戦神(せんじん)の魂と経験共有で強くなる~白き戦神の冒険譚~

ルキノア

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フレスガドル

学園生活~ユリウスとの出会い~

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アルノアは朝食を終えると、教室に向かうために学園の広い廊下を歩いていた。寮生活は快適で、食堂の朝食はランドレウスとは比べ物にならないほど充実している。窓の外には清々しい朝の光景が広がり、風に揺れる樹木の香りが漂う。

「よう、新入生!」
元気な声が背後から聞こえ、振り返るとリヒター・ハイウィンドが軽快な足取りで近づいてきた。

「お前、今日も遅刻ギリギリだな。授業始まるぞ。」
「そう言う君も大して余裕ないだろ。」
軽口を叩き合いながら教室へ向かう二人。その様子を見ていた他のクラスメイトたちも、徐々にアルノアを受け入れる雰囲気を見せ始めていた。

昼休み。アルノアは午前の授業後に図書館で勉強をしていた。魔法理論の教科書を開いて集中していると、背後から突然声をかけられる。

「君、新入りだよね?アルノアって名前だったかな。」
振り返ると、そこには緑髪に優しさを感じる青い瞳を持つ少年が立っていた。彼はやわらかな印象を与えるが、よく見ると興味深げな表情をしている。

「僕はユリウス・フォルトナー。フレスガドル学園でも、魔法制御に関してはちょっとした評判なんだ。」
自信満々な態度に少し面食らいながらも、アルノアは自己紹介を返す。

「君、全属性を扱えるって聞いたけど、それって本当?」
ユリウスは興味深そうに尋ねた。アルノアが頷くと、ユリウスは手を組み、少し思案したあとで笑顔を浮かべる。
「だったら、一度君の力を見せてもらいたいね。僕と模擬戦をしてみない?」

午後の模擬戦の授業では、ユリウスがアルノアを指名する形で対戦が決まる。リヒターもそれを見て興味津々の様子だ。

「お前、新入り相手にそんな本気出してやる気か?」
リヒターが茶化すように言うが、ユリウスは涼しい顔で答える。
「もちろんだよ。僕は誰とでも全力で向き合う主義なんだ。」

模擬戦が始まると、ユリウスは卓越した魔法制御を見せつけ、次々と変幻自在の攻撃を仕掛ける。アルノアはそのスピードと精密さに圧倒されつつも、自分の全属性を活かして何とか食らいつく。両者様子見をする。

他のクラスメイトたちも興味津々の様子で観戦に集まってきた。

ユリウスは直後に素早く手を動かし、緻密な魔法陣を空中に描いた。次の瞬間、三つの火球がアルノアに向かって一直線に飛んでくる。

「速い…!」
アルノアは反射的に風魔法で身体を横に流し、火球をかわした。しかし、ユリウスの攻撃はそれで終わらない。火球の軌道を制御し、再びアルノアを追尾してきたのだ。

「追尾型の魔法制御か!」
アルノアは咄嗟に水魔法を展開し、火球を打ち消す。しかし、ユリウスはその間にも後方から氷の槍を三本発射。完全に攻撃の隙を与えない。

第二ラウンド:アルノアの反撃
アルノアは冷静さを取り戻し、距離を取るために風魔法で上空に飛び上がった。そして空中で手を広げ、氷と雷を組み合わせた攻撃を放つ。氷を纏った雷撃がユリウスに向かって一直線に突き進む。

「なるほど、属性の組み合わせか。でも、それじゃまだ甘い!」
ユリウスは地属性を操り、巨大な壁を作り出してアルノア雷撃を相殺した。その衝撃で周囲に氷と岩の破片が飛び散り、アルノアの視界が一瞬遮られる。

その隙を突くように、ユリウスは炎魔法を使って一気に間合いを詰める。そして、手元に小さな氷の刃を生み出し、近接戦を仕掛けてきた。

「近接戦も得意なのか!」
アルノアは驚きつつも、氷の刃を生成して応戦。互いの武器がぶつかり合い、鋭い音がフィールドに響き渡る。

第三ラウンド:アルノアの工夫
「こんな戦いができるなんて、面白いよ!」ユリウスが微笑みながらさらに攻撃を仕掛ける。

アルノアは劣勢を感じつつも、相手のパターンを読み始めていた。ユリウスの攻撃は緻密で素早いが、一つの属性を多用している間に切り替えのタイミングが少し遅れる。それに気づいたアルノアは、わざと攻撃を誘い込むように動く。

火と水を繰り返し使用しているユリウスに対し、アルノアはあえて地属性の魔法を使用。足元から突き上げる岩の槍がユリウスの動きを一瞬止めることに成功する。その隙を突き、アルノアは雷と風の魔法を同時に放ち、ユリウスを捉えようとする。

「これならどうだ!」

しかし、ユリウスはその攻撃を見事に回避。さらに、空中で炎魔法を駆使して距離を取りつつ、上から火球を雨のように降らせる。

最終ラウンド:僅差の決着
「まだ終わりじゃない!」
アルノアは防御を捨て、全属性の魔力をフルに引き出して応戦。彼の手元に集まる光が次第に大きくなり、やがて風と雷を纏った氷の渦がフィールドを埋め尽くす。

ユリウスもそれを受け止めるように全力を注ぎ、炎と地属性を組み合わせた溶岩のような流動性のある巨大なバリアを作り出す。二つの力が激しくぶつかり合い、フィールド全体が蒸気の白に包まれる。

蒸気収まったとき、アルノアは膝をつき、ユリウスがわずかに余裕を見せた姿で立っていた。

「僕の勝ちだね。でも、君の多属性の使い方は本当に面白かった。特に最後の一撃には驚いたよ。」
ユリウスは満足げに微笑みながら手を差し出す。

アルノアが手を握り返すと、ユリウスは少しだけ声を落として続けた。
「だけど君の属性操作、氷と雷以外はまだまだ未熟だね。」

突然の指摘にアルノアは思わず目を見開く。彼の表情に戸惑いが浮かぶのを見て、ユリウスは続ける。
「氷と雷は確かに鋭さがあるし、実戦で通用するレベルに達している。でも、それ以外の属性——火、風、土、水……どれも単体では決定打にはならない。」

「君の強みは全属性を扱えることだ。その可能性を見た時、正直、期待していたよ。でも……今のままだと、それが足を引っ張る原因にもなりかねない。」

ユリウスの言葉には厳しさがありながらも、そこには真剣な思いが感じられた。アルノアは拳を握りしめ、自分の未熟さを改めて痛感する。

「だが、だからこそ君には伸びしろがある。」
ユリウスは柔らかい笑みを浮かべると、アルノアの肩を軽く叩いた。
「まずは一つの属性を深めるところから始めるのもいい。全属性を扱えるからといって、全てを一度に極めようとする必要はない。焦らず、自分の道を見つけることだ。」

その言葉は、アルノアの胸に強く響いた。自分の力を否定せず、しかし課題をはっきりと指摘してくれるユリウスの態度に、彼は初めてこの場所での自分の成長を実感する兆しを得た。

「ありがとう、ユリウス。」
静かに感謝の言葉を口にするアルノアに、ユリウスは少しだけ驚いた顔をした後、微笑んで頷いた。

模擬戦が終わると、アルノアは息を整えながら観戦していたクラスメイトたちの視線を感じた。ざわつく教室の中、数人が彼に近づいてくる。

「まさか、ユリウス相手にここまで戦えるとはね。」
話しかけてきたのは、水色の髪を持つ少女、シエラだ。その無表情な顔は感情が読み取りづらいが、彼女の目はじっとアルノアを見据えていた。
「君、面白い戦い方をするね。」

続いて、赤い色の髪を持つ長身の少年、ヴィクトール・シュトラールが少し歩み寄る。彼の姿には威圧感すら感じられるが、その声は冷静で整然としていた。
「ユリウスにここまで食らいついたのは評価に値するが、光の防御を使いこなしていたら、もっといい戦いができたかもしれないな。」
その言葉には批判というより、むしろアドバイスとしての意図が込められていた。

アルノアは少し戸惑いながらも頷くと、シエラが再び口を開く。
「属性同士を合わせた攻撃、面白かった。もっと効率的に組み合わせる方法があるはずだけど、それは君が見つけるべきだと思う。」
無表情ながらも興味を隠そうとしないシエラの様子に、アルノアは自然と好奇心を引き出される感覚を覚えた。

その間、リヒターが横から割って入るように言った。
「おいおい、アルノアは新入りなんだから、そんなに詰め寄るなよ。これからまだまだやれるよなぁ?」
茶化すように肩を叩くが、その視線にはアルノアへの期待が見え隠れしていた。

模擬戦の相手であるユリウスも、満足げな表情でアルノアの元に歩み寄ってきた。
「アルノア、いい戦いだった。」
彼は軽く手を差し出しながら続ける。
「君は全属性を扱えるという特性をまだ十分に活かしきれていない。だけど、その潜在能力は間違いなく一級品だ。これからも楽しみにしているよ。」

ユリウスの言葉は単なる励ましではなく、彼自身がライバルとしてアルノアを認識し始めたことを示していた。

そのやり取りをきっかけに、アルノアはシエラやヴィクトール、そして他のクラスメイトたちとの新しいつながりを持つようになる。特にシエラは、無表情ながらも独特な観察眼でアルノアの戦い方に興味を持ち、魔法の理論や属性の応用についてたびたび質問を投げかける。

「次は火と水を同時に使ってみたら?」
「え、でもそれだと相反する性質が…」
「だからこそ、面白そう。」

一方、ヴィクトールは実力派の光属性使いとして、アルノアの防御力の向上に具体的な助言を与える。
「君の属性操作は攻撃が中心だが、守りが甘い。光を使った防御は、他の属性と組み合わせると驚くほど効果的だ。」

リヒターもそんな二人のやり取りを見ながら、「お前ら難しい話ばっかりしてんな!」と笑い飛ばしつつ、自身もアルノアを訓練場に誘うことが増えていった。

アルノアは、こうした日常の中で徐々に新しい友情や信頼を築いていく感覚を覚えた。ユリウスの万能型の強さ、ヴィクトールの光属性への徹底的なこだわり、そしてシエラの掴みどころのない不思議な性格——それぞれが独自の色を持ち、アルノアの学園生活に新たな刺激を与えてくれた。

模擬戦後、シエラはふと呟くように言った。
「アルノア、君の戦い方は、まだ未完成だけど…きっと私たちを驚かせてくれる。」
その言葉に込められた期待と興味に、アルノアは小さく微笑んだ。

彼の中で、フレスガドルでの生活が少しずつ楽しく、そして意義深いものに変わり始めていた。
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