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二人 其の十
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十
宿場町に飯盛女。
飯盛女は春を売る。
しかし、対外的には私娼ではなく、給仕女に過ぎないということになっている。
幕府は実情を把握しつつも、宿場町の役割を保護するために黙認している。
利用する者も建前だけでは終わらせない。
武士であっても、百姓であっても同じである。
金さえ払えば客。
その事実に身分は関係ない。
吉原のような格式を厭う男たちは、岡場所へと流れていった。
それは、大きな金の流れにもなった。
※
「厄介者が厄介事を招きやがった!」
読んでいた文を握りしめると、その握りこぶしで床を叩く。
あまりの強さに見知りと床板が軋んだ。
この文は、内藤新宿の親分である哲蔵宛に届けられたとして、子分が差し出してきたものだ。
やくざ者に見合わず、整然と書かれており、ひらがなが多用されている。
反して内容は過激なもので、『太平という男を預かっている。返してほしくば金五百両か縄張りを譲り渡すこと』と記されていた。
それに加え、送り主として荒寺に住まう者と署名されていることも、哲蔵の神経を逆なでした。
明らかに誘いである。
されども、何もしない訳にはいかない。
太平は浅草の有力者から預かっている客分であるし、金五百両などという大金を払えるわけもない。
例え、身代金を払えたとして、太平が帰ってきても、それ一度だけで済むとは到底思えない。
何より、無法者の言いなりになって、身代金を支払ったと知られれば、自分の求心力が低下するだろう。
脅迫を無視して静観しても、結果は同じである。
内藤新宿の親分という立場は、遅かれ早かれ失うことになるだろう。
となれば、取るべき道は、文の主が提示した条件以外。
それは、裏の世界の支配者である哲蔵にとって必然の選択であり、同じ世界に生きるやくざ者にとっても、予期し得るものである。
哲蔵親分に優位性があるとすれば、犯罪者の捕物に慣れているという点であろう。
踏み込む先が寺である点を考慮して、連れて行く人員は子飼いの子分のみにし、使い慣れた刺股や袖搦を持たせる。
とは言いつつ、今回は、いつもの捕物のように生きたまま捕らえる必要もない。
神棚に鎮座する一尺八寸の脇差を睨む。
太平のソレとは違う年季の入った拵え。
哲蔵親分とともに生きた脇差は、歴戦の兵のような貫禄がある。
「やるしかねぇ」
頼りになる相棒を見つめ、決意を固める哲蔵。
ギラギラとした目を煌めかせ、子分へ指示を出す。
襲撃は今夜。
誰もが寝静まった頃合い。
夕立雲のように湧き上がった存亡の危機。
老いを感じ始めていた哲蔵の血が熱く滾っていた。
※
哲蔵と子分五名は、人目を避けるように荒れ寺目前まで集まると、いつも通りの捕物隊形になり参道を進んだ。
夜目が利く子分が物見となり、先行して寺の状況を確認している。
その報告によると、境内の中央に人が転がされており、その横に座した男が酒か何かを飲んでいるとのこと。
哲蔵は報告を聞くと、わずかに思案した。
あまり時間をかけなかったのは、そもそもが自分たちを誘い出すための罠であること、酒を飲んでいようが偽りであろうが、踏み込むことには変わりないこと等の理由からだった。
むしろ近場でウロウロして、自分たちの居所が露見する方が不味い。
退くことなど出来ないのだから、進むのみ。
道しるべとしての頼りない明かりで参道を進み、境内まで出来るだけ近づいた。
そうして一度立ち止まると、装備を改め、龕灯の準備を整える。
哲蔵も子分たちも慣れたもので、気負いは感じられない。
子分たちは、哲蔵親分の下知を待ち受けるかのように顔を向ける。
「いくぜ。野郎ども」
小声でありながらも、力強い声で宣した。
口を固く結んだ子分たちは、小さく顎を引く。
捕物の場に踏み込むべく、ひたひたと忍び寄る哲蔵一行。
その足はやがて速度を上げていき、境内に踏み入る頃には駆け足へと変わっていた。
そして人影を視認した子分たちは、龕灯をその影へと向ける。
突然浴びせかけられた明かりを避けるように、腕で目を覆う男と青虫のように身を縮めた男。
駆ける足に応じて、龕灯の明かりも激しく揺れる。
「御用だ!」
興奮からか、子分の一人から捕物の掛け声が漏れた。
すると残る子分たちも「御用だ! 御用だ!」と続く。
これには、凶悪犯に立ち向かう恐怖を抑える目的や、暗がりでの同士討ちを避ける意味もある。
加えて相手を怯ませる効果もあるだろう。誰しも官憲に追われるとなれば逃げたくなるもの。
実際に、座り込んで酒を飲んでいたであろう男は、身を翻して逃げていく。
逃げていく男は、太平を捕まえ、痛めつけていたやくざ者である。
捕り方たちも、あからさまにやくざ者の風体の男が犯人だと思い、後を追う。
「待ちやがれ! 神妙にお縄につけ!」
そう言われて、神妙に待つ犯罪者はいない。
それでも、そのように言葉を投げかけることで、自分たちの優位性を示す。
子分たちは、地面に転がされた男に見向きもせず、やくざ者を追いかけ、寺の奥へと駆けていった。
後ろに続いていた親分の哲蔵は、足を止め、地面に転がされた男を確認した。
その男は、手足が妙に青白い。
埃まみれの顔は薄茶けていて、鼻水や涙の筋がまだらにこびりついていた。
龕灯の明かりを向けられ、眩しそうに顔をしかめているが、太平に間違いなかった。
何か言いたげだが、猿轡をされていて、「うぅ」と悶えた声を発している。
それを見た哲蔵は、しゃがみ込むと乱暴に猿轡を外す。
「痛ってぇ……。手足が折れてるんだ。もっと丁寧に外してくれよ。それに顔に明かりを向けないでくれ」
これが助けられた太平の言い草である。
確かに、手足を折られていれば、何をされていなくとも痛むであろう。
その折れた手足を無遠慮に縛られているのだから、一度体を動かせば激痛が走るのは想像に難くない。
だからといって、勝手に街を抜け出して、この状況を呼び寄せたのは太平本人である。
哲蔵は、鼻白んだように無視すると、太平の襟首を掴んで、参道の方まで引き摺っていった。
※
場面は、境内の奥の雑木林へと移る。
逃げていくやくざ者は、迷うことなく雑木林へと入っていった。
刺股や龕灯などを手にした子分たちは、やくざ者に追いつくことは出来ず、それを許した。
少し遅れながら、子分たちも雑木林へと踏み入れる。
いつものように、半円状に広がり、犯人を包囲するように進んでいく。
奥に逃げられれば厄介だが、やくざ者はそうしなかった。
「俺はここだぜ」
暗闇から粗野な声がする。
彷徨う龕灯の明かりは声の主を探し、次第に収束する。
浮かび上がるは、曇りなき刃を手にするやくざ者。
まだいくらか距離がある。
犯人を捕捉した子分たちは、銘々の捕物道具を構え、慎重に距離を縮める。
やくざ者は、何故か逃げはせず、ニヤニヤしながら接近を許している。
やがて双方の距離が八間(約15m)ほどになると、やくざ者が動く。
軽く腕を振るい、手に持った長ドスを木へと打ち付けると、地面に積まれていた拳大の石を握る。
それを躊躇なく明かりの発生源に向かって投げつけた。
一人、二人と投石によって受けた衝撃で、蹌踉めいたり、倒れ込む。
聞き慣れた仲間の悲鳴と、乱れる光明。
事態を察した捕り方たちは、刃物を手放している今のうちだと駆け出した。
だが、自体はさらに悪化する。
駆け出した三人のうち、二人がつんのめる。
足元には、やくざ者が拵えた結び罠。
残る捕り方は一人。
刺股を突き出し、やくざ者を捉えようとする。
しかし、やくざ者は横に避けて、木に刺さっていた長ドス引き抜いた。
焦る捕り方は、急いで刺股を向けようとするが、木々が邪魔をして思ったように扱えない。
その隙を見るや、やくざ者は長ドスを腰だめにして、体当たりのごとく、相手と体を重ねるのであった。
宿場町に飯盛女。
飯盛女は春を売る。
しかし、対外的には私娼ではなく、給仕女に過ぎないということになっている。
幕府は実情を把握しつつも、宿場町の役割を保護するために黙認している。
利用する者も建前だけでは終わらせない。
武士であっても、百姓であっても同じである。
金さえ払えば客。
その事実に身分は関係ない。
吉原のような格式を厭う男たちは、岡場所へと流れていった。
それは、大きな金の流れにもなった。
※
「厄介者が厄介事を招きやがった!」
読んでいた文を握りしめると、その握りこぶしで床を叩く。
あまりの強さに見知りと床板が軋んだ。
この文は、内藤新宿の親分である哲蔵宛に届けられたとして、子分が差し出してきたものだ。
やくざ者に見合わず、整然と書かれており、ひらがなが多用されている。
反して内容は過激なもので、『太平という男を預かっている。返してほしくば金五百両か縄張りを譲り渡すこと』と記されていた。
それに加え、送り主として荒寺に住まう者と署名されていることも、哲蔵の神経を逆なでした。
明らかに誘いである。
されども、何もしない訳にはいかない。
太平は浅草の有力者から預かっている客分であるし、金五百両などという大金を払えるわけもない。
例え、身代金を払えたとして、太平が帰ってきても、それ一度だけで済むとは到底思えない。
何より、無法者の言いなりになって、身代金を支払ったと知られれば、自分の求心力が低下するだろう。
脅迫を無視して静観しても、結果は同じである。
内藤新宿の親分という立場は、遅かれ早かれ失うことになるだろう。
となれば、取るべき道は、文の主が提示した条件以外。
それは、裏の世界の支配者である哲蔵にとって必然の選択であり、同じ世界に生きるやくざ者にとっても、予期し得るものである。
哲蔵親分に優位性があるとすれば、犯罪者の捕物に慣れているという点であろう。
踏み込む先が寺である点を考慮して、連れて行く人員は子飼いの子分のみにし、使い慣れた刺股や袖搦を持たせる。
とは言いつつ、今回は、いつもの捕物のように生きたまま捕らえる必要もない。
神棚に鎮座する一尺八寸の脇差を睨む。
太平のソレとは違う年季の入った拵え。
哲蔵親分とともに生きた脇差は、歴戦の兵のような貫禄がある。
「やるしかねぇ」
頼りになる相棒を見つめ、決意を固める哲蔵。
ギラギラとした目を煌めかせ、子分へ指示を出す。
襲撃は今夜。
誰もが寝静まった頃合い。
夕立雲のように湧き上がった存亡の危機。
老いを感じ始めていた哲蔵の血が熱く滾っていた。
※
哲蔵と子分五名は、人目を避けるように荒れ寺目前まで集まると、いつも通りの捕物隊形になり参道を進んだ。
夜目が利く子分が物見となり、先行して寺の状況を確認している。
その報告によると、境内の中央に人が転がされており、その横に座した男が酒か何かを飲んでいるとのこと。
哲蔵は報告を聞くと、わずかに思案した。
あまり時間をかけなかったのは、そもそもが自分たちを誘い出すための罠であること、酒を飲んでいようが偽りであろうが、踏み込むことには変わりないこと等の理由からだった。
むしろ近場でウロウロして、自分たちの居所が露見する方が不味い。
退くことなど出来ないのだから、進むのみ。
道しるべとしての頼りない明かりで参道を進み、境内まで出来るだけ近づいた。
そうして一度立ち止まると、装備を改め、龕灯の準備を整える。
哲蔵も子分たちも慣れたもので、気負いは感じられない。
子分たちは、哲蔵親分の下知を待ち受けるかのように顔を向ける。
「いくぜ。野郎ども」
小声でありながらも、力強い声で宣した。
口を固く結んだ子分たちは、小さく顎を引く。
捕物の場に踏み込むべく、ひたひたと忍び寄る哲蔵一行。
その足はやがて速度を上げていき、境内に踏み入る頃には駆け足へと変わっていた。
そして人影を視認した子分たちは、龕灯をその影へと向ける。
突然浴びせかけられた明かりを避けるように、腕で目を覆う男と青虫のように身を縮めた男。
駆ける足に応じて、龕灯の明かりも激しく揺れる。
「御用だ!」
興奮からか、子分の一人から捕物の掛け声が漏れた。
すると残る子分たちも「御用だ! 御用だ!」と続く。
これには、凶悪犯に立ち向かう恐怖を抑える目的や、暗がりでの同士討ちを避ける意味もある。
加えて相手を怯ませる効果もあるだろう。誰しも官憲に追われるとなれば逃げたくなるもの。
実際に、座り込んで酒を飲んでいたであろう男は、身を翻して逃げていく。
逃げていく男は、太平を捕まえ、痛めつけていたやくざ者である。
捕り方たちも、あからさまにやくざ者の風体の男が犯人だと思い、後を追う。
「待ちやがれ! 神妙にお縄につけ!」
そう言われて、神妙に待つ犯罪者はいない。
それでも、そのように言葉を投げかけることで、自分たちの優位性を示す。
子分たちは、地面に転がされた男に見向きもせず、やくざ者を追いかけ、寺の奥へと駆けていった。
後ろに続いていた親分の哲蔵は、足を止め、地面に転がされた男を確認した。
その男は、手足が妙に青白い。
埃まみれの顔は薄茶けていて、鼻水や涙の筋がまだらにこびりついていた。
龕灯の明かりを向けられ、眩しそうに顔をしかめているが、太平に間違いなかった。
何か言いたげだが、猿轡をされていて、「うぅ」と悶えた声を発している。
それを見た哲蔵は、しゃがみ込むと乱暴に猿轡を外す。
「痛ってぇ……。手足が折れてるんだ。もっと丁寧に外してくれよ。それに顔に明かりを向けないでくれ」
これが助けられた太平の言い草である。
確かに、手足を折られていれば、何をされていなくとも痛むであろう。
その折れた手足を無遠慮に縛られているのだから、一度体を動かせば激痛が走るのは想像に難くない。
だからといって、勝手に街を抜け出して、この状況を呼び寄せたのは太平本人である。
哲蔵は、鼻白んだように無視すると、太平の襟首を掴んで、参道の方まで引き摺っていった。
※
場面は、境内の奥の雑木林へと移る。
逃げていくやくざ者は、迷うことなく雑木林へと入っていった。
刺股や龕灯などを手にした子分たちは、やくざ者に追いつくことは出来ず、それを許した。
少し遅れながら、子分たちも雑木林へと踏み入れる。
いつものように、半円状に広がり、犯人を包囲するように進んでいく。
奥に逃げられれば厄介だが、やくざ者はそうしなかった。
「俺はここだぜ」
暗闇から粗野な声がする。
彷徨う龕灯の明かりは声の主を探し、次第に収束する。
浮かび上がるは、曇りなき刃を手にするやくざ者。
まだいくらか距離がある。
犯人を捕捉した子分たちは、銘々の捕物道具を構え、慎重に距離を縮める。
やくざ者は、何故か逃げはせず、ニヤニヤしながら接近を許している。
やがて双方の距離が八間(約15m)ほどになると、やくざ者が動く。
軽く腕を振るい、手に持った長ドスを木へと打ち付けると、地面に積まれていた拳大の石を握る。
それを躊躇なく明かりの発生源に向かって投げつけた。
一人、二人と投石によって受けた衝撃で、蹌踉めいたり、倒れ込む。
聞き慣れた仲間の悲鳴と、乱れる光明。
事態を察した捕り方たちは、刃物を手放している今のうちだと駆け出した。
だが、自体はさらに悪化する。
駆け出した三人のうち、二人がつんのめる。
足元には、やくざ者が拵えた結び罠。
残る捕り方は一人。
刺股を突き出し、やくざ者を捉えようとする。
しかし、やくざ者は横に避けて、木に刺さっていた長ドス引き抜いた。
焦る捕り方は、急いで刺股を向けようとするが、木々が邪魔をして思ったように扱えない。
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