戦神(せんじん)の魂と経験共有で強くなる~白き戦神の冒険譚~

ルキノア

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フレスガドル

決勝戦開始

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広大な観客席を埋め尽くす学生や観戦者たちがざわつく中、試合会場の中央に浮かぶ魔法のスクリーンが輝き始めた。瞬間、重厚で威厳ある声が会場全体に響き渡る。

「――これより、フレスガドル学園主催、アカデミー対抗戦 決勝戦を開始する!」

歓声が一斉に沸き起こり、空気が一気に熱を帯びる。巨大なスクリーンには対戦チームのメンバー名とプロフィールが映し出され、注目の的となる。

「決勝に進出したのは、上級クラス代表『天翔の精鋭』!」
スクリーンに映し出されたのは、ユリウス、シエラ、ヴィクトール、リリアン、デクスターの5人の精鋭たち。ユリウスが自信に満ちた微笑みを浮かべると、観客席からは大きな歓声が上がる。

「そして今大会台風の目――特例参加の二人組、アルノアとアリシア・グラント! 知らぬ者はいない地の聖女が挑む初の選抜戦、果たしてどのような戦いを見せるのか!」

アルノアは静かに深呼吸をしながら、アリシアと視線を交わす。アリシアは微笑みながら軽く頷いた。

「この決勝戦では、通常のルールに加え、特別強化されたフィールドが使用される! 勝利条件は敵チーム全員を戦闘不能にすること――あるいは、片方が降参を宣言した場合だ!」

空中に光る魔法陣がいくつも浮かび上がり、試合フィールド全体が虹色の光で包まれる。特別な魔法で生成されたフィールドは、見る者を圧倒する壮大さだ。

「さあ、これが今年最高の頂点を決める戦いだ! 両チーム、準備はいいか?」

アルノアが静かにうなずき、アリシアも優雅に構える。一方、ユリウスは軽く手を挙げ、仲間たちと軽く声を掛け合った。

 試合開始を告げるカウントダウンが始まる。

「3――」
観客たちは息を飲み、全身が緊張感に包まれる。
「2――」
アルノアは自らの魔力を静かに集中させ、風と雷の魔力が手元でわずかに輝く。
「1――」
ユリウスがわずかに動き、次の瞬間に繰り出すべき魔法を計算するように目を細める。
「――始め!!」

 試合開始の合図が響くと同時に、ユリウスが炎の魔法で先手を取った。

「これで終わりにしてやる!」
ユリウスが繰り出したのは、巨大な火柱。地面を抉りながら突き進む炎の波が、アルノアとアリシアを包み込もうとする。

「まずは様子見だな!」
アルノアは風魔法で炎を吹き飛ばそうと試みるが、ユリウスの炎は風を飲み込み、さらに燃え上がった。

「炎を拡大させる風の性質を逆手に取っているのか!」
アリシアが地面から岩壁を生成し、炎を防ぐ。しかしその直後、ユリウスが新たに水の魔法を発動させた。

「水と地で動きを封じる!」
水の塊が空中から降り注ぎ、地面が湿ると同時に、ユリウスが地属性の魔法で地面を隆起させた。湿った地面が泥沼に変わり、アルノアの足元が奪われる。

 シエラの精霊魔法

「アルノア、動きに注意して!」
泥沼から抜け出そうとするアルノアに向かい、シエラが冷静な声で呪文を唱える。彼女の周囲に契約した風と木の精霊の力が集まり、魔法の強度がさらに高まった。

「精霊の加護でこれ以上は逃がさない!」
シエラが放った風の刃は、精霊の力により通常の倍以上の速度と鋭さを持ってアルノアを襲った。咄嗟に防御魔法を発動させるも、風の刃が防御の一部を切り裂き、彼を後退させる。

「また足元か!」
続けざまに木のツタが地面から伸び、アルノアを拘束しようと絡みついてくる。

「これだけ動きを封じてくるなんて厄介だな!」
アルノアは雷魔法を足元に放ち、ツタを焼き切りながら反撃の体勢を整えた。

 その間にヴィクトールが攻撃に移った。彼の得意とする光魔法が眩い輝きとともにフィールド全体を覆い、視界を奪う。

「この光、ただの妨害じゃない!」
アルノアが警戒する中、ヴィクトールが手のひらに炎を灯す。光と炎の属性を融合させた彼の攻撃は、見えない形で敵を追尾する特性を持っていた。

「これで逃げ場はないぞ!」
ヴィクトールが光の槍を生成し、アルノアに向かって放つ。槍は炎を纏い、まるで彗星のように燃え上がりながら追尾してきた。

「逃げ道を探す暇もないのか!」
アルノアは風魔法で加速して回避しようとするが、光の槍は執拗に彼を追い続けた。

「アリシア、頼む!」
「分かってる!」
アリシアが生成した地の盾が槍を受け止めるが、その衝撃で砕け散る。

 その隙を見逃さなかったのはリリアンだ。彼女は大規模な攻撃を仕掛けることはなかったが、妨害と回復の役割を完璧に果たしていた。

「少しの隙も見逃さないわ!」
リリアンが放ったのは、フィールド全体に広がる魔力の霧。この霧は相手の魔法制御を乱し、攻撃の精度を低下させる性質を持っていた。

「これでは魔法がうまく機能しない!」
アルノアが苦戦している間に、リリアンは味方全員の傷を瞬時に癒していく。これにより、ユリウスたちの攻撃が途切れることはなかった。

 そして最後に動き出したのはデクスターだった。彼は魔法を使わず、無属性の剣技を極めた男だ。

「魔法ばかりに頼るなよ、戦場は頭を使う場所だ!」
デクスターは腰に佩いた刀を抜き、冷静な目で戦況を見定める。鋭い一閃を放ちながら、アルノアとアリシアの動きを封じるように仕掛けてきた。

「刀なのにこの速さと重さ……!」
アルノアは辛うじて攻撃を避けるが、デクスターの攻撃は計算し尽くされており、次の一手を封じるような動きをしていた。

「俺たちは連携しなくても勝てる、それだけの力がある!」
デクスターの分析が味方全員の動きを効率化させ、アルノアたちをさらに追い詰める。

ユリウスたちの猛攻を受けながらも、アルノアは冷静に状況を分析していた。しかし、ユリウスの視線はまるで彼を試すように鋭く、そこには余裕すら感じられた。

「君の全力は、まだ見せていないんだろう?」
ユリウスが挑発的な笑みを浮かべながら、手に込めた魔力をさらに高める。

(……やっぱり気付いてるか。)

模擬戦では、アルノアはエーミラティスの力を共有することなく挑んでいた。その結果、ユリウスの圧倒的な魔法制御力と攻撃の多彩さに敗北を喫したのは事実だ。しかし、それを見た上でユリウスは、今のアルノアが本気を出していないと感じていた。

「選抜戦をここまで勝ち抜いてきた君が、ただ防戦一方のままで終わるはずがない。あの“白き魔力”――見せてみろよ。」

ユリウスの言葉に、観客席がざわめき始める。アルノアがこれまでの試合で見せてきた白い魔力。それは、まるで神々の力を纏うような異質な力だった。

「……どうやら、逃げるつもりはないらしいな。」
ユリウスはさらなる魔法を準備する。火、水、地の三属性を同時に操りながら、その魔力が一瞬も途切れることはない。

「なら、君が本気を出さざるを得ないようにしてやる!」

ユリウスの猛攻

ユリウスが手を掲げると、巨大な火の柱が天へと立ち上り、地面からは岩の槍が次々とせり上がる。さらに、空中には水滴が浮かび、鋭利な氷の刃へと変化してアルノアとアリシアを包囲する。

「複数属性の連携攻撃……!」
アリシアが驚愕の表情を浮かべながら、即座に防御のための岩壁を展開する。しかし、次の瞬間、その壁を突き破るように火と氷が同時に炸裂した。

「これが、ユリウスの本気……!」
アルノアは必死に回避を続けるが、視界に入る全ての攻撃が、彼を圧倒的に追い詰めていた。

(模擬戦のときとは比べ物にならない……!)

だが、その一方で、ユリウスはどこか苛立ちを覚えているようにも見えた。

「何をためらっている? これが君の全力なのか!」
炎と氷の攻撃の合間に、ユリウスの怒声が響く。

アルノアは呼吸を整えながら静かに考える。

(エーミラティスの力を引き出せば、状況を変えられるかもしれない。でも、それに頼るだけじゃ、俺の力とは言えない……!)

ユリウスの攻撃が一瞬止み、その隙にアルノアが声を上げた。

「白き魔法を見たいんだろ? でも、それだけを頼るつもりはない。」
アルノアの目が鋭く光り、彼の周囲に氷と雷の魔力が収束し始める。

「まずは俺自身の力を証明する。その上で、あの力を使ってやるよ。」

ユリウスはその言葉を聞き、再び笑みを浮かべる。

「いいだろう。君が本気を出すなら、僕も全力で応えてやる!」

二人の間に緊張が走り、次の瞬間、ユリウスの周囲にさらに強力な三属性の魔力が渦巻いた。

「来い、アルノア!」

観客の歓声が一層大きくなり、アルノアは決意を胸に、ユリウスに向けて走り出した――。
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