戦神(せんじん)の魂と経験共有で強くなる~白き戦神の冒険譚~

ルキノア

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序章

白き戦神の冒険譚

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黒龍が咆哮した瞬間、空間がひび割れるような音が響いた。  
大地が震え、周囲の木々が一瞬で粉々になる。  
目の前に広がるのは、圧倒的な破壊と恐怖――死への接近を肌で感じる。  

その時だった。  
白い光が眩しく輝き、アルノアの手に握られた大鎌から響く声。  

「我が名は戦の神エーミラティス。よろしくな、主。」  
――――――

ここは魔法が存在し、魔物から得られる素材から生活が成り立っている世界~。
基本的に誰もが魔法の基本属性を1つ以上持って生まれ、また個人によって特有の個性や、後天的に得られるスキルと言われる能力を持っていたりする。

この世界にあるランドレウスと言う王国に、アルノアと言う少年がいた。
アルノアは珍しい白髪で、蒼い目をしている。

アルノアは学生兼冒険者である。
(冒険者とは、ギルドを通して依頼を受け、達成することで得られる報酬によって生活をしているもの達のことである。)

アルノアはいつも通り幼なじみ達と共に依頼を見に冒険者ギルドに顔を出していた。

「アルノアさんロイさんおはようございます。今日も鍛錬ですか?」
受付嬢が話しかける。

「あぁ」
「そうだぜ!最近丁度いい依頼がねぇから仕方なく鍛錬してるんだ!」

「お前らA級とB級の冒険者にぴったりな依頼なんて、そうそう転がってねぇんだよ。」  
ギルドのマスターがため息交じりに言う。  

ロイが腕を組みながら、軽く肩をすくめた。  
「ランクが上がるのも考えものだな。俺らはSS級なんて目指してねぇのに。」  

「それは言いすぎだろ、ロイ……」アルノアが苦笑する。  

「あいつがB級とはな」
「ほんとだぜ」
遠巻きでそんな話し声が聞こえる
(俺が役に経ってないから――――そう思ってるんだろうな)
「そんなこと俺だって思ってるさ」
誰にも聞こえない声でつぶやく

小さい頃から俺らは5人の幼なじみで一緒に育ち、鍛えあってきた。学園内でも5人でパーティを組んだ。着実に強くなっていた俺らはある程度有名になっていた。しかし、有名になるにつれ周囲からの注目が集まりいつの日かこんな噂が立つ。

あの幼なじみたちのパーティの中に凡人が混ざって恩恵を得てるらしいと

もちろん俺の耳にもこの噂は入り、俺の事を言っていることはすぐに理解出来た。なぜなら俺以外の幼なじみは全員とてつもなく強いからだ。

ロイは火魔法と武術に優れ、サーシャは水魔法において秀でており、この2人はA級である。他のカインとエマもB級上位の力を持っている。パーティでのランクもB級パーティと認定されている。

学生にしてB級であり、専業の冒険者達からも一目を置かれている。

それに対し俺は基本魔法全属性が使えるが、全て中途半端どころか弱い魔法しか使えない。

 学園での模擬戦――――
俺たち5人はいつも通りパーティを組んで参加した。  
周囲からは、「最強の幼なじみパーティ」と呼ばれ、期待の目を向けられていた。  

だが、その視線がいつしか「羨望」から「疑念」に変わるのを感じていた。  

「あのアルノアって奴、足引っ張ってんじゃね?」  
戦闘中に飛び交う観客の声。  

必死に反論したかったが、実際の結果がそれを許さない。  
俺の魔法はほとんど敵に通じず、最後はロイとサーシャが決めた。  
――――――――――
 
冒険者ランクはパーティでの功績によっても上がるため、アルノアはおこぼれのB級だと囁かれている。

俺は一人で依頼を受けようと何度か話したことはあったが、結局気にするなと言われるがまま一緒に行動してきた。

見合ってないところにいると文句を言ってくる輩はいる訳で、俺は他の学生や冒険者達とはあまり仲が良くない。

「今日は卒業の日だし朝の鍛錬の狩りも早めに終わらせるかぁ」
「そうだな」

俺はいつも通りロイと一緒に白い大鎌を持って魔物狩りへ向かう。
この大鎌は宝具と言われる物だ。

宝具とは何か特有の能力を持っている物であり、高位の宝具には神の恩恵が得られるものなどがあるが、どのようにして出来たかは不明であり、高位なものはとても珍しい。

この宝具は祖父が持っていたもので、先代のいつから家に受け継がれているのかは不明だった。
アルノアが触れた時宝具が反応したため預けてくれた。

他の冒険者達からは俺がAランクになれたのは宝具のおかげだとも言われている。

実際この宝具の能力はよく分からないが、属性魔法を纏っても問題なく、戦闘時に呼び出したら発現してくれる。
俺自身も便利な武器だと思っているためあまり反論も出来ない。


森の奥深く、背の高い木々が太陽の光を遮り、薄暗い空気が漂っていた。風が木々の間をすり抜け、微かに動く影が、二人の緊張をさらに高める。ロイとアルノアはギルドからの依頼で、この森に出没する「ブルーウルフ」を討伐するためにやってきた。

「アルノア、油断するな。こいつは群れで動くかもしれない。」ロイが火の剣を構え、周囲を警戒しながら言った。

「わかってるよ。でも、一匹だけならなんとかなるはずだ。」アルノアは、大鎌を両手で握りしめながら答える。彼の大鎌はまだ使いこなせているとは言いがたいが、それでも強力な武器だった。

突然、森の奥から草むらを掻き分ける音が聞こえた。二人は一斉にその方向を向き、緊張を走らせた。そして、姿を現したのは、青緑色の体毛を持つ巨大な狼――ブルーウルフだった。その目は鋭く光り、二人をじっと見つめていた。

「来るぞ!」ロイが警告するや否や、ブルーウルフは唸り声を上げ、一気に二人へと襲いかかってきた。

ロイの炎の拳

ロイは即座に反応し、右手を炎で包み込んだ。その瞬間、彼の周囲に熱気が漂い、拳から放たれる火の光が、暗い森を赤く染め上げた。ブルーウルフが飛びかかろうとする瞬間、ロイは素早く前に出て、腕を振り下ろした。

「燃え上がれ!」

炎が前足に命中し、火花が散る。しかし、ブルーウルフは怯むことなく、咆哮を上げてロイに牙を向けた。

「くそっ、こいつしぶてぇな…!強化個体か」

ブルーウルフはただの魔物ではない。  
その毛皮は魔法耐性を持ち、並みの炎では燃えないとされている。  
さらに、群れで動くため、たった一匹を倒しても油断はできない――そんな情報がギルドで共有されていた。  

ロイは一瞬後退し、次の攻撃に備える。炎の攻撃は効果を与えているが、それでもブルーウルフは驚異的な耐久力を持っていた。

アルノアの攻撃

「ロイ、下がって!俺もやってみる!」アルノアが大鎌を構え、前に出る。ロイは彼に任せるように後ろに下がった。

「今がチャンスだ、アルノア!気をつけろよ!」

アルノアは狙いを定め、大鎌に風属性を纏一気に振り下ろした。しかし、ブルーウルフの動きは素早く、横に飛びのきながらアルノアの攻撃を回避した。

「くっ、速い…!」

大鎌は地面に深く突き刺さり、アルノアは体勢を崩した。その隙を見逃さず、再び襲いかかってくる。

「アルノア、危ない!」ロイが叫んだが、ブルーウルフの爪がすでにアルノアに迫っていた。

「俺に任せろ!」ロイは素早く前に出て、足を振り上げた。今回は、炎をさらに強め、そのまま横に切り払った。

ロイの足から放たれた炎の波動が、ブルーウルフの側面を直撃し、ようやく狼は大きく怯んだ。隙を作ったロイがアルノアに叫ぶ。

「今だ、アルノア!仕留めろ!」

アルノアは息を整え、再び大鎌を構えた。今度は焦らず、狼の動きをよく観察しながら慎重に狙いを定める。

「行け…!」

ブルーウルフがロイに注意を向けた瞬間、アルノアは一気に前進し、大鎌を正確にグリーンウルフの首元に振り下ろした。

「うおおおおおお!」

大鎌が深く食い込み、ブルーウルフは絶叫しながら地面に倒れ込んだ。やがて、その体は動かなくなり、森の中に静寂が戻った。


アルノアは大鎌を地面に突き立て、肩で大きく息をしながら立っていた。ロイが彼の肩を軽く叩き、笑みを浮かべた。

「やったじゃねぇか、アルノア。やっぱり、頼りになるぜ。」

「ありがとう。でも、まだまだだよ。さっきもあいつに攻撃を避けられてばかりだったし、俺一人じゃ倒せなかった。」

「焦るなって。お前はちゃんと強くなってるさ。それに、俺たちがいる限り、何があっても乗り越えられるだろ?」

ロイの言葉に、アルノアは微笑みながら頷いた。
 
「そろそろ学園に行こうか」
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