犯され探偵

白石潤之介

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非通知の電話

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 鳴り響く〝東京音頭とうきょうおんど〟のスマートフォンの画面を確認すると〝非通知〟着信だった。

 わたしは、非通知にはでない主義なのですが・・・

 古茂田泰蔵こもたたいぞうかもしれない、と思って出てみた。

 すると無言だった。気持ち悪いと思って切ろうと思った瞬間――――

 ボイスチェンジャーで・・・
 「調査をやめろ、やめなければ痛い目にあうぞ」
 と告げるとプチッと切れた。

 何々、これってわたしに対する〝脅迫きょうはく〟ってこと?

 でも、一体誰が?こんな電話をかけてきたの?わたしは、目立った調査はここ最近していないんだけどな!

 もしかして、古茂田泰蔵こもたたいぞうという怪しい男が、調査を始めたのか?――――タイミングから考えたら、それが順当じゅんとうだけど・・・

 「お姉ちゃん、誰からの電話だったの?」と妹の麻衣まいが、心配そうに尋ねた。
 「わからない、たぶんボイスチェンジャーを通した声だったわ」と正直に答えると・・・

 「なんて、言ってきたの?」と妹は、さらに追及した。
 「調査を続けたら、痛い目にあうぞ!だって」と妹に伝えた。

 妹は、血相けっそうを変えて「それって、脅迫じゃない。何か心当たりは、あるの?」とわたしに詳しい説明を求めた。

 「たぶん、この前の古茂田泰蔵って男がらみじゃないかしら?」と妹に答えた。
 「あの男の調査が、もう犯人に行き着いたってこと?」と半信半疑はんしんはんぎの妹は言った。

 「だって、それしか考えられないでしょ。この連休中、わたしはずっと部屋にもって進まない原稿と格闘かくとうしていたから・・・新たに調査したとなると、あの怪しい男以外に心当たりはないわ」

 「そうかしら、お姉ちゃん――――もしかすると優作くんが、独自に調査をしていて犯人に接近しているって、考えられない?だって、お姉ちゃんを脅迫するってことは〝松田探偵事務所〟の調査に、ストップをかけている、ってことじゃない?とあたしは考えるけどなぁ」と妹は、持論を展開した。

 「そうかな?」とわたしは、優作くんを過大評価している妹の意見には、あまり賛同出来なかった。

 「お姉ちゃん、これもれっきとした〝脅迫事件〟よ!あの所轄しょかつの刑事さんに、相談してみたら?」と妹は、進言しんげんした。

 「そうね、和久わくさんに相談するのは、アリね」と言って和久刑事にメールを送信した。


 
 その夜さっそく和久さんからの電話があった。。。


 

   
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