝えるべきだった。悠長にふたりの仲が深まっていくのを待ってる場合じゃなかった。
「悠人、てめぇ......お前なんも見えてなかったな。ほんとにあいつが好き好んでそんなことするやつだとここ何日か一緒に暮らしててそう思ったのか?お前は同じ部屋で暮らして何を見てきたんだ?」
俺の判断ミスだと思いつつ、目が曇ってなんも見えてない悠人に苛立つ。
「は?蓮、何言ってんの?」
「自分で気づけよと思って言ってなかったけど........
あいつは西園寺敦じゃねぇ。あいつは双子の弟の西園寺碧だ。本物の敦は階段から落ちたあと今もまだ意識が戻ってなくて代わりに弟の碧が敦に成り代わって学校に来てるんだ。」
「え・・・・・・」
悠人の顔から表情が抜け落ちた。
「え、そんな、え、俺が一緒に過ごしてたのは別人ってこと....?」
「そうだよ。てめぇ、西園寺は今どうしてる?」
「最近全然見てないから分からない....」
「まずいぞ、昼だしあのネコんとこにいるかと思って行ったけどいなかった。とりあえず教室に行ってみるぞ。」
「あぁ......」
「そんな...別人だなんて....俺、色々言っちゃいけないこと言ってしまった....」
「後悔してる場合じゃねぇよ。早く行くぞ。」
急いで教室に向かう。
ガラガラガラッ
いねぇな。
「なぁ、西園寺って今日学校来てたか?」
近くにいたクラスメイトに聞く。
「あ、九条様......いや、今日は来てないです。あの......最近様子が変で、それでも昨日までは学校来てたんですけど今日来てなくて.....なんかちょっと心配で.......」
「分かった、ありがとう。」
西園寺のことを心の中では心配してるクラスメイトもいるということに進歩を感じるが今の状況の不味さに苛まれる。
「寮の部屋に行くぞ。」
学校休んでるってことは寮にいるはずだ。あの西園寺が学校休むって相当だ。かなりまずい状況が予想される。
隣の悠人の表情も固い。とにかく急いで俺らは寮に向かった。
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