兄の代わりを務めたら嫌われものでした

レタ

文字の大きさ
35 / 57

34

翌日。

最近先生以外とお話してないから緊張する。
もう来るかな、ほんのちょっとだけ怖い気持ちもある。


ガラガラ


「あ.......ごめん。荷物置いたらすぐ帰るから。」

僕が起きているのを見て表情を変えた皇様は荷物を置いて直ぐに帰ろうとしている。

「ま.......待ってください.......」

驚いた表情でこちらを見てくる。

「あの、少しお話しませんか....?あ、いや.......やっぱり大丈夫です......」


急に自分何言ってるんだろうって気持ちになってやっぱり取り消す。


「え、あ、もう少しここに俺がいてもいいのか...?あ、碧くん...はそれで負担にならない?大丈夫?」


初めてちゃんと僕のことを"碧"として認識されてるって感じがして少しだけ嬉しくなった。
前よりも話し方が優しい気がする....


「まだ男の人が怖いんですけど、リハビリしていきたくて...皇様は他の人よりも怖くないので....すみません、勝手にそんなことに付き合わせてしまって。お忙しいですよね、無理しなくて大丈夫です...」


自分勝手に巻き込んでる気がする。


「いや、それなら全然大丈夫。忙しくないしこれ以上に大事なことなんて何もない。碧くんさえ良ければ起きてる時に来てもいい?碧くんがキツくなったらすぐに部屋出るから....」


なんかすごくここに来たがってるように聞こえる。そんなわけないはず。でもこの間九条様もそんな感じのこと言ってた。罪悪感を感じてるのかな...?こっちが勝手にダメージ受けただけで皇様は何も悪くないのに。

「お願いしてもいいんですか...?」

「もちろん。むしろこっちからお願いしたいくらい。」

「ありがとうございます。」



「最初に碧くんに伝えたいことがあるんだけど聞いてもらってもいい...?」

「はい。」

「今まで本当にごめん。碧くんのこと何も見ずに決めつけて酷い態度をとってた。敦の方に苦い思い出があって、ずっと嫌ってたんだ。でも一緒の部屋で生活し始めて、あんなに嫌いだったはずなのに一緒にご飯食べたりするのが嫌じゃなくなって、むしろ一緒に食べたいって思うようになって。自分でも戸惑ってて。でも俺はあの日碧くんのことを信じられなくて。敦と別人だと知らなくても何か違うって分かってたはずなのに俺はあんなことを言って突き放してしまった。本当にごめん。本当に急に手のひら返しのような態度で不信感もあるだろうし、俺の勝手なわがままなんだけど少しづつ前みたいに一緒にご飯食べたりお話できるようになりたい。」


皇様は苦しそうな顔をしながらそう話した。
またご飯食べたりお話できるようになりたい、そう思ってくれてるっていうのがすごく嬉しくて少し心が元気になる。

「謝らないでください。兄の振りをしてたんだからそんなの当然の反応だし、兄が昔皇様が可愛がってたネコをいじめて死なせてしまったっていうのも九条様に聞きました。兄に代わって謝らせてください。ごめんなさい。
一緒にご飯食べてくれて、連絡先交換していただけて、色んな初めての心があったかくなることが皇様のおかげでありました。本当に感謝しているんです。あの5人のことも皇様が対応してくださったと聞きました。本当にありがとうございます。
僕もまた一緒にご飯食べたりお話したりしたいです...」




「良かった.....ありがとう.....」

その後は僕の今の体調や何か食べたいものがないか聞かれたりした。

あんまり食べれてないことを伝えると、皇様はちょっと辛そうな顔をしたあと、こんな提案をしてきた。


「もし嫌じゃなかったら、夜ご飯、一緒にここで食べたらダメかな?」

「一緒に...ですか?」

「ごめん、がっつきすぎた。今日やっと久しぶりに話せたのにさすがに一緒にご飯は早いよな。もう少し慣れたら...どうかな?」

「今日はまだちょっと分からないですけど、もう少し慣れたらぜひ一緒にご飯食べたいです。そうできるように頑張ります。」

「無理はしないでね。いくらでも待つから。」

そう言って、最初から長くいると負担になるだろうからと皇様は帰って行った。


深く息を吐く。
やっぱり少し緊張していたみたいだ。
 でもそうありながらも少し気持ちが前向きになれてる自分がいる。


「碧くん、大丈夫?無理してない?少し疲れただろうから今日はご飯食べたらお休みしようね。でも表情、少し良くなってるよ。」

優木先生にそう言われ、この調子なら少しづつリハビリしていけるかもしれない、そう思った。
感想 41

あなたにおすすめの小説

【完結】それ以上近づかないでください。

ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」 地味で冴えない小鳥遊凪は、ずっと憧れていた蓮見馨に勢いで告白してしまう。 するとまさかのOK。夢みたいな日々が始まった……はずだった。 だけど、ある出来事をきっかけに二人の関係はあっけなく終わる。 過去を忘れるために転校した凪は、もう二度と馨と会うことはないと思っていた。 ところが、ひょんなことから再会してしまう。 しかも、久しぶりに会った馨はどこか様子が違っていた。 「今度は、もう離さないから」 「お願いだから、僕にもう近づかないで…」

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

総長の彼氏が俺にだけ優しい

桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、 関東で最強の暴走族の総長。 みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。 そんな日常を描いた話である。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。 完結しました!ありがとうございました。

たとえば、俺が幸せになってもいいのなら

夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語――― 父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。 弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。 助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、