16 / 28
二人 其の十五
しおりを挟む
十五
嘉納大膳を始末した宗次郎は、大野屋へと戻り、主の金吾郎と郁へ見回りが無事に終わったと伝えた。
金吾郎は酒や飯を用意してくれていたが、宗次郎は報告だけに留めて百人町の本田屋敷まで帰ることにした。
伊賀組が住まう百人町。
宿場町の内藤新宿を抜け、武家屋敷街へと戻れば、池田宗次郎は本田修二郎へと戻る。
屋敷を抜け出す時と同じように、人目に付かぬよう忍び込む。
忍家が集まるこの界隈でも、修二郎が見咎められることはなく、今夜も無事に帰宅した。
崩れ落ちるように、片膝を立てて座り込む修二郎。
高ぶった心を落ち着かせるように刀を抱き寄せる。
ただ、夜半を過ぎ、寝静まっているはずの屋敷でも、何か居心地の悪さを感じていた宗次郎。
もともと厄介者の部屋住みに対する蔑みの視線や感情だと思っていたが、この時刻ではそんな訳はない。
――いや、これは悪意ではないのか。
今日に限っては、その違和感をそう認識できた。
人を斬ったという非日常から来る興奮なのか、死線を越えたことにより感覚が明敏になっているのか。
ともかく、単なる厄介者という立場から生じる居心地の悪さとは違った何か。
そして気になるものは他にもある。
嘉納大膳が襲いかかってくる直前の違和感。
やくざ者と対峙していた時にも、嘉納の存在を察することが出来ていなかった。
それほどまでに巧妙に気配を隠す事ができた嘉納。
剣の腕前も相当のものだった。
斬りかかる直前ということを差し引いても、あそこで小石を蹴飛ばすような愚行を犯すものかどうか。
思考はぐるぐると巡り、眠れそうにない。
修二郎は、部屋の片隅に置いてある刀の手入れ道具を引き寄せ、手入れを始めたのだった。
翌朝、結局一睡もしなかった修二郎は、朝から軍兵衛道場に通い、戻っては下男のような家事仕事に追われた。十五
嘉納大膳を始末した宗次郎は、大野屋へと戻り、主の金吾郎と郁へ見回りが無事に終わったと伝えた。
金吾郎は酒や飯を用意してくれていたが、宗次郎は報告だけに留めて百人町の本田屋敷まで帰ることにした。
伊賀組の住まう百人町。
宿場町の内藤新宿を抜け、武家屋敷街へと戻れば、池田宗次郎は本田修二郎へと戻る。
屋敷を抜け出す時と同じように、人目に付かぬよう忍び込む。
忍家が集まるこの界隈でも、修二郎が見咎められることはなく、今夜も無事に帰宅した。
崩れ落ちるように、片膝を立てて座り込む修二郎。
高ぶった心を落ち着かせるように刀を抱き寄せる。
ただ、夜半を過ぎ、寝静まっているはずの屋敷でも、何か居心地の悪さを感じていた宗次郎。
もともと厄介者の部屋住みに対する蔑みの視線や感情だと思っていたが、この時刻ではそんな訳はない。
――いや、これは悪意ではないのか。
今日に限っては、その違和感をそう認識できた。
人を斬ったという非日常から来る興奮なのか、死線を越えたことにより感覚が明敏になっているのか。
ともかく、単なる厄介者という立場から生じる居心地の悪さとは違った何か。
そして気になるものは他にもある。
嘉納大膳が襲いかかってくる直前の違和感。
やくざ者と対峙していた時にも、嘉納の存在を察することが出来ていなかった。
それほどまでに巧妙に気配を隠す事ができた嘉納。
剣の腕前も相当のものだった。
斬りかかる直前ということを差し引いても、あそこで小石を蹴飛ばすような愚行を犯すものかどうか。
思考はぐるぐると巡り、眠気を遠ざける。
修二郎は、部屋の片隅に置いてある刀の手入れ道具を引き寄せ、手入れを始めたのだった。
※
翌朝、結局一睡もしなかった修二郎は、朝は軍兵衛道場に通い、戻っては下男のような家事仕事に追われた。
幼子でも腹が満たされないと思われる程度の晩飯を食い、夜更けを待つ。
いつもの時刻になると、身なりを浪人風に変え、屋敷を抜けだす修二郎。
内藤新宿の旅籠『大野屋』へと向かい、金吾郎としっかり話をせねばとの行動だった。
何せ、昨晩は結論だけ伝えて帰ってきてしまっていた。
あれでは、主への報告とは言えまい。ことの顛末をしっかりと伝えねば、安心できないだろう。
今後も用心棒稼業を続けさせてもらうのであれば、その辺りをしっかりしなければならない。
己の不始末を恥じ、逸る気持ちで塀を伝う。
いつものルートであれば、辻番所にも近づかずにたどり着ける。
内藤新宿まで今少し。
「今宵も御奉公かな。池田宗次郎。いや、本田修二郎」
あと少しで武家屋敷街を抜けられるというところで暗がりから声をかけられた。
驚いた修二郎は、屋根の上で身をかがめ、周囲を探る。
だが、周囲は建物の影が多く、人影を見定めることが出来ない。
観念した修二郎は、少しずつ移動しながら闇に問う。
「何者か」
「その警戒は正しい。しかし、気が付くのが遅すぎるな。俺が敵なら、その生命は無いぞ」
声の主は、修二郎の敵ではないと言う。
言葉では分かるが、現実問題、このような状況で真に受けることは出来ない。
修二郎は考えを巡らすように、慎重に言葉を重ねる。
「敵ではないと?」
「敵ではない。今はな。お前が上様の御政道を邪魔せぬ限りは、生かしておいてやる」
「上様? 御公儀の手の者か。伊賀組にお主のような声の者はおらぬ。別組の者か」
「そうだ。甲賀でもないがな。黒鍬でもないぞ。まあ、分かっておろうが」
公儀の忍び。
今もなお、忍びの腕前を高水準で維持し得る存在は、この江戸では皆無だった。
「ああ、お主のような腕達者の忍びは江戸にいなかった」
「そうだ。いなかった。だから我らが江戸まで来たのだ。上様とともに」
「……つまりは御庭番」
「左様」
突如、闇夜から声をかけてきた男の正体。
それは御庭番。将軍吉宗とともに紀州から江戸に入府した存在。
少数精鋭の集団で、吉宗の耳目となり、諜報活動を行っている紛うことなき忍び集団である。
その御庭番が夜毎屋敷を抜け出す修二郎を見張っていたのだった。
嘉納大膳を始末した宗次郎は、大野屋へと戻り、主の金吾郎と郁へ見回りが無事に終わったと伝えた。
金吾郎は酒や飯を用意してくれていたが、宗次郎は報告だけに留めて百人町の本田屋敷まで帰ることにした。
伊賀組が住まう百人町。
宿場町の内藤新宿を抜け、武家屋敷街へと戻れば、池田宗次郎は本田修二郎へと戻る。
屋敷を抜け出す時と同じように、人目に付かぬよう忍び込む。
忍家が集まるこの界隈でも、修二郎が見咎められることはなく、今夜も無事に帰宅した。
崩れ落ちるように、片膝を立てて座り込む修二郎。
高ぶった心を落ち着かせるように刀を抱き寄せる。
ただ、夜半を過ぎ、寝静まっているはずの屋敷でも、何か居心地の悪さを感じていた宗次郎。
もともと厄介者の部屋住みに対する蔑みの視線や感情だと思っていたが、この時刻ではそんな訳はない。
――いや、これは悪意ではないのか。
今日に限っては、その違和感をそう認識できた。
人を斬ったという非日常から来る興奮なのか、死線を越えたことにより感覚が明敏になっているのか。
ともかく、単なる厄介者という立場から生じる居心地の悪さとは違った何か。
そして気になるものは他にもある。
嘉納大膳が襲いかかってくる直前の違和感。
やくざ者と対峙していた時にも、嘉納の存在を察することが出来ていなかった。
それほどまでに巧妙に気配を隠す事ができた嘉納。
剣の腕前も相当のものだった。
斬りかかる直前ということを差し引いても、あそこで小石を蹴飛ばすような愚行を犯すものかどうか。
思考はぐるぐると巡り、眠れそうにない。
修二郎は、部屋の片隅に置いてある刀の手入れ道具を引き寄せ、手入れを始めたのだった。
翌朝、結局一睡もしなかった修二郎は、朝から軍兵衛道場に通い、戻っては下男のような家事仕事に追われた。十五
嘉納大膳を始末した宗次郎は、大野屋へと戻り、主の金吾郎と郁へ見回りが無事に終わったと伝えた。
金吾郎は酒や飯を用意してくれていたが、宗次郎は報告だけに留めて百人町の本田屋敷まで帰ることにした。
伊賀組の住まう百人町。
宿場町の内藤新宿を抜け、武家屋敷街へと戻れば、池田宗次郎は本田修二郎へと戻る。
屋敷を抜け出す時と同じように、人目に付かぬよう忍び込む。
忍家が集まるこの界隈でも、修二郎が見咎められることはなく、今夜も無事に帰宅した。
崩れ落ちるように、片膝を立てて座り込む修二郎。
高ぶった心を落ち着かせるように刀を抱き寄せる。
ただ、夜半を過ぎ、寝静まっているはずの屋敷でも、何か居心地の悪さを感じていた宗次郎。
もともと厄介者の部屋住みに対する蔑みの視線や感情だと思っていたが、この時刻ではそんな訳はない。
――いや、これは悪意ではないのか。
今日に限っては、その違和感をそう認識できた。
人を斬ったという非日常から来る興奮なのか、死線を越えたことにより感覚が明敏になっているのか。
ともかく、単なる厄介者という立場から生じる居心地の悪さとは違った何か。
そして気になるものは他にもある。
嘉納大膳が襲いかかってくる直前の違和感。
やくざ者と対峙していた時にも、嘉納の存在を察することが出来ていなかった。
それほどまでに巧妙に気配を隠す事ができた嘉納。
剣の腕前も相当のものだった。
斬りかかる直前ということを差し引いても、あそこで小石を蹴飛ばすような愚行を犯すものかどうか。
思考はぐるぐると巡り、眠気を遠ざける。
修二郎は、部屋の片隅に置いてある刀の手入れ道具を引き寄せ、手入れを始めたのだった。
※
翌朝、結局一睡もしなかった修二郎は、朝は軍兵衛道場に通い、戻っては下男のような家事仕事に追われた。
幼子でも腹が満たされないと思われる程度の晩飯を食い、夜更けを待つ。
いつもの時刻になると、身なりを浪人風に変え、屋敷を抜けだす修二郎。
内藤新宿の旅籠『大野屋』へと向かい、金吾郎としっかり話をせねばとの行動だった。
何せ、昨晩は結論だけ伝えて帰ってきてしまっていた。
あれでは、主への報告とは言えまい。ことの顛末をしっかりと伝えねば、安心できないだろう。
今後も用心棒稼業を続けさせてもらうのであれば、その辺りをしっかりしなければならない。
己の不始末を恥じ、逸る気持ちで塀を伝う。
いつものルートであれば、辻番所にも近づかずにたどり着ける。
内藤新宿まで今少し。
「今宵も御奉公かな。池田宗次郎。いや、本田修二郎」
あと少しで武家屋敷街を抜けられるというところで暗がりから声をかけられた。
驚いた修二郎は、屋根の上で身をかがめ、周囲を探る。
だが、周囲は建物の影が多く、人影を見定めることが出来ない。
観念した修二郎は、少しずつ移動しながら闇に問う。
「何者か」
「その警戒は正しい。しかし、気が付くのが遅すぎるな。俺が敵なら、その生命は無いぞ」
声の主は、修二郎の敵ではないと言う。
言葉では分かるが、現実問題、このような状況で真に受けることは出来ない。
修二郎は考えを巡らすように、慎重に言葉を重ねる。
「敵ではないと?」
「敵ではない。今はな。お前が上様の御政道を邪魔せぬ限りは、生かしておいてやる」
「上様? 御公儀の手の者か。伊賀組にお主のような声の者はおらぬ。別組の者か」
「そうだ。甲賀でもないがな。黒鍬でもないぞ。まあ、分かっておろうが」
公儀の忍び。
今もなお、忍びの腕前を高水準で維持し得る存在は、この江戸では皆無だった。
「ああ、お主のような腕達者の忍びは江戸にいなかった」
「そうだ。いなかった。だから我らが江戸まで来たのだ。上様とともに」
「……つまりは御庭番」
「左様」
突如、闇夜から声をかけてきた男の正体。
それは御庭番。将軍吉宗とともに紀州から江戸に入府した存在。
少数精鋭の集団で、吉宗の耳目となり、諜報活動を行っている紛うことなき忍び集団である。
その御庭番が夜毎屋敷を抜け出す修二郎を見張っていたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
無用庵隠居清左衛門
蔵屋
歴史・時代
前老中田沼意次から引き継いで老中となった松平定信は、厳しい倹約令として|寛政の改革《かんせいのかいかく》を実施した。
第8代将軍徳川吉宗によって実施された|享保の改革《きょうほうのかいかく》、|天保の改革《てんぽうのかいかく》と合わせて幕政改革の三大改革という。
松平定信は厳しい倹約令を実施したのだった。江戸幕府は町人たちを中心とした貨幣経済の発達に伴い|逼迫《ひっぱく》した幕府の財政で苦しんでいた。
幕府の財政再建を目的とした改革を実施する事は江戸幕府にとって緊急の課題であった。
この時期、各地方の諸藩に於いても藩政改革が行われていたのであった。
そんな中、徳川家直参旗本であった緒方清左衛門は、己の出世の事しか考えない同僚に嫌気がさしていた。
清左衛門は無欲の徳川家直参旗本であった。
俸禄も入らず、出世欲もなく、ただひたすら、女房の千歳と娘の弥生と、三人仲睦まじく暮らす平穏な日々であればよかったのである。
清左衛門は『あらゆる欲を捨て去り、何もこだわらぬ無の境地になって千歳と弥生の幸せだけを願い、最後は無欲で死にたい』と思っていたのだ。
ある日、清左衛門に理不尽な言いがかりが同僚立花右近からあったのだ。
清左衛門は右近の言いがかりを相手にせず、
無視したのであった。
そして、松平定信に対して、隠居願いを提出したのであった。
「おぬし、本当にそれで良いのだな」
「拙者、一向に構いません」
「分かった。好きにするがよい」
こうして、清左衛門は隠居生活に入ったのである。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
『五感の調べ〜女按摩師異聞帖〜』
月影 朔
歴史・時代
江戸。盲目の女按摩師・市には、音、匂い、感触、全てが真実を語りかける。
失われた視覚と引き換えに得た、驚異の五感。
その力が、江戸の闇に起きた難事件の扉をこじ開ける。
裏社会に潜む謎の敵、視覚を欺く巧妙な罠。
市は「聴く」「嗅ぐ」「触れる」独自の捜査で、事件の核心に迫る。
癒やしの薬膳、そして人情の機微も鮮やかに、『この五感が、江戸を変える』
――新感覚時代ミステリー開幕!
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
花嫁
一ノ瀬亮太郎
歴史・時代
征之進は小さい頃から市松人形が欲しかった。しかし大身旗本の嫡男が女の子のように人形遊びをするなど許されるはずもない。他人からも自分からもそんな気持を隠すように征之進は武芸に励み、今では道場の師範代を務めるまでになっていた。そんな征之進に結婚話が持ち込まれる。
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
【完結】『紅蓮の算盤〜天明飢饉、米問屋女房の戦い〜』
月影 朔
歴史・時代
江戸、天明三年。未曽有の大飢饉が、大坂を地獄に変えた――。
飢え死にする民を嘲笑うかのように、権力と結託した悪徳商人は、米を買い占め私腹を肥やす。
大坂の米問屋「稲穂屋」の女房、お凛は、天才的な算術の才と、決して諦めない胆力を持つ女だった。
愛する夫と店を守るため、算盤を武器に立ち向かうが、悪徳商人の罠と権力の横暴により、稲穂屋は全てを失う。米蔵は空、夫は獄へ、裏切りにも遭い、お凛は絶望の淵へ。
だが、彼女は、立ち上がる!
人々の絆と夫からの希望を胸に、お凛は紅蓮の炎を宿した算盤を手に、たった一人で巨大な悪へ挑むことを決意する。
奪われた命綱を、踏みにじられた正義を、算盤で奪い返せ!
これは、絶望から奇跡を起こした、一人の女房の壮絶な歴史活劇!知略と勇気で巨悪を討つ、圧巻の大逆転ドラマ!
――今、紅蓮の算盤が、不正を断罪する鉄槌となる!
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる